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November 2011

羽田-成田間高速鉄道に「新東京駅」設置計画

 東京の空の玄関は、国内線中心の羽田と、国際線中心の成田に分かれています。地方から海外に行き来する場合、国内線が発着する羽田と、国際線が発着する成田との間を移動しないといけません。しかし、その距離は遠く、時間もかなりかかります。

 このため、羽田と成田とを結ぶ鉄道構想が浮かんでは消えます。中にはリニアを建設する構想まであります。リニアに乗れば確かに速いですが、その建設費はあまりにも高いのです。3兆円とも言われていますから。

 そんな中、国交省は今月、東京都に対し、都営浅草線押上駅と泉岳寺駅との間に短絡線をつくり、東京駅の丸の内側に商業施設を併設した「新東京駅」を置く案を東京都に打診していました。この短絡線は長さが11キロあり、現在の浅草線は最大毎時24本運転されていますが、これを短絡線10本と浅草線18本に振り分けます。

 この短絡線により、羽田空港国内線ターミナルから空港第2ビルまでの所要時間が現行の92分から、59分に短縮されます。33分もの短縮です。ちなみに、現行の「92分」は、羽田空港国内線ターミナルから京急「エアポート快特」、品川からJR山手線、日暮里から京成「スカイライナー」を乗り継いで空港第2ビルまで行ったときのものです(乗り換え時間を含みます。ちなみに、羽田空港第1ビルから東京モノレール、浜松町からJR山手線、日暮里から京成「スカイライナー」に乗ったほうが10分ほど速いようです)。

 気になるのは工事費。概算ですが、国交省サイドは約3700億円を見込んでいます。相模鉄道からJR、東急に向かう連絡線で適用されている、「都市鉄道等利便増進法」を活用します。国、地方自治体、整備主体(鉄道・運輸機構)が1/3ずつ負担します。

 しかし、東京都はそれ以上かかると考えています。東京都側は運行本数増加やホームの安全対策などで270~770億円がさらにかかると考えています。また、浅草線の本数が減ることになり年間の収益が約50億円減ると推測しています。もともと、羽田と成田を高速鉄道で結ぶことは、東京のためではありません。地方の人のためのものです。国交省は東京都にこの計画への協力を求めていますが、東京都としてはあまりやりたくはないようです。さらに言えば、国交省の鉄道整備関係予算のうち、都市鉄道に関する予算については、2001年度の約700億円から2011年度は約235億円にまで減少しています。ここを増額しないと、国も財源不足でできないでしょう。

 確かに短絡線をつくると羽田と成田の間が速くなりますが、どうしても必要なものでしょうか? 東京の空港が羽田と成田を合わせたような巨大空港なら理想的なのですが、残念ながらそういう巨大空港はありませんし、今からつくることも不可能と言ってもよいでしょう。ベストな解はなく、いくつかの方法を組み合わせる必要があります。羽田の国際線乗り入れ、成田の国内線乗り入れ、関空、中部など国内・国際線両方が乗り入れている空港の強化が考えられます。関空に関しては、国内線の本数が少ないという問題がありますが、それなら伊丹から回せばいいのです。関西の将来的な航空需要を考えると、伊丹をつぶして関空に集約するのは悪い話ではないです。

(追記1)
 国交省は2013年度予算の概算要求で調査費として2.5億円を計上しています。また、東京都と事業化を見極める検討会議を設けることでも合意しました。なお、「新東京駅」から羽田空港、成田空港への所要時間はそれぞれ18分、36分となっています。

(追記2)
 この短絡線ですが、地下40メートルより深い部分にトンネルを掘る、大深度地下方式を採用することを考えているようです。大深度地下使用法により、地下40メートル以深なら地上に権利は及びません。土地買収の必要がないため、建設費を下げることができます。道路に沿ってトンネルを掘る必要がなく、カーブの少ない理想的な鉄道にすることができるからです。

 最高速度は100キロ以上としていますが、将来的には在来線最速の時速160キロ運転をも考えているようです。

(追記3)
 国交省は、羽田-成田間高速鉄道の建設財源として、年金基金や生保の投資マネーを使うことを検討しているようです。2020年代の開業を目指しているようです。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111124/lcl11112411190000-n1.htm、http://sankei.jp.msn.com/life/news/121006/trd12100601010001-n1.htm、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO45868930X00C12A9L71000/、MSNマネー http://money.jp.msn.com/news/fisco/%E5%A4%A7%E6%88%90%E5%BB%BA-%E5%9B%BD%E4%BA%A4%E7%9C%81%E3%80%81%E5%B9%B4%E9%87%91%E8%B3%87%E9%87%91%E3%81%A7%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E3%81%B8)

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北海道新幹線新函館-札幌間など、いよいよ新規着工追加か?

 数年前から追加着工の話が浮上しては、先送りされていった整備新幹線の未着工区間。ところが、これら未着工区間に新たな動きがあるようです。

 前田国交相は25日の記者会見で、整備新幹線の未着工区間のうち、北海道新幹線新函館-札幌間、北陸新幹線金沢-敦賀間、長崎新幹線諫早-長崎間について、新規着工するかどうかを判断することを示唆する発言をしました。新規着工に必要な5条件(安定的な財源見通しの確保、収支採算性、投資効果、営業主体としてのJRの合意、並行在来線の経営分離についての沿線自治体の合意)の解決に向け、各線とも取り組んでいるからです。ところで、昨年夏に当時の国交相だった前原氏が指摘した6つの課題は解決に向かっているのでしょうか?

 どうやら、一番状況が進んでいるのは北海道新幹線のようです。難航していた函館付近の経営分離も目途が立ち、参考にした記事では、「9合目」と書かれています。

 昨年12月に東北新幹線、今年3月に九州新幹線が全線開業し、現在着工中の整備新幹線は北海道新幹線新青森-新函館間、北陸新幹線長野-金沢間、長崎新幹線武雄温泉-諫早間のみです。解決の糸口が見えたとはいえ、まだ技術的には完成していないフリーゲージトレインを導入する予定の長崎新幹線を除いて、5年以内に開業する見込みです。そろそろ次の着工区間を考えておかなければならない時期でしょう。

 さて、実際に着工になる区間はどこでしょうか?
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111127-OYT1T00015.htm、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20111126/CK2011112602000122.html)

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年末年始終夜運転、阪和線は鳳以北のみ

 通常は夜行列車と貨物列車を除いては、深夜になると列車の運行を止めますが、大晦日深夜から元旦にかけては大都市圏や有名神社仏閣のあるところを中心に、深夜運転や最終の繰り下げなどを行います。

 JR西日本のアーバンネットワークも例外ではなく、深夜運転を行います。しかし、今年(2011年から2012年にかけて)は阪和線の深夜運転は鳳以北だけで、鳳-日根野間は1時台に日根野行きを1本運転するだけです。阪和線鳳-日根野間以外にも今年から深夜運転を行わないのは、琵琶湖線野洲-草津間、JR宝塚線宝塚-新三田間です。いずれも1時台に1本だけ野洲、新三田行きの臨時列車が運転されます。

