再び高速料金2000円乗り放題にこだわる、政府案
自民党政権時代、麻生総理のときに景気対策としてはじめた、高速道路の休日1000円乗り放題。時限措置なので、来年3月に終了します。そこで、国交省は新しい高速料金制度を検討してきました。前原外相が国交相であった4月にいったん、普通車2000円乗り放題などの新料金制度案を出しましたが、与党内からの反対が多く、案は幻となってしまったのです。
新しい高速料金制度案も、基本的には4月に出されたものと同じです。新料金は曜日やETCの有無に関係なく適用され、軽自動車・エコカー(燃費が1リットルあたり20キロ以上)は上限が1000円、普通車は2000円です。前原国交相時代の案では上限がそれぞれ5000円と10000円であった中大型車、特大車は従来通りの距離に応じた料金となります。仕事での利用より、レジャーでの利用のほうが優遇されるようです。前原国交相時代の案では普通車3000円であった本州四国連絡高速道路は2000円となります。首都高速と阪神高速については前原国交相時代の案と同じく、現在の均一料金から距離に応じた料金に変わります。ただ、首都高速や阪神高速はこれまで均一料金制度だったため、基本的には入口にしか料金所はありません。距離に応じた料金になるのはETCの場合だけで、それ以外の場合は上限料金を支払うことになると考えられます。現在700円の区間の場合、200円高い、900円になります。
新料金制度の導入に伴い、休日1000円乗り放題、平日昼間3割引などの期限つきの割引は廃止されます。高速道路会社が独自で行っている通勤割引は残るようです。前原国交相時代の案とは異なり、割引財源から外環道などの建設に充てないので、割引に回すことのできる分がその分増えるためです。うまく時間を選べば安い料金で高速道路を走ることができますが、短距離の利用の場合は値上げになる危険性が高いです。この基本原則は変わりません。どこまで行っても2000円なので、車で遠くまで出かける人が一番得をします。中長距離の移動なら、鉄道や航空機のほうが適しているのですが、それに反する行動をとったほうが有利なのです。車の特性を活かすなら、短距離を割引き、長距離はむしろ高くしないといけないのに、反対のことをやろうとしているのです。決して評価できる案ではありません。
新しい高速料金制度案は、来週、民主党の国土交通部門会議に提案され、与党内で検討されます。高速料金は国交相の認可事項でありますが、与党の了承がないまま押し切るのは難しいからです。与党内の議論では、単に次の選挙に勝つにはどうすればいいかの観点ではなく、望ましい交通のありかたから考えていただきたいところですが、そんな余裕はないでしょうね。
(追記)
新しい政府案では、通勤割引、大口・多頻度割引なども残るため、割引財源から使う額が従来の5000億円から7000億円ほどに増加します。そのため、当初の予定では2017年度まで使えたのですが、2013年度までで使い切ってしまうようです。
財源が厳しい中、2014年度以降はどうするのでしょうか? そもそも、(瀬戸大橋などの特殊な道路でないのに)税金で高速道路を安くすること自体が適当なのかという大きな疑問がありますが。
(参考:朝日新聞12月3日朝刊 中部14版、朝日新聞12月7日朝刊 中部14版、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101202-OYT1T00656.htm?from=navr)
| Permalink | 0
「道路、車」カテゴリの記事
- 全国幹線旅客純流動調査をわかりやすく分析したblogがあった(2022.05.21)
- 首都高速にハイウェイオアシス(2022.04.03)
- 新名神八幡-高槻間の開通、4年遅れる(2022.02.26)
- 阪神高速14号松原線の一部区間が3年間通行止め(2022.01.16)
- 電気自動車のバッテリーを鉄道で再利用(2022.01.09)
Comments