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December 2010

南海社長、特急の梅田・新大阪乗り入れに前向き

 21日に日経が行った取材によれば、南海の亘社長は、なにわ筋線が開業したときには、特急を梅田や新大阪に乗り入れたい考えのようです(ということは急行以下は従来通りの難波発着でしょうか?)。

 現在「はるか」や「くろしお」などが使っている、JR大阪駅近くを走っている貨物線(東海道線支線)は地下化され、再開発がおこなわれている「梅田北ヤード」には北梅田駅(仮称)ができます。南海からの直通列車が梅田に行けば、梅田で働く人も南海沿線に住みやすくなると考えているようです。

 亘社長は、先ほども述べました通り、南海特急の新大阪への乗り入れにも前向きです。ただ新大阪の場合は、JR西日本の路線を借用することになります。なにわ筋線や貨物線の地下化部分はいいのですが、中津付近で地上に出た後の貨物線はJR西日本のものだからです。こことの調整が必要になります。また、なにわ筋線には当然のことながらJRの特急も走ります。「はるか」と「ラピート」が同じホームから同じ関空を目指して走るのです。法的にも技術的にも何ら問題はありませんが、もし実現した場合は案内はしっかりしておく必要がありますね。
(参考:日本経済新聞ホームページ(Googleに保存されているものです) http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:MYcbO2pdM2QJ:www.nikkei.com/news/category/article/g%3D96958A9C93819A96E0E3E2E0838DE0E3E3E0E0E2E3E29E9693E2E2E2%3Bat%3DALL%3Bav%3DALL+%E5%8D%97%E6%B5%B7%E3%80%80%E6%A2%85%E7%94%B0%E3%80%80%E4%B9%97%E3%82%8A%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%80%80%E6%84%8F%E6%AC%B2%E3%80%80%E7%94%BB%E5%83%8F&cd=2&hl=ja&ct=clnk&gl=jp)

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阪堺、2011年1月15日から堺市の補助金で200円均一に

 大阪(恵美須町・天王寺駅前)と堺(浜寺駅前)とを結ぶ阪堺電車。(速度で圧倒的に勝る南海線が並行しているため)もともと堺市内の経営状況が悪く、しかも起死回生策として出された堺のLRT構想が選挙で否定されたために、堺市内の区間がいつ廃止になってもおかしくない状況でした。

 しかし、LRTを否定した堺も、阪堺線が廃止になるのは避けたかったようで、阪堺線存続のための総額50億円の支援策が出され、当面の廃線の危機は回避されました。阪堺電気軌道はその堺市の支援により、2011年1月15日から値下げを行います。

 値下げの内容は、現在290円の区間を200円に値下げし、全線均一料金にすること。回数券もこれに合わせて値下げとなりますが、貸切運賃は値下げにはなりません。

 また、同じ2011年1月15日から、「おでかけ応援カード」(郵便局で無料で発行されます)を持っている満65歳以上の堺市民については、カードを運転士に提示することにより、毎月5・10・15・20・25・30日の運賃が100円になります(堺市内同士あるいは大阪市内-堺市内間通しの乗車のみに適用)。2011年3月からは、阪堺線とそれに接続するバスに1日乗り放題の「ゾーンチケット」を発売します。

 東西鉄軌道の建設という抜本的な対策ではありませんが、この値下げなどの支援策が有効に働けばいいですね。
(参考:阪堺電気軌道ホームページ http://www.hankai.co.jp/topics/pdf/101224.pdf、産経関西 http://www.sankei-kansai.com/2010/12/23/20101223-047669.php)

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九州新幹線、九州内は割引あり、対本州は事実上割引なし

 九州新幹線全線開業により正規料金が変わるとともに、割引切符の値段も変わります。その新しい割引切符について、27日JR九州から発表がありました。

 やはり九州内の移動には「2枚きっぷ」。九州新幹線を使えるものは「九州新幹線2枚きっぷ」という名前で売り出されます。「みずほ」「さくら」「つばめ」の普通車自由席が使え(グリーン車や普通車指定席を使う場合は差額の支払いが必要)、有効期間は1か月です。2011年3月12日から利用できます。1枚当たりの値段は福岡市内-上熊本・熊本・水前寺間が3500円、福岡市内-鹿児島中央間が9000円です(ほかの設定区間もあり)。正規料金がそれぞれ4480円、9660円であることを考えると、熊本までの割引率が大きいです。値段が高くてもスピードで差別化できる鹿児島中央とは違い、熊本の場合は、いくら新幹線が速いといっても距離が短いので、バスとの対抗上、割引率を高くしているのでしょうか? ちなみに現在の割引切符の1枚当たりの値段は、熊本・光の森までが2000円(「4枚きっぷ(自由席用)」)、鹿児島中央までが7800円(「つばめ2枚きっぷ」指定席用)です。バスの運賃はそれぞれ1800円、4000円です(往復切符利用時の片道あたりの値段)。なお、九州新幹線に並行する区間の「2枚きっぷ」「4枚きっぷ」「10枚きっぷ」「つばめ2枚きっぷ」は2011年3月11日で廃止され、九州新幹線が利用できない大半のものについては、払い戻しの措置が受けられます。

 ただ、博多-熊本間にはわずかではありますが並行して「有明」が走ります。この「有明」などの普通車自由席が使える「有明2枚きっぷ」が発売されます。差額を払えばグリーン車や普通車指定席に乗ることができるのは「九州新幹線2枚きっぷ」と同じで、有効期間は1か月、2011年3月12日から利用できます。1枚当たりの値段は2011年3月11日まで使える「2枚きっぷ」と同じです(熊本に関しては、若干値上げされ、1枚あたり2300円となります)。

 JR九州の割引は「2枚きっぷ」だけではありません。インターネットで格安の切符を買うことができるのです。乗車日当日(出発時刻の6分前)でも買うことができる「九州ネットきっぷ」と乗車日の3日前23:00までに買う必要がある「九州ネット早特」の2種類があります。片道から購入することができます。どちらも区間・列車・設備・席数限定で、「九州ネットきっぷ」はグリーン車、普通車指定席、普通車自由席の3つのパターンがあり、「九州ネット早特」はグリーン車、普通車指定席の2つのパターンがあります。気になる値段は、博多-熊本間が「九州ネットきっぷ」で3500円、「九州ネット早特」だと3000円です(いずれも普通車指定席)。福岡市内-鹿児島中央間だとそれぞれ9000円、8500円です。切符の受取はJR九州の主な駅でしかできませんが、支払いは一般のクレジットカードでできます(JR九州ホームページでの登録要)。九州に住んでいる人なら敷居が低く、十分に使えるサービスです。

 それに対して対本州は厳しいです。大阪市内-熊本間で14400円、大阪市内-鹿児島中央間で17000円(往復割引適用後の片道あたりの価格、乗車日の3日前23:00までに購入)という格安の切符がありますが、これにはJR西日本かJR九州の専用のクレジットカードが必要です。あまりにも敷居が高く、誰でも使えるわけではありません。

 これまで熊本・鹿児島中央方面から京都市内・大阪市内・神戸市内に向けて発売されてきた「大阪往復割引きっぷ」が2011年3月5日で発売終了します(熊本・鹿児島中央から京都市内など、東海道・山陽・九州新幹線を利用できるタイプの新たな割引切符を発売する予定です)。大分・佐賀・長崎方面から京都市内・大阪市内・神戸市内に向けての「大阪往復割引きっぷ」は2011年3月5日以降も発売されます。ただ、正規料金が上がることもあり、予断は許さないですね。

 昨日の記事と合わせて単純化して言えば、高速バス(や車)との競争がある短距離は安いが、長距離は高いです。事実上、京阪神から熊本・鹿児島中央への割引切符はないのですから。使えるのは(片道600キロ超ならどこでも使える)往復割引ぐらいです。これでJR側が「割引をした」と考えるのは間違いです。