 草津-姫路間で深夜運転を行うJR京都・JR神戸線などと比べると阪和線の終夜運転範囲はかなり狭いように感じられます。並行する南海の動向が注目されます。

(追記)
 南海については、本線は難波-羽倉崎間で約30分間隔(難波-住之江間は約15分間隔)、高野線は難波-河内長野・中百舌鳥-和泉中央間で約40~60分間隔で運転されます(北野田-河内長野間は2時台までの運転)。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2011/11/page_1046.html、南海ホームページ http://www.nankai.co.jp/company/news/pdf/111130_2.pdf、泉北高速ホームページ http://www.semboku.jp/jikokuhyo/11_ohmisoka.html)

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アルピコ交通の長野-松本間高速バス、19日から休日運休

 長野県の2大都市、長野と松本の間には、もちろん鉄道もありますが、高速バスも走っています。アルピコ交通(今年4月に松本電鉄、諏訪バス、川中島バスが合併して成立)が長野県庁-松本バスターミナル間を1時間おき(朝夕の一部は30分間隔、日中の一部は90分間隔)に走っています。朝夕の一部の便では松本バスターミナルではなく松本合同庁舎発着となり、朝の通勤時間帯には停留所の少ない直行タイプもあります。県庁や合同庁舎への通勤の足にもなっています。長野-松本間片道1000円で、途中通る長野道でもこまめに停車します。予約はいりません。

 このように順調と思われた長野-松本間の高速バスなのですが、実は11月19日から、休日と年末年始(12月29日~1月3日)は全便運休することになりました。乗客が減り、赤字が続いていることが理由です。2010年度の年間利用者数は23万人余りで、2005年度より9万人減っています。特に通勤・通学客の少ない休日の利用者が少ないようです。休日ならバスではなく、車で出かけるからでしょうか?

 なお、長野県庁-長野道松本(松本インター前に隣接、徒歩約10分)には飯田方面の高速バス(「みすずハイウェイバス」)があります。ですから、休日はバスが全くない、ということはないようです。

(追記)
 長野-松本間では、JRも格安の切符があります。「信州往復きっぷ」を使えば、通常運賃の片道が1110円のところ、往復1430円(片道あたり715円)。1枚あたり500円の「信州特急料金回数券」(4枚綴り)と組み合わせることもできます。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/area/nagano/news/20111116ddlk20020041000c.htm、アルピコ交通ホームページ http://www.alpico.co.jp/access/express/nagano_matsumoto/、JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=1269、http://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=131)

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大分駅ビル、屋上に露天風呂

 JR大分駅に2015年春オープン予定の駅ビル。高架化工事に伴い撤去される在来線の跡地(約2万平方メートル、撤去工事は来年4月から行われます)に建設されます。

 JR九州が15日に発表したところによると、ビルの高さは9階建て、ホテルの部分は22階建てとなります。地上1~4階には専門店やレストラン、シネマコンプレックス(複合型映画館)があり、7~9階の屋上庭園にはJR博多駅ビルでも人気の「鉄道神社」などが置かれます。

 そして、22階建てとなる200室規模のホテルには、サウナやエステもある温浴施設も整備されます。高さ85メートルの屋上には大分の市街地や別府湾を一望できる棚状の露天風呂もできます。駅ビルの屋上に露天風呂とは、なかなかおもしろそうですね。

 投資額は150~200億円。テナントは流行の変化を見極めるため、どの店を誘致するかはオープン直前まで慎重に検討するようです。売り上げ目標は年間200億円です。
(参考:大分合同新聞ホームページ http://www.oita-press.co.jp/localNews/2011_132140398817.html)

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北陸新幹線、新高岡駅と新黒部駅の名称について

 2014年度に金沢まで開業する北陸新幹線。富山県内には3駅できます。東から新黒部、富山、新高岡です。現富山駅に併設される富山はともかく、あとの2駅は新規につくる駅。駅名はあくまでも仮称です。同じ北陸新幹線でも上越の話は以前にも書きましたが、新黒部や新高岡を抱える黒部市や高岡市でも、駅名をどうしようか考えています。駅名の候補について、地元の考えをJRに提示しないといけないですから。

 新黒部は、黒部駅から4キロ離れています。市議会はすでに「黒部宇奈月温泉」の名称案を採択しましたが、文字数の多さや近隣市町への配慮の点から黒部市サイドは決定にまで踏み切ることもできません。駅名を公募するかどうかも決まっていません。

 新高岡は、高岡駅から南に1.5キロ離れています。18日に有識者らを交えた駅名候補検討委員会を発足させ、25日から公募を行います。これまでの話では、「新」をつけるだけの駅名には新鮮さの面で欠けるというのもあれば、やはり「高岡」の名前は欠かせないというものもあります。「万葉」や「越中」を入れる案、(車で行くことを考えると)能登、飛騨の玄関口になることから能登や飛騨の地名を入れる案もあるようです。

 駅名については、第三セクターのようにウケ狙いの、変わった名前を付ける必要はありません。わかりやすさが一番です。新黒部は宇奈月温泉に近く、(黒部市はともかく)黒部や宇奈月温泉の知名度が高いことから「黒部宇奈月温泉」をベースにしたほうがよいでしょう。新高岡は駅のある高岡市自体が県2番目の都市と大きく、単純に「新高岡」でよいと思われます。

(追記1)
 2011年11月25日から12月22日まで高岡市が行った、公募結果の速報が発表されました。

 応募総数1234件のうち、最も多かったのは「万葉高岡」の157件。以下「新高岡」148件、「越中高岡」98件と続きました。読み仮名別でも「まんようたかおか」が173件と最も多く、以下「しんたかおか」163件、「えっちゅうたかおか」107件と続きます。

 2012年2月下旬に駅名候補検討委員会で駅名を選定し、市長に提言したのち、2011年度中にJR西日本に提案する予定です。

(追記2)
 2012年2月27日に駅名候補検討委員会が行われましたが、候補をひとつに絞り込むことができず、結局、「高岡万葉」「万葉高岡」「新高岡」「高岡飛越能」「飛越能高岡」の5つを候補としました。最後の「飛越能」は、飛騨や能登への玄関口になることをアピールするものですが、(鉄道だけを考えていては)イメージがわきにくいですね。

(追記3)
 新高岡つながりで書きますが、城端線にも駅を設置するようです。2012年度中にJR西日本との間で、費用負担などに関する協定を締結する方針です。今のところJR西日本は城端線への駅設置を正式には表明していませんが、沿線の市やJRなどでつくる法定の城端・氷見線活性化推進委員会が2012年3月中に決定する地域公共交通総合連携計画の中で、高岡市とJRが共同して城端線にも新駅を整備することが盛り込まれることになっているようです。

 城端線の駅は、新幹線の高架の南側で、南口駅前広場に近い場所につくられるようです。1面1線の小さな駅となります。

(追記4)
 新黒部サイドでも、駅名の公募を行い、2012年10月30日に選定結果が黒部市長に報告されました。JR西日本に要望する駅名候補は「北アルプス黒部」「黒部」「黒部宇奈月温泉」「新黒部」「にいかわ黒部」の5つです(この5案に順位はありません)。なお、「にいかわ黒部」の「にいかわ」は、地域名の「新川」にちなんでいます。

