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仙石線に新型列車制御装置

 鉄道においては、列車が追突するのを防ぐため、線路を一定の区間ごとに区切り、そこにはひとつの列車しか入らないようにしています。軌道に電流を流すことによって列車の位置を検知し、運転士には先行列車の位置を信号によって知らされます(新幹線など一部の区間を除いては、線路沿いに立っている信号機によって知らされます)。すぐ前に先行列車があれば赤(当然ながら進入できない)、ずっと遠くにしか先行列車がないときは青(フルスピードで走ることができる)が表示されます。

 ところが、JR東日本は3月27日から仙石線のあおば通-東塩釜間に、新しい列車制御装置(ATACS)を導入します。ATACSは各列車の運転席にアンテナと計算機能を持った装置(車内信号機)を置き、無線で位置情報を沿線に1か所ある基地局に発信します。基地局は列車間の距離を算出し、各列車にこれ以上進むと衝突する危険性のある距離(停止位置)を伝えます。それを基に各列車がそれぞれ適切な速度を算出する仕組みです。すでに香港のディズニーランドには同様の設備がありますが、都市型鉄道としては世界初の事例のようです。

 ATACSの導入により、信号機などの設備は不要になり、設備が簡素化されることで故障となる原因が減るとともに、メンテナンスコストの低減も図れます。仙石線はほかの線との乗り入れがない独立した路線であるため(車内信号機を置く車両が限定できる)、最初の導入路線に選ばれました。このATACSの本命は首都圏。閉塞の概念が変わることにより、今よりも列車の増発ができるのかもしれません。

(追記1)
 東日本大震災の影響により延期されていたATACSの導入ですが、当初の予定から半年ほど遅れて9月25日から使用開始することになりました。

(追記2)
 さらに、台風15号の影響により、ATACSの運用開始が10月10日に再延期されました。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090128-945707/news/20110205-OYT1T00454.htm、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/110207/myg11020700510000-n1.htm、JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/press/2009/20090406.pdf、http://www.jreast.co.jp/press/2011/20110619.pdf、日本経済新聞 http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A90889DE1E3EBE2E4E4E7E2E2EBE2E5E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;df=3)

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Comments

ATACSのメリットは、

・列車間距離は車両の性能に合わせ、最適な距離を保てばいいため、加速性能の悪い貨物列車に合わせて、不必要に長い閉塞区間を採る必要がなくなる。

・踏切でも、不必要に長く遮断する必要がなくなり、待ち時間の短縮に繋がる

首都圏だけでなく、超高速で走るリニアにも不可欠の技術だと言われている。

Posted by: かにうさぎ | 2011.02.14 10:26 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 首都圏だけでなく、超高速で走るリニアにも

 今までの信号方式でも、ATS-Pのようにそれなりの効果があるものもありますが、開発が進んで、応用できればいいですね。

Posted by: たべちゃん | 2011.02.15 04:49 AM

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