 最後にライバルの航空機についても見ておきましょう。JALもANAも、2011年3月4~26日搭乗分のうち、前日までに予約することが条件の「特便割引」(JAL)、「特割」(ANA)の価格を伊丹-熊本間で17500円、伊丹-鹿児島間で20800円にします。ちなみに、「みずほ」の往復割引適用後の片道あたりの価格はそれぞれ17280円、20420円です。
(参考:JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/cba7eda30d00788649257806002eb117?OpenDocument、http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/9a8c155d2b90be2649257806002eb57c?OpenDocument、JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/27/1_20101227_press02.pdf、47NEWS http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010122701000732.html)

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小倉・博多の乗継割引廃止

 JR九州は、2011年3月12日から、在来線の特急料金の制度を変更します。

 まず、50キロ超の特急料金について、指定席・自由席ともに50円単位とし、切りのいい数字にします。また、50キロ超100キロ以下を75キロで2分割するとともに、現在400キロで分かれている300キロ超の区間をひとつに統合します。50キロ超の特急料金はいずれのケースでも値下げになります(50キロ以下と、門司港もしくは下曽根・小倉-博多間などに適用されている特定特急料金は現行通りです)。

 また、これまでJR九州は独自の通常期、閑散期の設定をしていましたが、新幹線と同じように、閑散期の設定期間をJR西日本などに合わせます。在来線の特急の利用が休日に多いことから変更をしたようです。この変更は2011年6月から行われます。ただ、在来線の場合は新幹線と違い、繁忙期はありません。

 「2枚きっぷ」などについても2011年3月12日以降に発売するものから、博多-佐賀、博多-小倉間などで価格の改定が行われます。1枚当たりの値段で100円程度の値上げになるケースが多いです。価格改定後の「4枚きっぷ」での1枚当たりの値段は、博多-佐賀間が1000円、博多-小倉間が1300円です。いずれも現行より100円上がっています。

 一番重要なことが下のほうに書いてありました。2011年3月11日を以って小倉・博多での乗継割引を廃止するのです(それ以外の山陽新幹線各駅の乗継割引は継続します)。この廃止に例外なく、新幹線開業によって所要時間の短縮が行われるわけではない大分・長崎方面も例外ではありません。普通車指定席(通常期)の場合、大分(小倉乗り継ぎ)までなら940円、長崎(博多乗り継ぎ)までなら1090円の値上げとなります。九州新幹線沿線のように所要時間の短縮が行われるなら多少の値上げも納得できますが、所要時間が変わらないのに値上げだけされるとは厳しいですね。
(参考:JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/1a0bee9ad7b126c049257806002eae50?OpenDocument)

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会津鉄道、キハ8500系4両を売却

 慣れ親しんだ高山線を離れ、2002年から会津路を走り続けてきた元名鉄のキハ8500系。5月に引退したのちも人気があるようで、今でもそれを見に訪れるファンがいるようです(現在は、会津田島車両基地と会津下郷駅構内に2両ずつ分かれて留置されています)。

 会津鉄道側は当初、キハ8500系4両を解体処理する予定だったようですが、その予定を変更して、4両を売却することにしました。売却は一般競争入札により行います。

 ただ、入札に参加するには時間が非常に限られています。すでに25日には下見は終わり、明日28日には「キハ8500形車両の購入申込書」に印鑑証明書などの添付書類をつけて提出しなければなりません。入札は見積書を2011年1月31日17:00(必着)までに会津鉄道に提出するかたちで行われます。1両ごとに、最高価格の見積者が落札者となります(基準価格を上回る必要があります)。その後、落札者は2011年2月28日までに売却代金を支払い、2011年3月20日までに引き取る必要があります。引き取りは会津田島車両基地構内で行われ、それからの輸送費用は落札者負担となります。なお、車両は国内で使用するのが条件です。

 ともかく時間がないので、どうしても欲しい人(法人、個人)は早速準備をしないといけないですね。大事に使ってくれる人に落札されることを望みます。
(参考:会津鉄道ホームページ http://www.aizutetsudo.jp/info/?p=806、毎日jp http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20101224ddlk07040049000c.html)

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高速道路平日は2000円、休日は1000円乗り放題

 国交省がまとめ、今月初めに明らかになった、高速道路2000円乗り放題の新料金案もマニフェストにこだわる民主党内では不評でした。これまで休日は1000円乗り放題だったのに、倍に上がるからです。

 そこで国交省は民主党内の意見を取り入れ、(現在の割引制度がなくなる来年4月以降も)休日の1000円乗り放題は継続されるようです。平日は2000円、休日は1000円乗り放題になるのです。これまでの民主党の案ではETC利用者でなくても割引の対象だったのですが、24日に馬淵国交相など国交省政務三役と玄葉民主党政調会長が会談して正式決定した今回の案では、ETC利用者のみが割引の恩恵を受けます。

 24日に政府と与党が話し合って決めた案は、軽自動車や本州四国連絡高速道路などの料金などの詳細は決まっていません(来年1月に決めるようです)。ただ、トラックは今月初めの案にもありましたように、上限がない、従来通りの距離に応じた料金となります。首都高速や阪神高速は関係する自治体との調整を行ったうえで上限のある距離別料金を採用します。これまで700円均一だった区間なら、500~900円です。本州四国連絡高速道路は平日の上限が2000円で、乗継割引を導入する方針です。24日に正式決定された新しい料金案は、来年4月から2~3年間適用されるようです。

 高速道路会社が経営努力で割引を行っているのではありません。自民党政権時代も同じなのですが、税金で高速道路を値引きしているのです。国家財政に余裕があればいいですが、来年度予算も借金だらけの予算です。当面は国債が国内で消化できるからいいでしょうが、そんな予算はそう何年も組めるものではありません。いわゆる「埋蔵金」に頼った、非常に危ない予算です。

 高速道路にはこのように大振舞の反面、鉄道には厳しいです。1.5兆円あった「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の剰余金が取り崩され、1.2兆円が国民年金の財源(基礎年金の国庫負担分)になりました。当然、「埋蔵金」なので、根本的な対策にならず、2012年度はまた別のものを考えないといけません。本来は、保険料を上げるとか、消費税などを上げるとかで対応すべき話なのです。

 「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」のうち国庫に返納されずに残った3000億円と、(JR各社が、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が整備した鉄道施設の購入代金として支払うために)今後毎年500億円前後出てくる剰余金とを合わせて、2011年度から10年間で約8490億円の財源をつくり、経営が厳しいJR4社(JR北海道、JR四国、JR九州、JR貨物)に対する支援策などを行います。その内容は、JR4社の設備投資に対する助成金交付や無利子貸し付けに2390億円、JR北海道、JR四国には経営安定に向けた基金として3600億円を積み増します。整備新幹線関係では、北陸新幹線高崎-長野間を建設する際に借り入れた1500億円分を一括返済するとともに、JR貨物が並行在来線に支払う負担金のうち、10年間で1000億円分の支援を行います。これが本来の剰余金の使いかたというもので、目先の選挙を恐れて国が国民に負担をお願いするという勇気を持たなかったがために価値ある使いかたができなかったのです。剰余金が丸ごと使えたら、もっと必要な鉄道整備が行えたでしょう。幹線鉄道の整備が、高速道路優遇策への最大の対策なのです。

 野党なら国民にアメをばら撒き、夢を振りまくことができます。しかし、与党となった今では、厳しい現状と向き合わなくてはいけません。目先の選挙を恐れて、(野党時代に政権奪取のことだけを考え、実現可能性を考えていない)マニフェストにこだわり、厳しい現状から逃げてはいけないのです。

(追記1)
 軽自動車やETCのあるエコカーは平日も休日も1000円乗り放題になり、ETCのない車は平日も休日も2000円乗り放題になります。ここにおいてエコカーとは、ハイブリッド車や電気自動車などで重量税が免税になる車両で、ETCがあることが前提です。エコカーになるためには、利用者が事前に登録する必要があり、その詳細が決まっていないため、エコカーの1000円乗り放題は6月以降の開始予定です。