(追記5)
 国交省北陸信越運輸局は2012年12月26日、JR西日本から出されていた城端線高岡-二塚間の新駅設置について、鉄道事業基本計画変更の認可をしました。これにより、北陸新幹線新高岡駅(仮称)に接続して、城端線にも駅ができることになりました。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/travel/rail/news/OSK201111160142.html、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20111119/CK2011111902000143.html、http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20120228/CK2012022802000157.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/toyama/news/20120106ddlk16020443000c.html、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/otona/railwaynews/07/toyama/20120307-OYT8T00401.htm、黒部市ホームページ http://www.shin-kurobe.jp/2012/1031/093531/、国交省北陸信越運輸局ホームページ http://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/press/1210-1212/121226-1.pdf)

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北陸新幹線並行在来線、富山から新潟、石川に相互乗り入れへ

 整備新幹線の建設が進むと、並行在来線の処遇という大きな問題が出てきます。原則として並行在来線はJRから分離されます。現在建設中の北海道新幹線、北陸新幹線も例外ではありません。江差線五稜郭-木古内間、信越線・北陸線長野-直江津-金沢間が分離されます(JR東日本エリアの津軽線は新幹線の運営会社と異なるため、分離されません)。

 今は特急がたくさん通る幹線鉄道でも、分離された後は特急需要がなくなり、ローカル線に転落してしまいます。値上げするとはいえ、安い運賃ではやっていけません。当然赤字で、地元が負担することになります。その多さから、江差線についてはバス転換するとの話が出ています。信越線・北陸線でもそのようなはありましたが、貨物がたくさん走る路線でそういう話は無理があり(はっきり言って江差線もそうなのですが)、第三セクターとなることになりました。

 信越線・北陸線長野-直江津-金沢間は長野・新潟・富山・石川の4県にまたがります。第三セクターを運営する会社は4つに分かれます。長野県部分(長野-妙高高原間)はすでに軽井沢-篠ノ井間を運営するしなの鉄道が運営します。長野県部分は開業後30年間で最大171億円の赤字が見込まれていて、しなの鉄道による一体経営で経費節減を図ります。

 信越線・北陸線の第三セクターは県境にある駅で折り返すところもありますが、富山・石川の県境については、県境を越えて電車(JR西日本の521系(2両編成)タイプを導入するようです)が行き来します。富山県部分の会社は金沢まで、石川県部分の会社は富山まで相互乗り入れします。新潟方面についても、富山県部分の会社は糸魚川まで乗り入れ、新潟県部分の会社は泊まで乗り入れます。通勤・通学時間帯には金沢から富山県東部に直通する快速を走らせ、利用客の多い高岡-富山間などの本数を増やすようです。一部はワンマン列車にします。

 問題なのは新潟県。新幹線同様、並行在来線についてもうまくいっていないようです。新潟県部分の会社は開業後30年間で300~600億円の赤字が出ると予想されています。そこで、赤字額を減らすために北陸線を1両で走ることのできるディーゼルカーを導入します。これらの方法により30年間で50億円もの赤字を減らすことができます。

 この新潟県部分の会社の方針に対して、一部沿線住民から強い反発を受けています。ディーゼルカーの安全性、信越線と北陸線を直通しないこと、富山や長野まで直通せず泊や妙高高原で折り返すことなどです。車両や運行範囲、運行本数などが決まらないと並行在来線会社の人数や施設、投資額が決まりません。北陸新幹線金沢開業とそれに伴う並行在来線の第三セクター化は2014年度末。これに間に合わせようと思ったら、今年度末ぐらいに決めておいたほうが望ましいです。現状では、新潟県部分の会社の方針は決まる目途が立っていません。

 なぜ新潟県部分の会社がディーゼル化などの厳しい計画を立てるのでしょうか? そもそも新潟県の場合、北陸新幹線が県庁所在地を通らないため人口が少なく、経営が厳しいことが予想されるからです。北陸線の輸送密度は石川県が13100人、富山県が7112人に対して、新潟県は1420人(ちなみに信越線は長野県が4334人、新潟県が2820人。いずれも開業年度の予測です)。富山県は県庁所在地の富山や主要都市の高岡を通り、金沢もそう遠くないので普通だけでもある程度の需要が見込まれます。新潟にはそれがないのです。しかも、あくまでも平均なので、県境になればさらに厳しくなります。貨物の存在を考えるとつぶすわけにもいかず、厳しい計画を立てざるを得ないのです。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000001111150003、http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000001111170005、http://mytown.asahi.com/areanews/nagano/TKY201102170460.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/toyama/news/20111115ddlk16010711000c.html、石川県ホームページ http://www.pref.ishikawa.lg.jp/shink/heikouzairaisen/heikouzairaisennituite/heikouzairaisentoha/documents/h230823hpsiryou.pdf)

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JR東海、リニア中間駅建設費を全額負担へ

 2045年に東京-大阪間が開通するリニア中央新幹線。このうち、両端駅の品川、新大阪と、2027年の東京-名古屋間の部分開業時に西側の終点となる名古屋の3つのターミナル駅に関しては、JR東海が全額自己負担とします。しかし、その他の6つの中間駅(神奈川山梨長野、岐阜、三重、奈良県の各県にひとつずつ)の建設費については、これまで地元に全額負担を求めてきました。その額は地上駅でも350億円、神奈川、奈良に予定している地下駅だと2200億円もかかります。リニアの駅ができるメリットがあるとはいえ、地元自治体にとっては大きな負担。リニアに関連して、多治見商工会議所会頭の私見とは断りながらも市の合併を言い出すところも出てきました。岐阜県内でリニアが通る、多治見、土岐、瑞浪、恵那、中津川、可児の6市が合併するのがよいというのです。

 先月になって、JR東海側がこれを少し譲歩し、一部負担する可能性を見せていましたが、大きなニュースが飛び込んできました。中間駅の建設費についても、全額JR東海が負担するというのです。中間駅には非常時に対応するための施設という要素があり、単純に地元に負担をかぶせるわけにはいかないですが、全額負担とは驚きです。6駅の建設費約5800億円が加わり、リニア全線の建設にかかるJR東海の負担額は8.44兆円から9.03兆円に増えますが、建設費用の削減や運営費用の圧縮により、開業時期は名古屋まで2027年、新大阪まで2045年と変わらない見込みです。もちろん、JR東海が用意するのは駅だけで、駅に隣接する施設(バスターミナルなど?)、道路などは地元負担です。

 このようにJR東海が方針を大きく変えた理由は、中間駅の建設費負担の話がまとまらないがために、2014年度の着工予定が遅れ、開業予定が遅れること。開業が遅れたら、運賃・料金収入が入ってきません。全額地元負担にこだわって6県と交渉していると、いつまでたっても話はまとまりません。一刻も早く開業して投資の回収を図りたいのです。東日本大震災による乗客減の悪影響も一時的なものにとどまり、中間駅を負担するだけの余裕があるのも事実でしょう。JR東海ならではのうらやましい話です。

