「子ども手当」、9月末で廃止へ
2009年の総選挙で民主党がマニフェストとして掲げ、2010年度から支給が開始された「子ども手当」。中学生まで1人当たり月13000円が支給されます。
しかし、東日本大震災の復興に多額の費用が必要となるため、9月末で廃止になるようです。10月からは、自民党時代の「児童手当」(所得制限あり)が復活します。3歳未満が1人当たり月10000円、3歳以上小学生以下が1人当たり月5000円です(第3子以降は月10000円)。今年から「子ども手当」の対象となる中学生以下の扶養控除が廃止されたため(住民税は来年から)、子供を持つ家庭だけが東日本大震災の財源を負担することになります(そのほか、高速道路関連はこちらを参照)。本当なら増え続ける社会保障全体にメスを入れないといけなかったのですが、選挙を恐れて、高齢者の年金の削減は言いだせなかったのでしょう。受益の多い高齢者ではなく、将来世代にだけ負担が出るのです。
確かに「子ども手当」には様々な問題があります。しかし、少子化が進む現在、子供を持つ家庭を経済的に優遇することは望ましい方向性であり、「ベーシックインカム」に通じるところがある「子ども手当」の考え自体は誤ってはいません。昔なら、結婚して子供を産むことを社会的に強制できたかもしれませんが、さすがにそれを強制することはできません。経済的なインセンティブをつけるしか対策はないのです。財源は、本来なら所得税を薄く広く増税することによってカバーすべきところだったのです。独身の人、高齢者、高所得者に負担してもらうことにより、財源を確保すべきだったのです。
せめて、「児童手当」の支給額を増やすことにより、子育て世代への負担を軽減する必要があるでしょうね。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110412-OYT1T01200.htm、厚労省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/jidou-teate.html)
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Comments
>しかし、少子化が進む現在、子供を持つ家庭を経済的に優遇することは望ましい方向性であり
しかし、巨額の財源が必要な割には、その効果には疑問があると思います。
なお、高速道路の休日1000円も廃止となるようです。
http://www.asahi.com/politics/update/0416/TKY201104150582.html
Posted by: かにうさぎ | 2011.04.16 10:31 AM
かにうさぎ さん、おはようございます。
* しかし、巨額の財源が必要な割には、
財源は本文にも書きましたように、所得税の増税などでカバーすべきところでしょう。財源を出さずに支払いだけを行うので、おかしくなるのです。
* なお、高速道路の休日1000円も廃止となるようです。
きっかけはともかく、廃止になること自体は望ましいことであります。
Posted by: たべちゃん | 2011.04.17 07:28 AM
問題は、出生率回復にどれだけ効果があるかということです。どこかの外国のまねをしたのだろうが、日本な場合
・諸外国に比べ、結婚後、女性が就業するにはハンデイ・障害が多い
・未だ、「女は家庭」という意識が強い
・子ども手当が支給されるのは15歳までだが、金がかかるのはむしろそれ以降、とりわけ大学生だ。外国では、大学生は、経済的にも自立するのが当たり前なのに、日本はまだ親がかりだ。
これらを考慮すれば、単純に金をばら撒けば出生率が回復するとは期待し難い。
>所得税の増税などでカバーすべきところでしょう。
そんな金があるのなら、既存の財政赤字を削減すべきでしょう。
Posted by: かにうさぎ | 2011.04.17 11:12 AM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 問題は、出生率回復にどれだけ効果があるかということです。
短い期間で「子ども手当」をつぶしてしまうので、効果に対する検証すらできなくなってしまいました。
* ・子ども手当が支給されるのは15歳までだが、
「子ども手当」の支給期間を22歳まで伸ばすという方法がありますね。高校無償化のように、外国人学校について支給の是非を考える必要もなくなります。
* そんな金があるのなら、既存の財政赤字を
財政赤字の解消には、消費税の増税なしには考えられないでしょう。現役世代だけに負担を押し付けても解消できません。
Posted by: たべちゃん | 2011.04.18 04:44 AM