 首都高速や阪神高速の距離別料金は2012年に導入します。

(追記2)
 大都市圏については、乗り放題の対象外です。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101208k0000m010098000c.html、http://mainichi.jp/select/today/news/20101217k0000m010098000c.html、http://mainichi.jp/life/money/news/20101224k0000e010057000c.html、時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/zc?k=201012/2010122100189&rel=y&g=pol、http://www.jiji.com/jc/zc?k=201012/2010122100831、朝日新聞2月17日朝刊 中部14版、高速道路の当面の新たな料金割引に関する計画(案)に対する意見募集について http://www.ribenzoushin.jp/re01.pdf)

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鉄道主要10 ICカード、2013年相互利用可能に

 大都市圏を中心に、ICカードが使える鉄道・バスは広がっています。ICカードだと自動改札機にかざすだけで運賃の支払いができるので便利。もう現金を自動券売機に入れるという面倒くさいことはできません。

 しかし、ICカードにも欠点があります。カードが分厚いので、いろいろなカードを持つと財布がいっぱいになります。カードの機能上、他社と相互利用できないならやむを得ないのですが、現実には技術的には可能であるにもかかわらず、相互利用ができないのです。例えば、JR東日本の「Suica」を持っていれば、「PiTaPa」エリアの関西私鉄以外の主な鉄道には乗ることができます(ここ2年ぐらいでできる予定のものもあります)。ところが、JR北海道の「Kitaca」を持っていても、「SUGOCA」エリアのJR九州では使うことができません。「Kitaca」エリアも「SUGOCA」エリアもともに「Suica」を使うことができるにもかかわらず。鉄道のICカードは基本的な仕様は共通なので、やろうと思えばどこでも相互利用ができます。しかし、相互利用するためにはシステムの改修が必要なため、一部の小規模なバス会社などでは相互利用に消極的と言われています。以前にも書きましたが、技術的な可能なだけに、おかしい話です。

 そこでJR東日本など、主要鉄道会社はそれぞれが発行する主要な10のICカードについて、2013年春の相互利用を目指す方針であることを明らかにしました。主要な10のICカードとは、「Kitaca」(JR北海道)、「Suica」(JR東日本)、「PASMO」(関東私鉄など)、「TOICA」(JR東海)、「manaca」(東海私鉄など、2011年2月11日利用開始)、「ICOCA」(JR西日本)、「PiTaPa」(関西私鉄など)、「SUGOCA」(JR九州)、「nimoca」(西鉄)、「はやかけん」(福岡市交)。これらのカードのうち1つを持っていれば、全国の主な都市圏の鉄道では通用します。大変便利なことで、前向きに推進してもらいたいものですね。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101218-OYT1T00882.htm)

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来年3月から「こうのとり」の一部に381系?

 ここでは、関西を発着する特急列車を中心に、2011年3月のダイヤ改正をみていきたいと思います。

 北陸方面は、1往復だけ残っていた485系「雷鳥」が置き換えられ、681・683系の「サンダーバード」に統一されます。3年前に出たがようやく現実になるのです(そのときから置き換え完了時期は2011年春となっていましたが)。富山まで行く車両は683系の9両固定編成ですので、金沢以東でも9両のまま走ります。「サンダーバード」の停車駅は見直され、停車間隔の均等化が図られます。若干ながら通過になるケースのほうが多いようにも感じられます。

 普通列車は引き続き521系が40両投入されます。敦賀-金沢間で運転されます(一部は津幡まで)。新車が投入されると古い車両が廃車されます。419系が来年3月で引退するという報道もありましたが、今のところ正式な発表はありません。高山線のキハ58系についても来年3月で引退するという話はありますが、ダイヤ改正のリリースでは触れられていません。

 北近畿方面の大きな話題は、列車名の整理、そして287系の投入。「北近畿」は福知山発着を含めて「こうのとり」になります。京都からの特急は、山陰線をまっすぐ進むものが福知山発着を含めて「きのさき」になり、北近畿タンゴ鉄道に乗り入れるものが「はしだて」、舞鶴に行くものが「まいづる」となります。タンゴディスカバリー車両で運転されるものも例外ではありません。これまでは車両の名前のまま「タンゴディスカバリー」で走っていましたが、ダイヤ改正以降は「はしだて」「まいづる」の一員となります。大阪から北近畿タンゴ鉄道に乗り入れていた「文殊」「タンゴエクスプローラー」は廃止になりますが、代わりに北近畿タンゴ鉄道内の特急として「たんごリレー」が走ります。

 287系は3月のダイヤ改正の時点で25両、6月末までに46両投入されます。ただ、新型になったからといって速くなるわけではありません。綺麗になるだけです。「こうのとり」の一部は、287系が間に合わないため、当分の間はほかの車両で運転されます。使われる車両は何と381系。北近畿方面の特急に381系が使われるのは、「くろしお」に287系が投入される、2012年7月以降と言われていましたが、状況が変わったようです。183系の状態がよくないのでしょうか? 大きなサプライズです。「はんわライナー」や「やまとじライナー」が廃止されるのも、このことが原因なのかもしれません。

 南紀方面は「くろしお」などが京都-新大阪間は4.5往復から3往復に、白浜-新宮間は9往復から7往復に減ります。何も記載がない新大阪-白浜間はそのままと思われます。「はるか」は今年3月の改正で設定された、毎日運転の臨時列車6往復が廃止され、24往復になります。

(追記1)
 2010年12月30日から2011年1月3日の間、「北近畿6号」と「北近畿9号」は381系で走りました。ヘッドマークは白紙のまま、側面は「特急 北近畿」と書かれたステッカーを貼って走りました。

(追記2)
 287系が揃うまで「こうのとり」など北近畿方面の特急として使用される381系は、6月で引退します(1編成のみは予備用として残ります)。紀勢線への287系投入により、2012年7月以降に北近畿方面の特急として使用される381系とは別物なのです。つまり、国鉄色の381系は6月で消滅することになるのです。

(追記3)
 キハ58系はダイヤ改正の前日、3月11日に最終運転が行われます。11日には、富山駅で引退セレモニーが行われます。

(追記4)
 419系もダイヤ改正の前日、3月11日を以って引退します。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/20101217_kanazawa.pdf、http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/1_20101217_fukuchiyama.pdf、http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/20101217_honsya.pdf、http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175194_799.html、北近畿タンゴ鉄道ホームページ http://ktr-tetsudo.jp/information/archives/010378.php、railf.jp http://railf.jp/news/2011/01/03/203900.html、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110119/biz11011908280059-n1.htm、毎日jp http://mainichi.jp/norimai/train/trainflash/news/20110308ddlk15020080000c.html、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/kansai1286328905849_02/news/20110522-OYT8T00132.htm)

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九州新幹線で、JR九州は在来線も大変化

 来年3月12日のダイヤ改正は、九州新幹線だけが変わるのではありません。在来線も大きく変わるのです。どうしても観光列車の特急「あそぼーい!」(リニューアルが完成する6月4日から運転(当初は4月29日運転開始だったのですが、延期になりました)、それまでは特急「阿蘇ゆるっと博」が走ります。いずれも休日を中心に熊本-宮地間を1日2往復運転されます)や特急「指宿のたまて箱」(鹿児島中央-指宿間、1日3往復)が目立ちますが、日常使われる特急や普通も大きく変わるのです。まずは新幹線に接続する路線から。

(1)日豊線(宮崎-鹿児島中央間を中心に)、鹿児島線(川内-鹿児島中央間)
 宮崎-鹿児島中央間を運転する「きりしま」を2往復増発して1日10往復とします。10往復のうち1往復については、清武・加治木を通過することにより、宮崎-鹿児島中央間を1時間59分で運転します(鹿児島中央で九州新幹線に乗り継ぐと、宮崎-博多間は3時間33分です)。宮崎へはバスも整備されますが、鉄道も強化されます。ただし、現在6往復運転されている霧島神宮・国分-鹿児島中央間の短距離便が大幅に減り、国分-鹿児島中央間1往復のみとなります。

 車両についていえば、これまで485系で運転されてきた「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」などに787系車両が投入され、485系は定期列車での運転がなくなります。