 JR東海が中間駅を負担することにより、駅の位置、停車する列車の本数などについて優位な位置に立つことができます。何しろJR東海が地元に与える駅ですから。早速の設備にそれが表れています。駅には改札やトイレがあるだけで、「みどりの窓口」や券売機はありません。駅員もいません。今の「常識」では考えられない話ですが、リニアができるころには切符はインターネット販売などで対応するため、駅に券売機などはいらないようです。改札を抜けると階段、エレベータ、エスカレータで2面4線のホームに行くだけです。たとえ既存の駅と隣接していても、連絡設備の整備は行いません。東海道新幹線の三河安城、九州新幹線の筑後船小屋や新八代のように、新幹線と在来線を同じ会社(JR東海、JR九州)が経営していても、リニアと在来線を乗り換えるためには一旦改札口を出る必要があります。既存駅の改修も行いません。やるなら、建設費や維持費を地元が負担することになります。当然ながら、開業のスケジュールを遅らせないことが大前提です。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000013337.pdf、Sankei Biz http://www.sankeibiz.jp/business/news/111122/bsg1111220500000-n1.htm、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111121/biz11112119420027-n1.htm、毎日jp http://mainichi.jp/select/biz/news/20111122k0000m020052000c.html、岐阜新聞ホームページ http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20111005/201110050954_15089.shtml)

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JR東日本、津波で流された三陸3路線をバス専用道路化?

 東日本で大きな被害を受けたJR東日本の路線。八戸線など全線再開の動きもありますが、常磐線は原発の影響が重く、仙石線や石巻線も全線再開はまだ先です。

 JR東日本はこれらの被災した路線をすべて復旧する意向を示していますが、新しい動きが出てきました。気仙沼線(柳津-気仙沼間)、大船渡線(気仙沼-盛間)、山田線(釜石-宮古間)の合計154キロについて、鉄道を敷きなおすのではなく、従来の鉄道の路線敷に専用道路をつくり、バスを運行させる「バス高速輸送システム」(Bus Rapid Transit、BRT)で復旧させる案が出てきたのです。BRTは一般道と分離した専用道路にバスを走らせる新交通システムで、路線バスのように渋滞の影響を受けることがありません。日本では正確な意味でのBRTはありませんが、鹿島鉄道の代替バスや名古屋の基幹バスがそれに近い存在と言われています。

 BRTのメリットは、鉄道を敷きなおすよりも早く整備することが可能なうえ、整備費用も半分以下で済むこと。運休している気仙沼線、大船渡線、山田線の154キロを原状復帰させるだけでも400億円近くかかります。レールを敷く必要もなく、駅もバス停のような簡単な設備で済みます。ルートも鉄道の路線敷にこだわる必要がありません。学校や病院に寄ったり、高台にできた新市街地に寄ったりすることもできます。鉄道の橋脚が津波で流された場所では、一般道を借りることもできます。

 被災地の現状は、代替バスが運行されてはいますが、朝夕の時間帯には通勤や工事の車両で渋滞します。早期の復旧が望まれていますが、新市街地が決まらないのでルートが確定しません。これが確定しない限り、鉄道での復旧はできません。「鉄道の廃止」と言えば地元からの批判を受けそうですが、今回BRTが検討されている区間は、もともと需要が少なく、バスでも困らないレベルなのです。大船渡市での事例のように新たな負担を嫌ってか、廃止を求める声もあるぐらいなのです。気仙沼市でも、鉄道に代わる乗り物を検討していて、鉄道にこだわるわけではないようです。

 BRT化した路線を誰が運営するのか(参考にした記事に書かれているようにJR東日本が直営で運営するなら、「廃止」には当たりません)、2014年に復旧する三陸鉄道との整合性などの問題があります。ただ、バスでも十分なローカル線を(第三セクターではなく、株式を公開し、利益を追求しなければならない)JRが運営する必要はありません。BRT化は現実的な方法でしょう。

(追記1)
 JR東日本の里見取締役仙台支社長は、24日に仙台市内で開いた記者会見で、東日本大震災で被災し、復旧の方法が決まっていない気仙沼線、大船渡線、山田線の復旧方法として、BRTやLRTによる方法もあることを発言しました(ただ、ここは私見ですが、以前の記事でも指摘したようにLRTが富山ライトレールみたいなものを指すのかは疑わしいところですが。これらの路線は需要の少ない、潜在需要も見込まれないローカル線ですから、LRTをつくっても需要が増えるわけではありません)。

 もっとも、具体的にどの路線にどのような交通手段を導入するかは、JR東日本が主体的に決定するのではなく、沿線自治体や東北運輸局などとつくる復興調整会議に委ねるようです。

(追記2)
 JR東日本は、12月27日に開かれた気仙沼線復興調整会議において、現在運休している気仙沼線柳津-気仙沼間の仮復旧方法としてBRTを考えていることを明らかにしました(ただし、JR東日本の担当者がその後の記者会見で明らかにしているように、このことは最終的には鉄道を復旧させることを確約したしたわけではありません)。なお、運賃は鉄道並にするようです。

 BRTのメリットは経済性。国交省によれば、全線鉄道だと復旧に数百億円かかりますが、全線BRTだと数十億円ですみます。BRTは鉄道に比べて速達性や定時性に難があるものの、運行頻度・工期・ルート変更の柔軟性・津波避難のしやすさに優れているようです。

 ただ、沿線自治体は最終的に鉄道として復旧することを望んでおり、自治体に持ち帰って、次回2012年2月の会議でその結果を報告するようです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20111120-OYT8T00075.htm?from=popin、河北新報 http://www.kahoku.co.jp/news/2011/11/20111125t71010.htm、http://www.kahoku.co.jp/news/2011/12/20111228t11009.htm)

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石巻発仙台行きノンストップ列車、12月1日から運行開始

 以前に取り上げた、小牛田経由での仙台-石巻間直通列車構想、意外に早く実現することになりました。12月1日からの平日、石巻発仙台行きの1日1本が運転されることになったのです。

 直通運転の快速列車は、石巻6:43発、仙台7:59着の1日1本。反対の石巻行きはありません(運行する方向で検討はされているようですが)。12月1日からの平日に運転され(休日と12月30日、1月3日は運休)、仙石線の全線運転再開まで運転される見込みです。石巻線は電化されていないため、2両編成のディーゼルカー(定員約240人)を使います。運賃については、本来小牛田経由だと1280円かかりますが、仙石線経由での820円でよく、定期券もそのまま使えます。この直通列車以外でもこの運賃が適用されるかはわかりませんが、ぜひとも仙石線全線運転再開までは仙石線経由での安い運賃を適用していただきたいものです。

 この直通運転の快速列車、特筆されるのは石巻を出ると仙台までノンストップであること。小牛田ですら通過します。なかなか豪快なノンストップ列車です。

(追記1)
 2012年1月10日からは、反対に、仙台から石巻に行く直通快速列車も運転します。平日のみ運転し、仙台17:58発、石巻19:02着です。ディーゼルカー2両を使い、途中ノンストップ。仙石線経由の乗車券、定期券がそのまま使えます。

(追記2)
 2012年3月16日から2012年6月30日までの間、仙石線経由、東北線・石巻線経由のどちらでも利用可能な往復割引切符、「石巻⇒仙台往復割引きっぷ」を発売します。値段は1400円ですが、あおば通駅での利用はできません。途中下車、乗車区間の変更もできません。利用期間は2012年3月17日から2012年7月1日までの連続する2日間。石巻駅・矢本駅でのみ発売します(仙台側では発売しません)。

