九州新幹線全線開業1か月間の利用状況(1)
全線開業して間もなく2か月となる九州新幹線。時期的には遅いですが、備忘録を兼ねて書きます。
JR九州が発表した九州新幹線開業1か月間(3月12日から4月11日まで)の利用状況によれば、博多-熊本間の利用者は合計74.6万人、1日平均では約24100人でした。この数字は前年同期間の在来線特急時代の数字、約18600人より30%増加しましたが、目標の25000人は若干下回りました。特に新幹線開業直後の増加率が鈍いことから、新幹線開業前日に起きた東日本大震災の影響があったと考えられます。また、熊本-鹿児島中央間でみれば、1日平均は約13900人、約9000人だった前年同期間に比べて55%増加しています。九州新幹線全線開業により、乗換えの不便さがなくなり、大幅にスピードアップしたのが大きいでしょう。去年は、博多ですら乗り換えが必要でしたから。
もっとも、どの列車も均等に乗っているわけではありません。列車別にみると、乗車率は大きく異なります。やはり人気が高いのは、新大阪直通の列車。「みずほ」も「さくら」もよく乗っています。博多-熊本間の乗車率は63%、熊本-鹿児島中央間の乗車率は42%です。あくまでも平均なので、時間帯やシーズンによっては、指定席が取りづらくなることもあります。増発が待たれます。
それに対して利用が低迷しているのが九州内(新下関発着を含む)で完結する列車。「さくら」は乗車率が博多-熊本間で43%、熊本-鹿児島中央間で40%ですが、問題は各駅停車の「つばめ」。博多-熊本間で23%、熊本-鹿児島中央間で19%とかなり低くなっています。各駅停車便は1時間に1本しかないので(朝夕の熊本以北は増えます)、これ以上削減するのも難しく、頭の痛いところです。
どうやら、低迷の要因は筑後地方での利用が伸び悩んでいること。何のためにつくったかわからない筑後船小屋に代表されるように、駅の数は多いですが、乗客は思ったようには増えていないようです。新大牟田駅の場合、平均乗降客数は平日約600人、休日約1000人。当初見込みの3、4割の水準です。街中から外れ(ただ、新幹線の場合、ルートの都合上、必ずしも駅を街の中心部に置くことができないのはやむを得ない面もあります)、本数も減り、料金も上がったのでは、低迷するのも当然でしょう。事実上の定価である「2枚きっぷ」(新幹線開業後は「九州新幹線2枚きっぷ」)の価格は大幅に上がっていますから。博多から新大牟田(在来線時代は大牟田)までが3000円から5000円、久留米に至っては「九州新幹線2枚きっぷ」の設定すらありません。
長くなるので、いったんここで切ります(続く)。
(参考:西日本新聞ホームページ http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/236886、JR九州ホームページhttp://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/GeneralFrameset?OpenFrameSet、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110421-OYT1T00368.htm?from=nwlb)
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