 なお、これまで夜行列車として走ってきた「ドリームにちりん」は廃止されます。博多-大分間、延岡-南宮崎・宮崎空港間のみそれぞれ「ソニック」「ひゅうが」として運転されます。朝夕に運転されていた「さわやかライナー」「ホームライナー」はすべて787系で運転される特急(「ひゅうが」「きりしま」「川内エクスプレス」)になります。

(2)豊肥線
 九州新幹線開業により特急「有明」が大幅に削減されるため、熊本-光の森・肥後大津間に快速「豊肥ライナー」が13本運転されます(このほかに普通が4本増便)。これにより、熊本-光の森・肥後大津間は快速・普通が片道あたり1時間に3本運転される時間帯が拡大します。快速「豊肥ライナー」の停車駅は、新水前寺・水前寺・武蔵塚・光の森です。

(3)鹿児島線(門司港-博多間)
 九州新幹線開業により「リレーつばめ」「有明」の運行はなくなりますが、門司港・小倉-博多間は代わりに特急「きらめき」が走るため、小倉-博多間は新幹線開業後も1時間に3本の特急が運転されます。

 日中に運転される準快速については、小倉-福間間各駅停車の快速となります(小倉-福間間で快速運転するのは1時間に2本)。これにより普通も削減されます。日中の福北ゆたか線からの乗り入れ列車は黒崎止まりとなります。

(4)鹿児島線(博多-八代間)
 長崎線などほかの線へ直通する特急はともかく、この区間は原則として特急は廃止されます。「リレーつばめ」は全面廃止になり、「有明」が早朝・深夜と朝夕の通勤時間帯に7本走ります。前者は博多-熊本間を、後者は博多-長洲間を走ります。

 また、これまでは特急が多くてできなかった、快速の増発も行います。日中の快速が増え、博多-久留米間が1時間に3本、博多-大牟田間が1時間に2本走ります。夕方以降も増発されます。新幹線が停まる筑後船小屋にも快速が停まります。

 大牟田以南にも快速が走ります。大牟田-熊本間には快速「くまもとライナー」が走ります。日中10~15時台に11本走ります。途中の停車駅は荒尾、長洲、玉名、木葉、植木、崇城大学前、上熊本です。熊本行きは大牟田で博多方面からの快速と、大牟田行きは荒尾で博多方面への快速と接続します。ただ、鳥栖-大牟田-熊本間は普通列車が1時間に1本に減ります。快速は、普通を振り替えたものなのです。

(5)長崎線
 これまで「みどり」「ハウステンボス」は博多-肥前山口間で「かもめ」と併結していましたが、これを取りやめます。このことにより、博多-佐賀間で1時間に3本利用できる時間帯が増えます(肥前山口は一部の「かもめ」が通過するようになるので、1時間に3本使うことができません)。ただ、1時間に2本の時間帯もありますので、佐賀までの短距離便でもいいですから、「かもめ」を増発し、佐賀まで1時間に3本使えるようにするのが望ましいでしょう。新幹線開業とともに長崎線にも新鳥栖駅ができます。「かもめ」などの特急がすべて停まります。

 車両についても変化があります。783系で運転されているすべての「かもめ」と一部の「みどり」に787系が投入されます。旧型の485系はともかく、JRになってからできた783系はどこにもっていくのでしょうか? 日豊線も485系に替えて投入されるのが787系なのですから。
(参考:JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/f2f9ef466d20f836492577fc002daa73/$FILE/H23%E6%98%A5%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E6%94%B9%E6%AD%A3%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%EF%BC%88P8%EF%BD%9E19%EF%BC%89.pdf、http://www.jrkyushu.co.jp/asoboy_press.jsp)

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「関空・紀州路快速」、「大和路快速」1時間4本に

 来年3月12日のダイヤ改正で変わるのは、九州新幹線だけではありません。アーバンネットワークも大きく変わるのです。

 そのキーになるのが来年5月に大阪駅にオープンする「OSAKA STATION CITY」。阪和線・大和路線・JR宝塚線から大阪駅に直通する快速電車が増えます。阪和線・大和路線は後で詳しく述べるとして、JR宝塚線の場合、大阪-宝塚間の快速が日中に1時間に2本増発され、篠山口からの「丹波路快速」と合わせて1時間に4本が大阪駅に乗り入れます(新三田からの普通が1時間に4本、大阪駅に乗り入れることは変わりません)。その代わり、JR東西線から直通する快速が塚口発着に短縮されます。尼崎-宝塚間で1時間に6本も快速が走るのは過剰なような気がしましたので、改正後のほうが妥当なのでしょう。

 また、アーバンネットワークの看板列車である新快速については、休日は全列車が12両編成になり、平日も7割ほどの列車が12両編成になります。2年ほど前の報道ではすべての新快速が12両になるとのことでしたが、225系の投入が遅れているのでしょうか?

 新快速についてはもうひとつ話題があります。南草津にすべての新快速が停車します。南草津は1994年に開業した新しい駅ですが、立命館大学びわこ・くさつキャンパスの最寄り駅となるなど利用者が多く、2009年度の利用者の数は草津、石山に続く県内第3位の約4.4万人。地元の要望がかなえられる結果となりました。

 さて、本題の阪和線・大和路線などですが、ここはダイヤが根本的に変わります。大阪環状線・桜島線(JRゆめ咲線)もそうなのですが、今までは20分間隔のダイヤパターンでした。それが15分間隔のパターンになります。JR京都線・JR神戸線・紀勢線・和歌山線なども15分間隔か30分間隔のダイヤパターンですので、それに合わせるのが総論的には望ましいといえます。

 阪和線・大和路線の新ダイヤの特徴は、大阪駅への誘導策。阪和線・大和路線ともに並行する私鉄がありますが、私鉄がどうしてもできないのが大阪駅への直通。そこに重点を置いたダイヤになるのです。反面、それ以外の部分では不便になるところが出てきます。

 阪和線の日中のダイヤについていえば、これまでは快速(「関空・紀州路快速」を含む)と普通がそれぞれ1時間に6本走るダイヤでした。しかし、改正後は「関空・紀州路快速」(京橋-関西空港・和歌山間)、区間快速(天王寺-日根野間)、普通(天王寺-鳳間)がそれぞれ1時間に4本走るダイヤになります。天王寺でも和歌山でも15分間隔です。大阪市内では本数が少なそうに見えますが、並行する南海も同じようなダイヤなので、問題はないと考えたのでしょう。「関空・紀州路快速」がこれまでの1時間に3本から4本に増え、15分間隔で大阪に直通するのです。ただ、朝夕を除いては日根野以南に各駅に停車します。ただでさえ遅い和歌山への到達時間がさらに伸びます。天王寺-和歌山間でみれば特急との所要時間の差は30分ぐらいになりそうですが、特急料金が自由席でも940円と高いのがネックですね。「関空・紀州路快速」がこれだけ遅いと、並行する南海に客を奪われそうと思われるかもしれませんが、和泉砂川以南では南海とは離れたところを走るので、紀伊など和歌山より手前の駅では関係ありません。ですから、大きな問題にはならないでしょう。個人的には、半分ぐらいは和歌山まで快速運転してもらいたいところですが。

 阪和線の新しいダイヤで特筆されるのは、区間快速の大幅な増発。国鉄最後の1986年11月改正までは日中にたくさん走っていましたが、その後は快速に格上げされるなどして消え、現状では数える程度にしか走っていません。それが大増発されることになります。普通が鳳止まりとなるため、区間快速は鳳-日根野間で普通の代わりを果たすとともに、和泉府中か東岸和田で「関空・紀州路快速」と緩急接続をするのでしょう。どちらの駅で緩急接続をするかはリリースでは読めませんが、大阪駅へ誘導するなら和泉府中の可能性が高いと考えられます。なお、この改正で「はんわライナー」が廃止されます。和泉砂川に夕方、「くろしお」などが2本追加停車するので、それが実質的な代替策なのかもしれません。