(追記3)
 「石巻⇒仙台往復割引きっぷ」の発売期間が2013年3月30日まで、利用期間が2013年3月31日まで延長されています。

(追記4)
 仙石線を経由する切符については、途中下車しない限り、東北・石巻線経由で乗車することができます。
(参考:JR東日本ホームページ http://www.jr-sendai.com/doc/20111115.pdf、http://www.jr-sendai.com/doc/20111213a.pdf、http://www.jr-sendai.com/doc/20120221.pdf、http://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?mode=type&SearchFlag=2&pc=4&GoodsCd=1865、河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/news/2011/11/20111116t15004.htm、JTB時刻表 2012年11月号)

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「日本海」、2012年3月のダイヤ改正で廃止へ

 この時期になると毎年のように出てくるのが、夜行列車廃止の話。今年(2011年)春は「ドリームにちりん」が廃止されました。その前には、2005年春に「さくら」「あさかぜ」が廃止され、10月には「彗星」が廃止され、2006年3月に「出雲」が廃止され、2007年10月までに「まりも」などの北海道内で完結する夜行列車が廃止され、2008年3月には「なは」「あかつき」「銀河」が廃止され、2009年3月には「富士」「はやぶさ」「ムーンライトながら」「ムーンライトえちご」が廃止され、2010年3月には「北陸」「能登」が廃止されています。衰退の一途をたどる、夜行列車の現状です。

 そして、来年2012年3月のダイヤ改正で、大阪と青森とを結ぶ「日本海」が廃止される方向で話は進んでいます。約15時間かけて文字通り日本海側を走り抜ける列車です。新幹線が並行せず、航空機との競争がほとんどないため、A寝台といえども個室がない旧態依然とした姿でもそれなりの利用者がいました。関西と東北を直通する貴重な列車であるため、修学旅行用としても使われていました。かつては函館まで足を伸ばした時代もあり、2008年3月のダイヤ改正までは1日2往復ありました。この列車が廃止になれば、関西を発着するブルートレインはなくなります。それどころか、残るブルートレインは上野発着の「北斗星」「あけぼの」のみとなります(車体の色が青でない「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」はブルートレインとしてカウントされていないようです)。

 JRサイドは廃止の理由として、利用者の減少や車両の老朽化を挙げていますが、車両の老朽化はともかく、利用者の減少はあまり正確な表現ではありません。減ったとはいえ、現在でも利用率は5割程度あるからです。「あけぼの」に比べると若干劣るものの、それほど悪い数字ではないのです。

 事実、JRには2012年3月以降も、「日本海」を臨時列車として走らせる考えがあるようです。一旦臨時列車化すれば利用者はさらに減るというのが通例ですが、それでも臨時列車化するのは、日によってはある程度の利用が見込める、ということでしょう。問題の車体の老朽化も、少しは遅らせることができます。
(参考:YOMIURI ONLINE http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111118-OYO1T00240.htm?from=top、東奥日報ホームページ http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2011/20111118120851.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f、JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2008/080418-1.pdf)

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南海和歌山大学前は2012年4月1日に開業

 南海は、南海本線孝子-紀ノ川間に建設していた新駅、和歌山大学前の開業日を2012年4月1日としました。和歌山大学前は孝子から1.7キロ、紀ノ川から3.6キロの地点にあります。

 和歌山大学前には、急行以下の列車が停車します。県の需要予測では1日7000人の利用を見込んでいます。6月には駅の東西にステーションビル(「ふじと台ステーションビル エスタシオン」)が1棟ずつでき、入るテナントは双方合わせて40ほど。すでに8つが決定しています。

 もっとも、現行のダイヤを前提にすれば、特急は停まらないので、日中は普通が1時間に2本ずつしか停まりません。南海は和歌山大学前を和歌山市北部の拠点にしたいと考えているようですが、それを考えると、インパクトに欠けるような気もします。
(参考:わかやま新報ホームページ http://www.wakayamashimpo.co.jp/2011/11/20111117_4275.html)

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東急、蒲蒲線建設を検討か?

 東急の蒲田駅(JRと同じ場所)と京急の京急蒲田駅は800メートルほど離れています。東急沿線から羽田空港に行く場合、両駅の間を歩くかバスに乗らないといけません(ただし、バスの運賃は100円です)。もしくは、蒲田から羽田空港行きのバスに乗ります。

 そこで東急は、前々から構想があったようですが、東急と京急を結ぶ蒲蒲線をつくることを考えています。東急蒲田駅から線路を伸ばして京急に接続させることで、外国人客の取り込みを図りたいようです。15日までに投資家説明会などで説明しました。国はこの路線の建設に前向きなため、国などに支援を求める考えです。

 もっとも、東急と京急は軌間が異なるため、このままでは直通運転できません。直通運転しようとすれば、フリーゲージトレインの導入が必要です。これから東京都など関係者の合意を取り付ける段階なので、実現したとしてもまだ先とみられます。

(追記)
 大田区の資料(「新空港線『蒲蒲線』整備調査のとりまとめ」 平成24年版)によれば、蒲蒲線は東急多摩川線矢口渡駅から分岐し、蒲田駅地下に東急蒲田地下駅、京急蒲田駅付近に南蒲田駅を設置し、京急空港線の大鳥居駅で合流する、3.1キロの線路です。全線単線です。

 問題となるのは、東急と京急の軌間の違い。実は、東急蒲田地下駅で乗り換えさせるのです。東急蒲田地下駅は1面2線の駅。向かいの電車に乗り換えることにより、軌間の違いをクリアするのです。直通はしないのです。

 なお、東急多摩川線の改良が必要でしょうが、東急蒲田地下駅には東横線の急行が直通します(もちろん、東京メトロ副都心経由で、西武池袋線や東武東上線とつながります)。現在、渋谷から羽田空港まで品川経由だと43分かかりますが、蒲蒲線経由だと32分になるようです(東急蒲田地下駅から羽田空港へは各駅停車で行くという前提です)。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/business/update/1115/TKY201111150657.html、京浜急行バス・羽田京急バスホームページ http://www.keikyu-bus.co.jp/img/line/fare/ohmori_haneda.pdf、日経ケンプラッツ http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20120810/579309/)

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宇都宮市、LRT導入に向けて再出発か?

