九州新幹線とそのライバルたち(3)
熊本市内の足は路面電車。路面電車は線路上しか走らないので、不慣れな人にもわかりやすい。路面電車の熊本駅前停留所は改良され、駅側に寄せられるとともに、大きな屋根がついた。(風が吹かない限り)雨に濡れずにJRの駅から路面電車に乗ることができるのだ。熊本駅前から南は、路面電車の軌道が西側に寄せられ、芝生が植えられている。せっかくだから、2駅歩いて南端の田崎橋から乗る。
田崎橋を出たときはガラガラだったが、熊本駅前で座席が埋まり、立客も出るようになった。辛島町でA系統からB系統に乗り換え。「TO熊カード」の場合、料金箱のカードリーダーにそのまま通せば、運賃は1回分の150円で済む(ただし、乗り換えは20分以内)。反対側のホームに行き、B系統の上熊本駅前行きを待つ。やってきた電車は、何と低床電車。最新型でラッキーだ。
上熊本からは熊本電鉄。ロータリーを隔てたところに熊本電鉄の駅がある。とは言っても1面1線の小さな駅。電車も朝から晩まできれいな30分間隔。朝夕のラッシュとも無縁だ。
やがてやってきたのは「青ガエル」。かつて東急で活躍した車両だ。1両で走るため、上熊本側に運転席を取り付けている。もともと運転席のあった北熊本側と比べると、その違いは明らかだ。貫通路もそのまま残っているから。「青ガエル」には冷房がない。50年以上前の電車だから当たり前と言えば当たり前だが、今となっては貴重な非冷房車。扇風機が忙しく回っている。10分ほどで終点の北熊本に到着。藤崎宮前、御代志のいずれも乗り換えとなる。「青ガエル」はそのまま上熊本に折り返すと思ったら、御役御免のようで、ほかの車両に交代。何と出てきたのは、元南海の「ズームカー」。増結用の2両編成のタイプだ。
御代志でそのまま折り返すのも面白くないので、ほかの方法を考える。御代志は1面1線の駅だが、電車を降りると向かい側がバス停になっているのだ。1本のホームを電車とバスが使いあっている。ふとバス停の時刻表を見ると、12:34発の便がある。電車の出発より7分早い。そうこうしているうちにバスが来た。運転士に訪ねたところ、交通センターまで渋滞がなければ40分、運賃は400円もかからない。スピードが電車と互角で安いのなら一度試してみよう。バスの客となる。御代志に着くころにはガラガラとなっていた電車と違い、こちらは席が埋まりつつある。昼間なので渋滞もなく、40分足らずで通町筋に到着(これでも所定のダイヤより5分ほど遅れているのだが)。380円だった。
でも、そんな状況では、渋滞するであろう朝はともかく、昼間の鉄道の存在意義は薄い。バスに比べて遅くて高いのだ。熊本側のターミナルが中途半端なところにあるため(熊本側のターミナル、藤崎宮前はパチンコ屋のあるビルに間借りしているような駅)、どうしても中心部に行くバスに比べて不利な立場にある。熊本電鉄自体もそのことを認識しているのか、2004年に中心部へLRT方式での乗り入れを求めていた(それができないのなら、鉄道自体を廃止)。この話はどうなったのであろうか?
お昼は熊本ならではの馬肉。通町筋のバス停で降り、アーケードから外れた細い筋に予約していた「菅乃屋」がある。店に入ったが、5分ほど待たされる。13時を過ぎていたので、特に予約しなくてもさほど待たずに入ることができたようだが、「安心料」みたいなものだろう。頼んだのは、2500円の「石焼ランチ」。馬刺しと馬肉の石焼がメインの料理だ。これからもまだ動き回るので、アルコールは頼まない。1時間ほどかけて、じっくり馬肉を楽しむ。
おいしいものを食べた後はちょっと運動。熊本城に行く。天守閣には10年以上前に行ったことがあるので、今回の狙いは2008年に復元された本丸御殿(大広間)。本丸御殿は大名の政治・生活の場であり、金に彩られた豪華な障壁画に驚かされる。(続く)
(参考:熊本電鉄の市電への乗り入れ、およびLRT化計画の実現可能性 http://www.jsce.or.jp/library/open/proc/maglist2/00039/200506_no31/pdf/159.pdf)
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Comments
たべちゃんさん今晩は。
熊電は、熊本市内のターミナルが上熊本と藤崎宮前と中途半端な位置に有ります。
熊本市電乗入れも実現しそうにないみたいだし、もう、鉄道廃止でバス化しか残されてないようです。
Posted by: パノラマハイパー | 2012.01.16 06:27 PM
パノラマハイパーさん、おはようございます。
* 熊電は、熊本市内のターミナルが
この問題が解決しないと、最悪の場合、路線の廃止になってしまう危険性がありますね。
Posted by: たべちゃん | 2012.01.17 04:40 AM