 大和路線の日中のダイヤについては、これまでは快速(「大和路快速」を含む)と普通がそれぞれ1時間に6本走るダイヤでした。しかし、改正後は「大和路快速」(天王寺-大阪-奈良・加茂)、快速(JR難波-王寺・高田)、普通(JR難波-王寺)がそれぞれ1時間に4本走るダイヤになります。JR難波でも奈良でも15分間隔です。加茂へ直通する「大和路快速」、高田へ直通する快速は30分間隔に減ります。心配なのは、王寺止まりの快速。王寺まで快速系統が1時間に8本というのは大盤振る舞いのような気がします。高田まで行くのはともかく、王寺止まりは見直されるのかもしれません。「やまとじライナー」が廃止されるのも阪和線と同じです。

 大阪環状線・桜島線(JRゆめ咲線)の日中のダイヤについては、これまでは「関空・紀州路快速」と「大和路快速」がそれぞれ1時間に3本、環状運転する普通が1時間に6本、天王寺-桜島間の普通と西九条-桜島間の普通がそれぞれ1時間に3本走るダイヤでした。しかし、改正後は「関空・紀州路快速」、「大和路快速」、環状運転する普通、天王寺-桜島間の普通がそれぞれ1時間に4本走るダイヤになります。また、「京セラドーム大阪」に近い大正駅にはすべての快速が停まります。大正駅の追加停車により、大阪環状線なのに15分間隔しか電車が来ないのは芦原橋だけということになります(今宮には大和路線があります)。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/20101217_honsya.pdf、http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/20101217_kinki.pdf、http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/1_20101217_wakayama.pdf、京都新聞ホームページ http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20101215000160)

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新大阪-熊本・鹿児島中央間「みずほ」「さくら」1日15往復

 12月17日、JR北海道を除く各社から2011年3月12日ダイヤ改正の概要が発表されました。

 今回のダイヤ改正の大きな目玉は、九州新幹線の全線開業。西日本中心のダイヤ改正です。12月4日に東北新幹線新青森開業に伴うダイヤ改正を行ったため、東日本の改正点はわずかです。JR北海道は改正がありませんし、JR東日本は12月ダイヤ改正時点で判明していた南武線の改正(快速復活など)のみです。JR東海についても改正点は、N700系への置き換え促進と快速「みえ」の増発(平日1往復)、オール4両化(指定席も1両丸ごとに増加)ぐらいです。

 話を本題に戻します。新大阪と鹿児島中央を結ぶ直通列車は、最速3時間45分の「みずほ」が4往復、最速4時間10分の「さくら」が10.5往復です。熊本発新大阪行きの「さくら」が1本ありますので、合計すると直通列車は15往復です。山陽新幹線と九州新幹線を直通する列車はこのほかに新下関-鹿児島中央間の「さくら」が2往復あります。「つばめ」が小倉に乗り入れる、というもありましたが、どうやら博多-熊本間に通過駅があることもあり「さくら」になったようです。新大阪-熊本・鹿児島中央間直通の「さくら」は、新神戸・岡山・広島・小倉・博多・熊本に停まる「みずほ」に加えて、福山・川内に必ず停まるほか、山陽新幹線内では姫路・徳山・新山口・新下関のうち1~2駅に停車し、九州新幹線内では新鳥栖・久留米のいずれかには停まります。筑後船小屋・新大牟田・新玉名・新八代・新水俣・出水にも上下合わせて1日3本の新大阪直通「さくら」が停まります。

 九州島内は、「みずほ」「さくら」「つばめ」で博多-熊本間が1時間に4本(朝のラッシュ時の博多行きは5本)、熊本-鹿児島中央間が1時間に2本運転されます。意外に思ったのが、「つばめ」の少なさ。データイムの場合、博多-熊本間に1時間に1本の割合で運転されるだけです。残りの3本は「さくら」です。そのため、1時間に4本停まる熊本、3本停まる新鳥栖・久留米、2本停まる川内はともかく、筑後船小屋などの残り6駅は1時間に1本程度しか停まりません(朝夕は博多-熊本間の「さくら」が「つばめ」に振り替えられるため、筑後船小屋・新大牟田・新玉名には1時間に2本停まります)。結構思い切ったことをしたものです。熊本以北は少なくとも1時間に2本停まると思っていましたから。なお、博多発着の「さくら」「つばめ」は、山陽新幹線の「のぞみ」「ひかりレールスター」と接続します。とはいっても、直通の「みずほ」「さくら」に人気が集中することは目に見えていますから、N700系7000番台がそろう次の改正あたりで直通列車の増発を望みます。

 山陽新幹線独自のことにも触れておきます。東海道・山陽新幹線の禁煙車が増え、喫煙コーナーのみのN700系を除いても、16両編成だと3両のみ、8両編成だと1両のみが喫煙車となります。「みずほ」「さくら」用にN700系7000番台が投入されるため、「こだま」に500系や700系7000番台の8両編成が回ってきます。100系は4両編成のものがなくなり、6両編成のみが岡山以西で使われることになります。しかし、この100系も来年度中には引退する予定です。「ひかりレールスター」は「さくら」化によって本数が減るため、「サイレンスカー」の設定はなくなります。

 また、廃止のもあった博多南線ですが、博多行きに若干休日運休の列車が出る程度で、存続します。需要を考えれば当然の話でしょうが。

(追記)
 南日本新聞のホームページには、九州新幹線の時刻が載っています(12月19日現在)。
(参考:JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/hachioji/info/20101217/20101217_info.pdf、JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000009823.pdf、JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/20101217_honsya.pdf、http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/12/17/20101217_fukuoka.pdf、JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/f2f9ef466d20f836492577fc002daa73/$FILE/H23%E6%98%A5%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E6%94%B9%E6%AD%A3%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%EF%BC%88P2%EF%BD%9E7%EF%BC%89.pdf、南日本新聞ホームページ http://373news.com/_kikaku/shinkansen/pdf/20101218.pdf)

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「ユリカ」「SFパノラマカード」等の利用は2012年2月まで

 ICカード化が遅れた名古屋でも、ようやく来年2月11日から名古屋市交通局、名鉄などで「manaca」が使えるようになります。「manaca」にはマイレージポイントが付きますが、これまで使われてきた「ユリカ」などのプリペイドカードのときよりも不利になることが多い(名古屋市交通局の場合名鉄の場合)と考えられます。「ユリカ」などの従来からあるプリペイドカードを使い続けたほうがよいのかもしれません。

 そこで問題になるのは、「ユリカ」などのプリペイドカードがいつまで使えるのかということ。このことについて、名古屋市交通局、名鉄などから発表がありました。プリペイドカードの発売終了(積み増しを含む)は「manaca」導入前日の来年2月10日ですが、2012年2月29日まで使うことができます。発売が終わってからも、約1年間使えるわけです。来年2月11日以降は、「ユリカ」などについて手数料なしで払い戻すことができます。名古屋市交通局の場合、残額が310円以下の複数枚の「ユリカ」を1枚に取りまとめるサービスは2012年2月29日の利用終了日まで受けられます。「地下鉄1区特別きっぷ」(名古屋市交通局)、「回数乗車券」(名鉄電車)、「バスカード」(名鉄バス)、高速バス以外の紙の乗車券(名鉄バス)についても発売終了や利用停止の措置が取られます。

 また、藤が丘と八草を結ぶ愛知高速交通(リニモ)は、「ユリカ」などのプリペイドカードは使えますが(2012年2月29日まで利用可能)、「manaca」は導入予定がありません。そこで愛知高速交通は来年2月上旬から10枚分の価格で11回使える回数券を発売する予定です。また、来年6月をめどに「ユリカ」と同等のプレミアムを付けた「リニモカード」を発売する予定です。「リニモカード」はリニモ専用のカードですので、沿線の人はともかく、乗る機会が少ないそれ以外の人には使いにくいでしょう。
(参考:名古屋市交通局ホームページ http://www.kotsu.city.nagoya.jp/info/2007/006611.html、名鉄ホームページ http://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2010/1206592_1138.html、名鉄バスホームページ http://www.meitetsu-bus.co.jp/info/detail/1206596_890.html、愛知高速交通ホームページ http://www.linimo.jp/oshirase/101213tranpass.html)