 富山や堺(もっとも、堺は反対派の市長が当選し、LRT計画は崩壊しましたが)と並んで、LRT導入の候補地と言われた宇都宮。しかし、宇都宮においても反対派が強く、なかなか計画は前に進みませんでした。

 ところが、宇都宮は再び前に進み始めました。佐藤市長が12日に導入推進派の会合で話した内容によれば、市内を4、5か所に区切って説明会を行い、全39自治会にも職員を派遣して説明を行います。すでに、宇都宮市は9月から市民との意見交換の場で、LRT導入の方針を直接説明していました。

 よく鉄道だと採算性ばかりが言われますが、それについても、佐藤市長は必要性が高いなら行政が公共事業として行うと主張しています。まさにその通りで、誰も乗らないローカル線ならともかく、社会的に見て価値があるのなら、行政が介入することは望ましい話でしょう。また、既存のバスとの関係についても、LRTと相互に利用できるカードの導入を考えているようです。

(追記)
 2012年10月31日、芳賀、市貝、茂木3町が、宇都宮市にLRTの早期整備を求める要望書を出しました。これら3町も宇都宮市東部の渋滞の影響を受けているためです。3町は早期のLRT整備と、整備区間の東端に、ほかの公共交通との乗継拠点を設置することを要望しています。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/111113/tcg11111302080003-n1.htm、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20121031-OYT8T01723.htm)

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えちぜん鉄道と福井鉄道、運賃一本化を検討

 福井には私鉄が二つあります。えちぜん鉄道と福井鉄道です。かつては、大手私鉄の傘下にある、純然たる私鉄でしたが、経営難などの影響で大手私鉄は撤退し、現状では第三セクター的な鉄道になっています。

 えちぜん鉄道と福井鉄道を乗り継げば、当然ながら初乗り運賃は2回かかります。ところが、福井県はえちぜん鉄道三国芦原線と福井鉄道福武線の運賃体系を一本化できないか検討しています。一本化すれば、両鉄道の初乗り運賃(えちぜん鉄道150円、福井鉄道180円)は1回で済み、運賃が安くなります。これにより乗り継ぎ需要を掘り起こそうとしているのです。

 運賃体系の一体化の話は、県や沿線市町がつくる相互乗り入れの事業検討会議で出てきたものです。6月の会議でえちぜん、福井の両鉄道会社が提案してきたのです。県も前向きで、年度内に準備を進めたい意向です。順調なら、2012年度から運賃体系の一体化が始まります。なお、運賃体系の一体化のため、駅に2社の切符を買うことができる券売機を導入します。定期券の割引率や往復切符の有効期間など各種サービスの要件統一も課題です。

 しかし、運賃体系の一体化は、最終的な到達点ではありません。最終目標は、相互乗り入れです。昔からたびたび話題に上ってきましたが、えちぜん鉄道勝山永平寺線の高架化をめぐる県と福井市の考え方の違いから、話が進んでおらず、2013年度の相互乗り入れ開始は難しいです。もちろん、えちぜん鉄道三国芦原線と福井鉄道福武線の接続駅となる田原町駅の改修には費用も時間(約2年?)もかかります。そのような改修工事をやるだけの価値があるのか、難しいところです。運賃一体化の話は、乗り入れ開始後の需要を見極め、相互乗り入れを行うかどうか検討するために出てきたのです。
(参考:福井新聞ホームページ http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/railway/31432.html)

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沖縄でしか買えない「SUGOCA」

 JR九州の路線がない沖縄でも、JR九州のICカード「SUGOCA」を使うことのできる店はたくさんあります。11月10日現在で500店余りに上ります。

 そこで、JR九州は、12月5日から、沖縄でしか購入することのできないオリジナルデザインの「SUGOCA」を販売します。1枚2000円(電子マネー1500円、デポジット500円)で、当初はJR九州沖縄支店でのみ販売します(今後は、県内の電子マネーが使える店やホテル・観光施設でも販売する予定です)。新キャラクター、シーサーくんが登場し、背景には沖縄伝統の紅型が用いられています。

 このオリジナルデザインの「SUGOCA」は通年販売で、枚数限定販売ではありません。しかし、12月3日に5000枚限定の先行販売を行います。12:00~20:00の間、第27回NAHAマラソン ゼッケン引換会場で販売されます。沖縄発売記念台紙付きです。ひとり10枚までの購入制限が付きます。
(参考:JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/GeneralFrameset?OpenFrameSet)

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仙台-石巻間直通列車、小牛田経由で実現へ

 利用者が多いにもかかわらず、東日本大震災の影響で一部区間で運休が続いている仙石線。今年度中に陸前小野-矢本間は復旧するようですが(同じく今年度中に、石巻線も石巻-渡波間が復旧する見込みです)、高城町-陸前小野間11.7キロの復旧見込みは立っていません(同じく、石巻線渡波-女川間も復旧の見込みは立っていません)。

 そこで考え出されたのが、すでに復旧している東北線、石巻線を使って小牛田経由で仙台-石巻間の直通列車を走らせること。8日にJR東日本の清野社長が会見し、今年度中に走らせることを明らかにしました。1日1~2往復の運行で、所要時間は80分程度です。時刻表を見ると、東北線と石巻線を小牛田で乗り継ぐよりも10分(ただし、石巻方面の便の中には小牛田での接続が悪いものもあります)、仙石線と代行バスを使って行くよりも20分短縮されます。

 JRの運賃とほぼ同額の800円で高速バスが30分おきに走っている現状を考えると、1日1本か2本の直通列車で対抗できるのか疑問にも思えますが、そうでもしないと仙台と石巻を直結するという仙石線の価値が忘れ去られてしまうのでしょう。仙台側はともかく、石巻側はローカル線的な存在になってしまいます。もっとも、この直通列車、小牛田を経由するため、運賃は仙石線経由の820円とはならずに、1280円になってしまう危険性もあります。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/national/update/1108/TKY201111080502.html、http://www.asahi.com/national/update/1027/TKY201110270412.html)

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首都高速、阪神高速、2012年から距離別料金に

 これまでも何回も出てきた(記事1記事2記事3記事4記事5)、首都高速、阪神高速の距離別料金の話。ついに、来年2012年1月1日から導入されることになりました。関係する自治体の議決が堺市を除いて終わったからです。

 これまでの首都高速、阪神高速の料金体系は、高速道路をいくつかの地区(料金圏)に分け、その範囲内では均一料金となるものでした。しかし新しい料金体系は、料金圏を撤廃し、首都高速、阪神高速とも距離に応じて料金が比例的に変わるものになります。どちらも、6キロまでは500円(普通車の場合、以下同じ)、6キロを超えると6キロごとに100円が加算され、24キロを超えると最高額の900円となります。首都高速も阪神高速も料金所は基本的に入口のみにあるため、(利用距離のわからない)ETC未登載車は原則900円になります。同じ料金圏の利用では値上がりになるケースが多いものの、料金圏をまたぐ場合は値下がりになるケースが多いようです(ただし、平日深夜や休日に2割引きになるなどのETC割引のことを考えると、そうとも言い切れません)。なお、離れ小島となっている京都線は変わりません。均一料金のままです。

 また、距離別料金の移行に当たっては、NEXCO(高速道路)・本州四国連絡高速道路との乗継割引(100円)のほか、西線内々利用割引(100円)、端末区間割引、物流事業者向け割引の拡充、新神戸トンネルの阪神高速への移管などを行います。

(追記)
 堺市議会は11月7日に臨時議会を開き、阪神高速の新料金制度の関連議案について同意しました。すでに、大阪府、兵庫県、大阪市、神戸市の同意を得ているため、これで2012年からの距離別料金への移行が決まりました。
(参考:首都高速ホームページ http://www.shutoko.jp/company/press/h23/prl2sv000000chzm-att/prl2sv000000ci0w.pdf、asahi.com http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK201110200008.html、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2011/11/02/164844.html、毎日jp http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111107k0000e010051000c.html)

