伊丹の活用とは適正な負担をさせること
このblogで何回か取り上げた、関空と伊丹の経営統合の話。18日、その経営統合を行うための法案の骨子を地元自治体や経済界関係者に示しました。国交省は地元自治体等から大筋で了承を得たと考え、閣議決定をしたのち、2012年度中の経営統合を目指して国会に提出します。
経営統合ののち、関空・伊丹の両空港はどうなるのでしょうか? 法案では、両空港ともに活用するという、この種の文書に多い、反対意見が出ないように工夫された、どのようにもとれる内容になっています。事実、関空側、伊丹側の両方の自治体も容認しています。
関西の空の表玄関である関空はともかく、伊丹を活用するとはどういうことでしょうか? 法案にははっきりとは書いていませんが、伊丹のジェット機の便数規制を緩和して(枠が余っているプロペラ機の分を振り替える)、伊丹の発着便数を増やす方向のようです。
しかし、伊丹はリニアが開業すれば廃止も考えられる、将来性の見込めない空港。今になって増便なんかして、本当に廃止できるのでしょうか? ややこしい要因は減らしたほうがよいです。伊丹の役割を(新幹線などと競合する)短距離便に限定するなど、縮小の方向性をみせておかないといけません。
ただし、伊丹をすぐに廃止できる訳ではありません。当分の間は伊丹も使わざるを得ません。よく「伊丹は便利、関空は不便」と言われます。需要があっても拡張できず騒音が社会問題となった伊丹と、それらをクリアした関空を同列に比較した、ナンセンスな話です。関空が国営の空港なら、土地造成の利子負担はなく、固定資産税もありません。今ごろ大儲けの空港で、黒字をどうやって利用者に還元するかが話になることでしょう。伊丹でも、民間になれば固定資産税の話が出てきます。土地の固定資産税を払えば、「伊丹が儲っている」という「神話」も、メッキがはがれるかもしれません。
そんなに伊丹が便利だと主張したいのなら、その便利さに見合った負担をすればいいのです。伊丹の利用者はざっと年間1500万人なので、1人1000円ずつ払えば(少々利用者が減っても)100億円は堅いです。関空への補給金を上回ります。2000円なら、利子支払額の大半をカバーできます。伊丹の利用者に負担を課すことにより、伊丹が赤字になればどうするのでしょう。(将来性のない)伊丹を潰して土地を売ればいいのです。伊丹を潰しても関空の利用者が劇的に増える訳ではありませんが、ややこしい要因は減ります。これが伊丹の望ましい活用のしかたです。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110218/biz11021822120038-n1.htm、http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110218/plc11021801310001-n1.htm、http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110203/plc11020309030004-n1.htm)
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Comments
>そんなに伊丹が便利だと主張したいのなら、その便利さに見合った負担をすればいいのです。
適正な負担をさせるなら、同時に伊丹への諸規制も撤廃して、国際線も自由に飛べるようにしろと言いだすでしょう。
伊丹の容量には限界があるから、ビジネス客の多い主要路線は伊丹に集中し、関空や神戸は、レジャー客の多い単価の低いマイナー路線や格安航空ばかりということになる。
結局、これも廃港が一層困難になる話でしょう。
Posted by: かにうさぎ | 2011.02.23 11:53 PM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 適正な負担をさせるなら、同時に伊丹への
確かに、伊丹に関する規制を緩和して、伊丹に稼いでもらう、という方法はあるでしょう。
しかし、利子支払前の収益で考えると、関空のほうが上。現状でも関空のほうが稼ぐ力はあるのです。
それを考えると、(発着便数の増加などの)伊丹の活用は得策ではなく、当面は利子をカバーさせ、最終的には廃港にするのが望ましい方向でしょう。
Posted by: たべちゃん | 2011.02.25 06:52 AM