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「TOICA」「ICOCA」「SUGOCA」は来年3月5日から相互利用開始

 以前にも書きました通り、JR東海の「TOICA」、JR西日本の「ICOCA」については、来年春からJR九州の「SUGOCA」と相互利用できるようになります。その開始の日が明らかになりました。

 相互利用開始の日は、2011年3月5日、九州新幹線全線開業の日より、1週間早いです。この日から、「TOICA」「ICOCA」「SUGOCA」のいずれかを持っていれば、東海・関西・岡山広島・北九州(下関駅を含む)のエリア内で相互利用ができます。ただし、福岡市地下鉄が絡む関係上、筑肥線・唐津線の姪浜-西唐津間では「TOICA」「ICOCA」は使えません。

 また同日から、「EX-ICサービス」あるいは紙の新幹線の切符と「TOICA」「ICOCA」「SUGOCA」等のICカードを組み合わせて、自動改札機を通ることもできます。5日の時点では「TOICA」「ICOCA」エリアの東海道・山陽新幹線乗換改札口だけですが、九州新幹線が開業する12日からは、小倉駅・博多駅の新幹線乗換改札口においても同じように新幹線の切符とICカードの組み合わせで自動改札機を通ることができます。九州新幹線には「EX-ICサービス」はありませんが、紙の新幹線の切符なら、ICカードと組み合わせて自動改札機を通ることができます。

 なお、「TOICA」「ICOCA」と「SUGOCA」の相互利用開始を記念して、記念のICカードを発売します。各社のキャラクターが楽しく旅をしているデザインです。3社とも図柄は異なります。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/nws000648.html)

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宇高航路、18~24歳のドライバー限定で1000円に割引

 今年廃止の危機に見舞われた宇高航路。とりあえず廃止の危機は去りましたが、目先の選挙を考え税金で高速道路料金を値引くばかりで(最近もこういう動きがあります)、根本的な解決にはなっていません。

 そこで宇高航路の存続を目指す、「宇野高松航路活性化再生協議会」は、社会実験を行います。年末年始の12月18日~1月10日の間で高速道路の1000円乗り放題が行われる日に限り、18~24歳の運転する乗用車の運賃を1000円に値引きするのです。宇高航路を運航する国道フェリー、四国フェリーの2社ともに適用されます。利用者にはアンケートを行い、船の感想や改善点を聞くようです。

 なぜ18~24歳に限って割り引くのでしょうか? 上の世代なら、宇野と高松の間に連絡船があったことは知っています。しかし、若い人にとって瀬戸大橋は物心ついたときからあるもの。連絡船があったことも、そして今なおフェリーが運航していることも知らないのが多いのです。そういう世代に航路の存在をPRするのが目的なのです。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/area/okayama/news/20101212ddlk33040293000c.html)

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JR東海、リニア京都経由は否定

 リニアは1973年に基本計画ができた際、奈良市付近を経由すると決められました。しかし、京都府、京都市、京都経済界はそのルートを変更して、京都にリニアを通そうとしています。

 そういう状況の中、JR東海の山田社長は8日、大阪市内で会見を行いました。そこで、リニアの京都経由を改めて否定、奈良市付近を経由するという従来の計画で進めることを明らかにしました。

 ただ、現在の京都駅の利用者に対しては、何もしないというわけではありません。(リニアが通らない)新横浜、京都、新神戸の利用者のために、「のぞみ」は残します。停車駅の増える「ひかり」で行かなければいけないということはないようです。

 話は変わりますが、当blogでも何回か書きましたように、リニアは一気に新大阪までつくったほうが便利です。暫定的とはいえ、名古屋止まりでは中途半端です。リニアについて検討する交通政策審議会でも、新大阪までの全線開業の時期の繰り上げを求めています。それに対してJR東海の山田社長は、すべて自己資金でリニアを建設するために、大幅な前倒しは難しいと述べています。

 ただ、同じ発言で「無利子の資金があれば別だが」とも述べています。国が無利子融資というかたちで資金を提供し、それで早期に(できれば一気に)開業させるというのも手ではないでしょうか?
(参考:京都新聞ホームページ http://kyoto-np.jp/economy/article/20101208000178)

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九州新幹線「さくら」、新大阪-鹿児島中央間21300円

 なかなか決まらなかった九州新幹線の料金。このblogでも何回か取り上げたのですが、ようやく決まりました。JR九州が10日、国土交通大臣に認可申請したのです。今回申請したのは、九州新幹線の特急料金の上限です。50キロ以下の区間を利用する場合や東海道・山陽新幹線と九州新幹線を乗り通すときには、認可後の届け出により割安の料金を適用します。

 主な区間の運賃・普通車指定席料金(「さくら」通常期)の合計額は、新大阪-鹿児島中央間が21300円(現在は、「ひかり」「リレーつばめ」「つばめ」の組み合わせで21000円)、新大阪-熊本間が18020円(現行:16540円)、博多-鹿児島中央間が10170円(現行:9420円)、博多-熊本間が4990円(現行:3940円)、熊本-鹿児島中央間が6760円(現行:6350円)です。現行のケースと比較すると、一部の区間を除いてどこも料金が上がっています(新鳥栖は鳥栖、新大牟田は大牟田、新玉名は玉名と比較しています。また、新幹線開業とともに熊本方面に600メートル移設される筑後船小屋は、新駅の位置に在来線特急が停まったとして料金の比較をしています)。すでに開業している新八代以南も、若干ですが特急料金が変わります。

 このように料金が上がった原因は、九州新幹線の料金が高いこと。150キロまでは現在の東海道・山陽新幹線と同じですが、それを超えるとかなり上がるのです。博多-鹿児島中央間の特急料金は4810円、東海道・山陽新幹線だと3760円です。

 反対に、50キロ以下(50キロをわずかに超える博多-筑後船小屋間を含む)の利用については、安い料金が適用されます。指定席で1710円、自由席で1200円です。並行する在来線もJRが運営する博多-新八代間、川内-鹿児島中央間の隣接駅相互間(博多-久留米間を含む)の自由席はさらに安く、830円です。150キロをわずかに超える博多-新八代間については、150キロ以内の料金(指定席2920円、自由席2410円)を適用します。

 東海道・山陽新幹線と九州新幹線を乗り通した場合、東海道・山陽新幹線と九州新幹線の料金を合算します。しかし、このままでは、指定席と自由席の差額が1020円となってしまいます。そこで、指定席で東海道・山陽新幹線と九州新幹線を乗り通す場合、九州新幹線の料金を510円引きます。すなわち、指定席の場合は、切符を博多で分けずに通しで買ったほうが若干安いのです(博多駅で「のぞみ」と「つばめ」を乗り継いでも、改札さえ出なければ構いません)。また、小倉と九州新幹線各駅相互間、新鳥栖・久留米と東海道・山陽新幹線各駅相互間を指定席で利用する場合、自由席との差額が510円になるように調整されます。すなわち、前者は山陽新幹線が740円引きになり(九州新幹線の510円引きはそのまま)、後者は九州新幹線が880円引きになります。

 1日朝夕に2往復ずつ運転される「みずほ」の追加料金については、山陽新幹線のみにかかることになりました(九州新幹線のみを利用する場合にはかかりません)。「のぞみ」と同じで、新大阪-博多間300円です。

 これまで九州新幹線は繁閑にかかわりなく年間を通じて同一の指定席料金でしたが、3月12日以降はJR西日本などと同じく、200円高い繁忙期、200円安い閑散期を設定します。繁忙期、閑散期、通常期の区分はJR西日本などと同じです。