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「山陽新幹線2枚きっぷ」11月末で発売終了

 JR西日本は、購入してから3日後から2週間を経過するまでの12日間使うことのできる、ちょっと不思議な切符「山陽新幹線2枚きっぷ」の発売を、11月30日で終了します(利用は最長で12月14日までです)。

 JR西日本は廃止の理由を、「エクスプレス予約」が普及して、「山陽新幹線2枚きっぷ」の利用が減少したからとしています。しかし、この「山陽新幹線2枚きっぷ」、金券ショップ対策が念頭にあったのでしょうが、先ほども書いたように回数券なのに購入したその日には使えず、しかも有効期間は短かったので、使いづらい切符でした。その切符そのものの問題が、廃止の背景にあったのでしょう。単純な2枚つづりの回数券である、JR九州の「2枚きっぷ」とは大きく異なります。

 JR西日本は、12月以降のお得な切符として「エクスプレス予約」の「EX-IC早特」を推奨しています。乗車3日前(23:30)までの予約なら、席数限定ですが、お得な値段で新幹線に乗ることができます。新大阪・新神戸-小倉・博多間が11450円(大阪駅など、新幹線停車以外から利用のときは追加料金が要ります)。通常の「のぞみ」普通車指定席が14890円(往復割引だと片道あたり13950円)なので、かなりお得です。しかし、「エクスプレス予約」をするには、新たに会費(年間1050円)がかかる、JR東海の「エクスプレス・カード」かJR西日本の「J-WESTカード(エクスプレス)」を持たないといけません。東海道・山陽新幹線のヘビーユーザーならともかく、そうでないと躊躇します。また、ゆったりした座席の「みずほ」「さくら」に乗ることもできません。もっとも、JR西日本には、年会費無料ながらカード(「J-WESTカード」)を新たに持つ必要はあるものの、かなり安い「eきっぷ」というものもあります。これだと、大阪市内-福岡市内の「のぞみ」普通車指定席が12880円(往復割引だと片道あたり11940円)です。「みずほ」や「さくら」に乗ることができますし、直前でも予約できます。席数の制限もありません。

 「J-WESTカード」などのクレジットカードがなければどうするのでしょうか? そういう人にも割引切符がきちんとあります。大阪市内・神戸市内と北九州市内・福岡市内を新幹線で往復することのできる「新幹線北九州・福岡割引きっぷ」(神戸市内-北九州市内が26000円、それ以外が26200円。片道あたりにするとそれぞれ13000円、13100円)や、新幹線回数券(大阪市内・神戸市内-北九州市内・福岡市内が6枚つづりで77400円、1枚あたり12900円。多客期利用不可)です。実は、廃止になる「山陽新幹線2枚きっぷ」もほぼ同じぐらいの値段なのです。大阪市内・神戸市内-北九州市内・福岡市内が25600円、片道あたりにすると12800円です。

 これが名古屋からだと、1週間前に買う必要があり、しかも席数限定ですが、格安の「のぞみ早特往復きっぷ」があります。名古屋市内-北九州市内・福岡市内が26000円です。当然、「エクスプレス・カード」などのカードを新たに買う必要はありません。航空機との競争が激しいという背景があるからなのですが、こう考えると名古屋からの値段は結構お得ですね。

(追記)
 格安の「のぞみ早特往復きっぷ」についてですが、2012年1月1日出発分からは28000円(名古屋市内-北九州市内・福岡市内の場合)に値上げされます。以前は25000円だったときもあり、航空機に対して優位に立っているのでしょうか、だんだん強気になっているようです。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2011/11/page_969.html、JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000013421.pdf)

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紀勢線、12月3日に全線復旧

 台風12号により、紀勢線などは大きな被害を受けました。2か月を過ぎても紀勢線紀伊勝浦-新宮間は運休しています。

 その紀勢線新宮-紀伊勝浦間について、JR西日本は、12月3日の始発列車から運転再開することになりました。名古屋からの「ワイドビュー南紀」についても同日から紀伊勝浦-新宮間の運転を再開します。なお、これに先立ち、11月19日から、現在2往復しか運転されていない白浜-紀伊勝浦間の特急を6往復に増やします。災害前は7往復だったので、あともう少しの数字です。特急の紀勢東線経由での「救出」に目途が立ったのでしょうか?

 紀勢線の全線復旧に合わせて、和歌山県、和歌山県観光連盟、JR西日本は、国交省近畿運輸局の協力を得て、復興支援キャンペーン「元気です和歌山キャンペーン」を実施します。その一環として、JR西日本は、期間限定のフリーきっぷ「元気です和歌山 南紀パス」を発売します。

 「元気です和歌山 南紀パス」は11月15日から2012年3月10日までの発売(利用開始日の前日までに買う必要があります)、利用期間は12月3日から2012年3月13日までです(12月28日から2012年1月6日は利用不可、出発は2012年3月11日まで)。紀勢線紀伊田辺-新宮間(特急自由席)と現地のバスが乗り放題です。発駅からの往復は特急普通車指定席が使えます。有効期間は3日間です。2人以上なら、格安でレンタカーを使うこともできます。

 驚きなのはその値段。大阪市内からだと、たったの6000円です(子供は2000円)。天王寺-白浜間の片道運賃・特急料金が合計5130円であることを考えると、その安さが際立ちます。単純に往復するだけで十分元が取れますから。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2011/11/page_980.html、http://www.westjr.co.jp/press/article/2011/11/page_982.html、JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/nws000882.html)

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フリーゲージトレイン、カーブでの走行性能改善

 標準軌の新幹線と狭軌の在来線とを直通することのできる、夢のような車両、フリーゲージトレイン。カーブでの走行性能などに問題があり、実験が続いています。新しい台車をつくりましたが、それもうまくいっていなかったようです。

 ところが、フリーゲージトレイン開発を進めている鉄道・運輸機構が8月から予讃線で走行試験をした結果、課題となっていたカーブでの走行性能に一定のめどが立ったことが分かりました。10月27日に、フリーゲージトレインの開発状況を審議する国交省の技術評価委員会で、実用化に向けた技術は確立している、との評価をまとめたのです。

 今回の予讃線での走行試験では、小型・軽量化した台車を使いました。軌道もロングレール化を行いました。これによって、今の特急列車並みの速度でカーブを曲がるという目標を達成することができたのです(ただし、ロングレール化ができない半径400メートル未満のカーブや軌道整備を十分に行うことができない踏切などで、依然として速度性能が劣り、横圧等が発生するという問題は起こっています)。

 フリーゲージトレインの導入が予定されているのは、長崎新幹線。長崎新幹線諫早-長崎間の追加着工に関しても、フリーゲージトレインの実用化ができるかどうかが条件とされています。これに関して言えば、在来線をそのまま使う新鳥栖-武雄温泉間には半径400メートル未満の急カーブはありません(追加着工の話がある諫早-長崎間については国交省開発技術室は把握していないようです)。つまり、半径400メートル以上のカーブで問題がなければ、フリーゲージトレインを入れても大丈夫なようです。

