路面電車で宅配便
以前に、地下鉄で宅配便を運ぶという話を書きましたが(その後どうなったのでしょうか?)、京都で新たな動きが出てきました。
これまでヤマト運輸は、嵐山方面に宅配便を配達するとき、いったん京都府久世郡久御山町にある物流ターミナルから嵐山担当営業所まで大型トラックで宅配便を輸送し、そこから2トントラックなどに積み替えて個人宅や事業所に配達を行ってきました。しかし、5月18日から、西院車庫(駅ではなく、車庫で積み込みます)-嵐山・嵐電嵯峨間を京福電気鉄道(嵐電)で輸送することになりました。物流ターミナル間の輸送を鉄道で行うことはすでに行われていますが、物流ターミナルからの輸送を鉄道で行うのは初めてのことです。
宅配便を輸送するための電車は1日1便(将来、宅配便などの量に応じて増便も検討します)。1両を丸ごと貸し切ります。西院車庫平日7:20発、休日8:05発です。西院車庫でリヤカーに装着する集配用コンテナを搭載した台車ごと電車に積み込みます。電車が嵐山・嵐電嵯峨に着いたら、台車を降ろし、リヤカー付き電動自転車で1台ずつ引っ張って配達を行います。
このことにより、トラックの台数を抑制でき、CO2排出量も年間30トン以上減らすことができます。また、観光シーズンになると嵐山周辺では激しい渋滞が起きますが、それに悩まされることもなくなります。
将来的には、嵐山・嵐電嵯峨以外でも同様の取り組みを行い、嵐電沿線ではできるだけトラックを使わずに集配することで、さらなるCO2削減を行います。また、リヤカー付き電動自転車では対応できない駅から500メートル以上離れたところについては、新たに軽商用電気自動車を導入して対応します。
(追記)
2014年12月現在、宅配便を輸送するための貸切電車は平日は朝夕2便が運行され、1日400個の荷物の集配を行っています。終点の嵐山のほか、嵐電天神川、蚕ノ社、帷子ノ辻、有栖川、嵐電嵯峨の各駅でも荷物を降ろします。
(参考:京福電気鉄道ホームページ http://www.keifuku.co.jp/news/%28110518%29yamato%26randen.pdf、京都新聞ホームページ http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20110518000013、乗りものニュース http://trafficnews.jp/post/36941/2/)
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Comments
路面電車といっても、嵐電のほとんどの駅にプラットホームがあるので、台車の積み下ろしが容易なために、リヤカー付電動自転車による最終輸送が手間をかけずにできるのだと思います。
もっとも、CO2削減という地球環境よりも、渋滞多発や幅員狭小という嵐電沿線の道路環境の問題がより切実であって、その打開策として編み出されたのかなと思います。
ともあれ、この取り組みが鉄道貨物輸送の活性につながる大きな一歩であってほしいです。
Posted by: 96 | 2011.05.20 11:47 PM
96さん、おはようございます。
* 路面電車といっても、嵐電のほとんどの駅に
都電みたいに、ホームをかさ上げしてバリアフリーにした例がありますね。低床車はコストがかかるので、こういう解決策もあります。
* もっとも、CO2削減という地球環境よりも、
確かに道は細く、シーズンには渋滞しますからね。
Posted by: たべちゃん | 2011.05.21 07:40 AM