 また、九州新幹線にはこれまでグリーン車はなかったのですが、N700系のデビューにより、新たにグリーン車が登場します。グリーン料金は、100キロまでが1000円、200キロまでが2000円、300キロまでが3000円です。東海道・山陽新幹線と九州新幹線を乗り通すときは、両者のグリーン料金を合算します。
(参考:JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/549543b259283fbc492577f500088703/$FILE/%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E3%81%AE%E9%81%8B%E8%B3%83%E3%83%BB%E6%96%99%E9%87%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%89.pdf、http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/549543b259283fbc492577f500088703/$FILE/%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E3%81%AE%E9%81%8B%E8%B3%83%E3%83%BB%E7%89%B9%E6%80%A5%E6%96%99%E9%87%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E5%88%A5%E7%B4%99%EF%BC%89.pdf)

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JR西日本、大糸線などを廃止の意向

 JR西日本の佐々木社長は1日、東京都内で記者会見をしました。その内容は、大糸線(南小谷-糸魚川間)、氷見線、城端線の3つについて、廃止(バス転換)や本数削減などをしたいと考えているということでした。

 これら3線は、いずれも2014年度に金沢まで暫定開業予定の北陸新幹線沿線にあります。いずれも枝線で、もともと新幹線開業以降の去就が注目されていました。ほかに北陸新幹線沿線の支線としては、高山線(猪谷-富山間)と七尾線がありますが、特急が走ることもあり、幹線ネットワークの一部とされ、廃止や減便の対象から除外されたのでしょう。佐々木社長によれば、これら3線は採算が厳しく、ほかの線から利益を回して何とかやっている状況です(もっともこれは大糸線など3線に限った話ではありません。中国地方の山間部などにゴロゴロしています。大半は鉄道としての使命を失った路線です)。佐々木社長は、地元に対して対策の協議を呼び掛けています。

 ただ、大糸線と他の2線は様子が異なります。氷見線、城端線の2007年の輸送密度はそれぞれ、2433人、2684人で1986年に比べて4~5割減っていますが、(運賃水準が低いJRとしては成り立たないかもしれませんが)鉄道として成り立たないほどではありません。下手に減便をやってしまうと、余計に乗客が逃げてしまいます。第三セクターにして、本数を増加させたほうが望ましい路線なのかもしれません。反対に、大糸線のそれは165人です。第三セクターにしてある程度の赤字を容認できる組織にしたとしても、運営できないほどの数字です。鉄道として成り立たないのは明白です。

 早速、地元では廃止反対の要望を行う動きがあるようです。バスでも十分な路線は存続を求め、バスでは運びきれない路線は廃止を求める。奇妙な話です。
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010120101000907.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/niigata/news/20101203ddlk15020138000c.html、週刊東洋経済 2010年4月3日号)

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常磐線特急にE657系投入

 新幹線が通らない常磐線は特急の天下。「スーパーひたち」「フレッシュひたち」が35.5往復(上野発着列車のみ、そのほかにいわき発仙台行きの「スーパーひたち」が1本あります)し、1日約2.6万人の利用があります。651系とE653系の2種類の車両で運転されています。

 JR東日本は、その常磐線に新型特急車両E657系を投入します。E657系は10両編成(定員はグリーン車30名、普通車570名)で、16本投入されます。2012年の春から営業運転を開始し、2012年秋にすべてを置き換えます。

 E657系は走行中の振動を軽減するフルアクティブサスペンションを先頭車とグリーン車に設置するとともに、空調を個別吹き出しとします。各座席で風向きと風量の調節ができます。また、WiMAXを用いたブロードバンド環境を構築し(当初は水戸以南のみ)、車内でインターネットができます。各座席にはパソコンを置くことができるテーブルとコンセントが備え付けられています。改良型ハンドル形電動車いすが利用できる大型トイレ・多目的室と車いすを固定することができる座席を設置するとともに、各客室内とトイレには乗務員と連絡可能な非常通話装置、各客室の出入り口には防犯カメラを設置します。

 これはただの新型車両への置き換えではありません。E657系が運転を開始する2012年春には、常磐線特急の運行区間が大きく変わります。上野発着の特急はいわきまでしか行きません。原ノ町、仙台方面にはいわきで乗り換えになります。E657系は上野-いわき間で運転され(置き換えが完了する2012年秋までは651系も使用)、いわき-仙台間はE653系で運転されます。いわき-仙台間に運転される特急の愛称は、新たなものがつけられます。乗り換えとなるいわきでは、同一ホームでの乗り換えが行えるように配慮されるようですが、特急料金も通しの料金でできるように配慮しなければいけないでしょう。

 この置き換えによって、651系とE653系の大半が余ります。その行き先については発表がなされていません。しかし、デビューして20年経つ651系は廃車になるかもしれませんが(同じころにデビューした253系も大半は廃車になりました)、E653系はほかの線に行くことになるでしょう。60ヘルツにも対応し、耐雪・耐寒構造にもなっているE653系は便利な存在です。「いなほ」や「北越」(ただし、「北越」は2014年の北陸新幹線金沢暫定開業で廃止になると考えられます。新潟-新井間の「くびき野」になると思われます。それを考えたら、「いなほ」のほうが優先順位は明らかに高いです)の置き換えに回ることでしょう。ただ、E653系にはグリーン車がありません。転用の際にはグリーン車を設置する改造がなされるものと思われます。
(参考:JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/press/2010/20101206.pdf)

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和田岬線、地元の要望により廃止か?

 JR神戸線の兵庫駅から枝分かれする、たったひと駅の路線。正式には山陽線の一部ですが、「和田岬線」と呼ばれています。この和田岬線に廃止の話があるようです。早ければ2012年度にも廃止するようです。

 和田岬線が廃止になるのは他のローカル線のように、需要が少なく、赤字だからというわけではありません。工場への通勤輸送として朝夕に平日(月~金)は17往復、土曜日は12往復しています。工場が休みになる日曜日はたったの2往復です。1日の乗車人数は約1万人あり、とても廃止になるような少ない利用者数ではありません。また、車両も通勤輸送に適している(減価償却しきった)103系が使えるので、輸送コストは小さいです。

 それなのに廃止の話が出ているのには、理由があります。廃止の話を出したのは、地元サイドです。地元では、運河を活かした街づくりが進んでいるようです。船の運航や散策のコースをつくる際、和田岬線が邪魔になるようです。そこで、和田岬線の廃止を考えているようです。

 しかしこれは、表向きの理由です。本当の理由は、和田岬を通る地下鉄海岸線の利用者を増やすためです。海岸線は2001年に開業しましたが、実際の利用者は需要予測の3割程度しかなく(2008年度は約4.2万人)、開業以来赤字が続いています。和田岬線の利用者が(廃止によって)海岸線を使ってくれれば、それなりのテコ入れにはなります。

 はっきり言って、動機が不純ですね。利用者不在の話です。

(追記)
 JR西日本によれば、地下鉄海岸線の開業と沿線にある三菱グループの従業員の減少により、利用者が約3割減っています。それでも1日1万人の利用者がありますが(黒字路線です)、神戸市の不純な動機による廃止の要望を受けて、廃止の検討を行うようです。

 もっとも、神戸市のもくろみ通り、和田岬線の利用客が高くて不便な地下鉄海岸線に移ったとしても、需要との差は到底埋まりません。
(参考:読売新聞12月4日夕刊、asahi.com http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK201001310009.html、http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201201050065.html、神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003805740.shtml)

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再び高速料金2000円乗り放題にこだわる、政府案

 自民党政権時代、麻生総理のときに景気対策としてはじめた、高速道路の休日1000円乗り放題。時限措置なので、来年3月に終了します。そこで、国交省は新しい高速料金制度を検討してきました。前原外相が国交相であった4月にいったん、普通車2000円乗り放題などの新料金制度案を出しましたが、与党内からの反対が多く、案は幻となってしまったのです。