 もっとも、時速270キロしか出すことのできないフリーゲージトレインを導入する意味があるかどうかは別の話です。100系300系が引退し、「こだま」でも時速285キロ以上の列車に統一される山陽新幹線に乗り入れることができないからです。時速270キロでは遅すぎて、「のぞみ」や「さくら」などの速達列車と同じ速さで走ることができないからです。新大阪まで行くならともかく、博多止まりなら、わざわざ費用対効果を水増ししてまで機構が複雑なフリーゲージトレインを導入する必要はありません。在来線でそのまま博多まで行けばいいだけです。

 話を元に戻します。今後、在来線での耐久試験と新幹線区間での走行試験を行い、耐久性やコストを検証し、2013年度をめどに最終的な実用化の判断を行います。新幹線ではすでに時速270キロ運転が可能で、今月(11月)からは在来線10万キロを1年かけて走る耐久試験を実施します。これにより、車輪やレールの摩耗具合のほか、保守にかかるコストなどについて検証します。来年度には現在の試験車両の倍となる6両編成の新車両をつくり、それでも実験を行います。

(追記)
 国交省は2012年度補正予算案でフリーゲージトレインの実用化に向けた費用を盛り込む方針です。これにより、2014年度から熊本-鹿児島中央間で新型車両(2013年度完成目標)の試験走行を始める予定です。

 試験走行は車両や装置の耐久性やコストを確認するために実施するものです。新八代に軌間変換装置を置き、熊本-新八代間は在来線、新八代-鹿児島中央間は新幹線を走行します。約3年で計60万キロを走らせます。
(参考:佐賀新聞ホームページ http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2071730.article.html、国交省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000170877.pdf、福井新聞ホームページ http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/super_expless/39174.html)

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江差線五稜郭-木古内間バス転換?

 北海道新幹線は、2015年度に新青森-新函館間が開業します。これに伴い、江差線の五稜郭-木古内間が並行在来線とされ、JR北海道から経営分離されます。

 この江差線五稜郭-木古内間について、10月31日に北海道と沿線自治体(函館市、北斗市、木古内町)との協議会が行われました。この中で、北海道は財政負担などを理由に、江差線五稜郭-木古内間を鉄道として存続させず、バスに転換することを提案しました。以前にも同じようなことを書きましたが、鉄道とバスとでは公費負担額や累積赤字額が大きく異なるのです。第三セクターで鉄道を残した場合、開業後30年間の自治体の負担額は69.5億円、累積赤字額は40.6億円。しかし、バスに転換した場合は、自治体の負担額は15.9億円、累積赤字は1.7億円にとどまるのです。五稜郭-木古内間の1日の平均利用者は約760人と少なく(以前の記事は「推計」なのでずれが生じているのかもしれません)、このような厳しい試算となっています。なお、五稜郭-木古内間をバス転換したとしても、貨物輸送のために線路は残るようです。「トレイン・オン・トレイン」などの計画には影響を及ぼさないようです。木古内-江差間については極めて利用者が少ないですが、並行在来線には該当しないので、当面はJRによる運行が維持されます。

 この北海道の提案に対し、沿線自治体は反発しています。その理由として、新幹線着工前に北海道は鉄道維持の方針を示していたこと、県の負担割合が低いことを挙げています。他県の並行在来線では県が85%を負担していることもありますが、ここ江差線の場合は県と沿線自治体の負担は半々です。また、北海道新幹線全線開業後も函館-新函館間のJRでの存続を求めている函館市は、この前例が函館線にも適用されることを懸念しています。

 北海道は今年度中に結論を出したいようですが、沿線自治体からの反対意見が強く、このままバス転換で決まるかどうかは不明です。
(参考:nikkansports.com http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20111031-857142.html、毎日jp http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20111101ddlk01020272000c.html)

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東北地方の高速道路完全無料化は太平洋側のみ

 いったん6月から始まったのですが、不正利用が相次ぎ、8月で被災者向けのものを除いて打ち切られた、東北地方の高速道路無料化。12月から再び行う予定です。10月21日に決定した第3次補正予算案に必要経費として250億円を計上しています。さて、どこの区間が無料になるのでしょうか?

 全日、全車種が無料になるのは、東北道白河-安代間、常磐道水戸-広野間、磐越道いわき-西会津間など、岩手・宮城・福島の3県を通る高速道路。このほかに、観光振興のため、休日に限り、ETC搭載の普通車以下に限りますが、秋田・山形県の全域、青森・新潟県の一部の区間が無料となります。具体的には、東北道安代インター以北、秋田道湯田インター以西、山形道村田インター以西、磐越道西会津インター以西、日本海東北自動車道などです。平日も休日も、あくまでも東北地方の部分だけが無料となり、東京方面や大阪方面まで高速道路を走り続けても全区間が無料になる訳ではありません。白河以南などの部分は有料です。

 無料になる期間は12月(開始日は後日公表)から2012年3月まで。4月以降については、来年度の予算編成過程で再検討されます。

(追記1)
 東北地方の高速道路無料化は12月1日から始まりますが、複数のルートがある場合、たとえ無料化対象のルートを通っても、高速料金がかかるケースがあるようです。

 その理由は、複数のルートがあれば、最短距離を走ったものとみなすため。例えば、水戸から白河に行った場合(ともに無料化対象地域)、たとえ無料となる磐越道経由で走ったとしても、最短距離の北関東道(有料)を経由して走ったものとみなされます。

 プログラムを改修すべきところでしょうが、当分の間は注意が必要でしょうね。

(追記2)
 12月1日から始まった東北地方の高速道路無料化ですが、春以降は交通量が増えるためから経費がかさむと予想され、2012年度予算に盛り込みませんでした。2012年3月31日で終了します。

 なお、東京電力福島第一原子力発電所事故や津波被害で避難している人たちについては、高速道路会社の負担により、2012年4月以降も当分の間、無料措置が続けられるようにすることを政府は検討しています。

(追記3)
 2012年4月以降も、東京電力福島第一原子力発電所事故の避難者に限り、2013年1月15日まで無料措置を続けます。常磐道いわき中央、東北道郡山、東北道福島飯坂、磐越道会津若松など28インターチェンジ(双葉町から避難している人は、東北道加須、常磐道桜土浦を含みます)を入口又は出口とするケースに限られます。

 また、NEXCO東日本は、2012年4月8日に開通する常磐道南相馬-相馬間について、2013年1月15日まで全車両を無料にします。他の高速道路と接続しない、飛び地での開業なので、そのような無料措置がとれるのでしょう。

(追記4)
 ボランティアについても、2012年6月までは高速道路の無料措置が延長されます。ただし、2012年4月以降は無料措置の対象となるものが制限されます。岩手、宮城両県(沿岸部)はがれき類の仮置き場までの運搬、福島県(原発事故の影響を受ける地域)はがれき運搬と仮設住宅の建設に限られます。無料化措置を受けるには、自治体などが発行する「災害派遣等従事車両証明書」を各料金所に提出する必要があります。
(参考:日経ケンプラッツ(会員登録要) http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20111021/553517/、毎日jp http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111126k0000m040066000c.html、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111224/fnc11122412250005-n1.htm、河北新報社ホームページ http://www.kahoku.co.jp/news/2012/03/20120323t71025.htm、http://www.kahoku.co.jp/news/2012/03/20120331t73012.htm、NEXCO東日本ホームページ http://www.e-nexco.co.jp/road_info/important_info/h23/1121/)

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