 新しい高速料金制度案も、基本的には4月に出されたものと同じです。新料金は曜日やETCの有無に関係なく適用され、軽自動車・エコカー(燃費が1リットルあたり20キロ以上)は上限が1000円、普通車は2000円です。前原国交相時代の案では上限がそれぞれ5000円と10000円であった中大型車、特大車は従来通りの距離に応じた料金となります。仕事での利用より、レジャーでの利用のほうが優遇されるようです。前原国交相時代の案では普通車3000円であった本州四国連絡高速道路は2000円となります。首都高速と阪神高速については前原国交相時代の案と同じく、現在の均一料金から距離に応じた料金に変わります。ただ、首都高速や阪神高速はこれまで均一料金制度だったため、基本的には入口にしか料金所はありません。距離に応じた料金になるのはETCの場合だけで、それ以外の場合は上限料金を支払うことになると考えられます。現在700円の区間の場合、200円高い、900円になります。

 新料金制度の導入に伴い、休日1000円乗り放題、平日昼間3割引などの期限つきの割引は廃止されます。高速道路会社が独自で行っている通勤割引は残るようです。前原国交相時代の案とは異なり、割引財源から外環道などの建設に充てないので、割引に回すことのできる分がその分増えるためです。うまく時間を選べば安い料金で高速道路を走ることができますが、短距離の利用の場合は値上げになる危険性が高いです。この基本原則は変わりません。どこまで行っても2000円なので、車で遠くまで出かける人が一番得をします。中長距離の移動なら、鉄道や航空機のほうが適しているのですが、それに反する行動をとったほうが有利なのです。車の特性を活かすなら、短距離を割引き、長距離はむしろ高くしないといけないのに、反対のことをやろうとしているのです。決して評価できる案ではありません

 新しい高速料金制度案は、来週、民主党の国土交通部門会議に提案され、与党内で検討されます。高速料金は国交相の認可事項でありますが、与党の了承がないまま押し切るのは難しいからです。与党内の議論では、単に次の選挙に勝つにはどうすればいいかの観点ではなく、望ましい交通のありかたから考えていただきたいところですが、そんな余裕はないでしょうね。

(追記)
 新しい政府案では、通勤割引、大口・多頻度割引なども残るため、割引財源から使う額が従来の5000億円から7000億円ほどに増加します。そのため、当初の予定では2017年度まで使えたのですが、2013年度までで使い切ってしまうようです。

 財源が厳しい中、2014年度以降はどうするのでしょうか? そもそも、(瀬戸大橋などの特殊な道路でないのに)税金で高速道路を安くすること自体が適当なのかという大きな疑問がありますが。
(参考:朝日新聞12月3日朝刊 中部14版、朝日新聞12月7日朝刊 中部14版、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101202-OYT1T00656.htm?from=navr)

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米軍基地に適さない、関空を視察しても意味はない

 28日の沖縄県知事選で勝利した現職の仲井真知事。普天間基地問題では、(国外への移転を主張した対立候補とは違い)県外への移転を主張しました。

 とは言っても、自衛隊ならともかく、米軍基地を誘致するようなところはそうありません。そこで仲井真知事は思い出しました。大阪府の橋下知事が、国から米軍移転の話があれば、話には応じてもいいということを。仲井真知事は取りあえず、(米軍基地の移転先候補として考えられている)関空を視察するようです(ただし、現在の橋下知事は、関空・伊丹の経営統合構想があることを理由に、米軍の受け入れには否定的です)。

 しかし、米軍基地を関空に移転する意味は全くありません。あるのは「沖縄がかわいそうだから」だけであり、軍事的な視点は全くありません。軍事施設で一番重要なことは、予想される危険をどうやって防ぐのかということであります。この原理原則を外してはいけません。それを考えると、西のほうに固まるのはやむを得ないことです。特に島が連なる沖縄は重要な拠点です。網目が欠けると、そこから軍事大国が姿を現します。

 確かに都市化の進んだ普天間基地は危険性が高いです。その意味では、国内政治的にはともかくとして、辺野古はよくできた案でした。都市化している沖縄南部を避け、軍事面などへの影響が小さいですから。ベストでなくてもベターな案だったでしょう。このまま辺野古に「No」と言ってしまえば、残るのは現状の普天間固定という最悪の事態です。

 関空はめったに航空機が飛んで来ない、ローカル空港ではありません。滑走路が2本あるので余裕がありますが、裏を返せば1本では厳しくなる、ということです。仲井真知事は、米軍基地の移転をお願いするなら、地方のめったに航空機が飛んで来ない空港に行かないといけません。最初は門前払いでしょうが、粘り強くお願いしないといけないでしょう。日米同盟をも無視しかねないような対立候補とは違い(この場合は「非現実的」として無視すればよい)、現職が勝ったので、政府サイドもそれなりの成果を用意しないといけないですが、仲井真知事が関空に狙いを定めるのは見当違いです。早く方向転換したほうがよいでしょう。

 さて、関空の課題はと言えば、早く有利子負債を返すことです。借金と利子さえなければ、関空は大黒字の空港です。借金は徐々にではありますが減ってはいます。利子があるので補給金がない限り赤字ですが、キャッシュフローは黒字だからです。以前から何回も書いていますが、関空はどうにもならないダメ空港ではないのです。

 とは言っても、負債は重いです。リニアが名古屋まででもできると、関西の航空需要は減ってしまいます。それまでにある程度は有利子負債を減らしておく必要があるでしょう。

 伊丹との経営統合の話があります。関空と伊丹は、同じ運営会社のもとで運営されるので、伊丹の利益を回すことができます。関空の低迷の原因は、(関空開港によって消えるはずだった)伊丹が残っていることです。一方が騒音で社会問題になるほど「便利」、もう一方が環境に配慮したが故に「不便」、しかも両者からの運賃に差がないのでは、一方に集中するのは当たり前です。しかも、伊丹はそれほど儲っている空港ではありません。伊丹の黒字は50億円、利子補給金の半分ほどです。早く関空の負債を減らして一本立ちさせたほうが得策です。この差を補うためにも、伊丹を利用する航空会社及び客に追加料金を徴収するのがよいでしょう。「便利」というならそれに見合ったお金を払うことは経済的に説明がつきます。嫌なら関空に行くか新幹線に乗ればいいのです。

 関空は奇策によってしか生きられない、危険な空港ではありません。地理的に適していないのに、わざわざ軍事施設を受け入れる必要はないのです。伊丹からお金を請求できる権利がありますから、それを適切に行使して、有利子負債の返済に充てればいいのです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101130-00000033-yom-pol、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101130-00000512-yom-pol)

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ガソリン1リットル79銭の増税なら、揮発油税等減税の必要なし

 民主党税制改正プロジェクトチームは11月24日、地球温暖化対策税(環境税)を来年度から導入する提言案をまとめました。原油や天然ガス、石炭などの化石燃料を輸入した段階で石油石炭税は課税されます。今年度の税収見込は約4800億円です。民主党はこの石油石炭税を1.5倍に増税し、増税分約2400億円を「環境税」とします。環境税は、温暖化対策などに活用します。なお、初年度の増税額は産業界からの慎重意見が強いことから、数百億円程度になるようです。

 石油石炭税を増税すると、ガソリンや軽油は当然として、鉄道会社やバス会社の負担も増えます。電車は電気で動きますが、その電気は石油などを燃やしてつくっているのもあるからです。鉄道やバスの運賃に転嫁される可能性はあります。

 そのこと自体はやむを得ないですが、理解できないのは、同じ提言において、ガソリン価格の上昇を避けるために、揮発油税等の減税を指摘していること。1リットル79円上がるのならば、揮発油税等の減税を考えないといけないでしょうが、今回の石油石炭税の増税幅は1リットルあたりたったの79銭。日ごろのガソリン価格の変動のほうがはるかに大きいです。無視できる水準です。

 鉄道は環境に優れた交通機関。車も環境対策は進むでしょうが、一度に大量に運ぶことができない、という欠点があります。バスでも十分運べそうなローカル線はむしろ無駄が多く、環境にも悪影響でしょうが、新幹線などの幹線鉄道網や通勤路線はもっと整備する必要があります。環境税をもっと増税して車の利用に対するコストを上げ、その増税分で鉄道を整備する。望ましい方向です。
(参考:朝日新聞11月25日朝刊 大阪13版)

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