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北陸新幹線並行在来線、富山から新潟、石川に相互乗り入れへ

 整備新幹線の建設が進むと、並行在来線の処遇という大きな問題が出てきます。原則として並行在来線はJRから分離されます。現在建設中の北海道新幹線、北陸新幹線も例外ではありません。江差線五稜郭-木古内間、信越線・北陸線長野-直江津-金沢間が分離されます(JR東日本エリアの津軽線は新幹線の運営会社と異なるため、分離されません)。

 今は特急がたくさん通る幹線鉄道でも、分離された後は特急需要がなくなり、ローカル線に転落してしまいます。値上げするとはいえ、安い運賃ではやっていけません。当然赤字で、地元が負担することになります。その多さから、江差線についてはバス転換するとの話が出ています。信越線・北陸線でもそのようなはありましたが、貨物がたくさん走る路線でそういう話は無理があり(はっきり言って江差線もそうなのですが)、第三セクターとなることになりました。

 信越線・北陸線長野-直江津-金沢間は長野・新潟・富山・石川の4県にまたがります。第三セクターを運営する会社は4つに分かれます。長野県部分(長野-妙高高原間)はすでに軽井沢-篠ノ井間を運営するしなの鉄道が運営します。長野県部分は開業後30年間で最大171億円の赤字が見込まれていて、しなの鉄道による一体経営で経費節減を図ります。

 信越線・北陸線の第三セクターは県境にある駅で折り返すところもありますが、富山・石川の県境については、県境を越えて電車(JR西日本の521系(2両編成)タイプを導入するようです)が行き来します。富山県部分の会社は金沢まで、石川県部分の会社は富山まで相互乗り入れします。新潟方面についても、富山県部分の会社は糸魚川まで乗り入れ、新潟県部分の会社は泊まで乗り入れます。通勤・通学時間帯には金沢から富山県東部に直通する快速を走らせ、利用客の多い高岡-富山間などの本数を増やすようです。一部はワンマン列車にします。

 問題なのは新潟県。新幹線同様、並行在来線についてもうまくいっていないようです。新潟県部分の会社は開業後30年間で300~600億円の赤字が出ると予想されています。そこで、赤字額を減らすために北陸線を1両で走ることのできるディーゼルカーを導入します。これらの方法により30年間で50億円もの赤字を減らすことができます。

 この新潟県部分の会社の方針に対して、一部沿線住民から強い反発を受けています。ディーゼルカーの安全性、信越線と北陸線を直通しないこと、富山や長野まで直通せず泊や妙高高原で折り返すことなどです。車両や運行範囲、運行本数などが決まらないと並行在来線会社の人数や施設、投資額が決まりません。北陸新幹線金沢開業とそれに伴う並行在来線の第三セクター化は2014年度末。これに間に合わせようと思ったら、今年度末ぐらいに決めておいたほうが望ましいです。現状では、新潟県部分の会社の方針は決まる目途が立っていません。

 なぜ新潟県部分の会社がディーゼル化などの厳しい計画を立てるのでしょうか? そもそも新潟県の場合、北陸新幹線が県庁所在地を通らないため人口が少なく、経営が厳しいことが予想されるからです。北陸線の輸送密度は石川県が13100人、富山県が7112人に対して、新潟県は1420人(ちなみに信越線は長野県が4334人、新潟県が2820人。いずれも開業年度の予測です)。富山県は県庁所在地の富山や主要都市の高岡を通り、金沢もそう遠くないので普通だけでもある程度の需要が見込まれます。新潟にはそれがないのです。しかも、あくまでも平均なので、県境になればさらに厳しくなります。貨物の存在を考えるとつぶすわけにもいかず、厳しい計画を立てざるを得ないのです。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000001111150003、http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000001111170005、http://mytown.asahi.com/areanews/nagano/TKY201102170460.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/toyama/news/20111115ddlk16010711000c.html、石川県ホームページ http://www.pref.ishikawa.lg.jp/shink/heikouzairaisen/heikouzairaisennituite/heikouzairaisentoha/documents/h230823hpsiryou.pdf)

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Comments

以前にも新潟県会社の採算性は問題になっている旨は紹介されていましたが、日本海の廃止で通過交通による収入がさらに減少し(通過需要も含まれていると書いてましたよね)、さらに深刻化しますね。また、最終的には上越(仮)以北はJRが継続して運行する事になるということも読んだのですが、このあたりも決まってないようですし。

金沢-津幡間は七尾線も並行して走るので、3セクに移行するとしても七尾-和倉温泉間のような運営形態になる事も考えれられますね。

Posted by: うえしょう | 2011.11.25 01:33 AM

 うえしょうさん、おはようございます。

* 日本海の廃止で通過交通による収入がさらに減少し

 ブルートレインがどんどん廃止されている現状を考えると、あてにはしないほうがいいでしょう。確実な通過交通は貨物ぐらいです。

* また、最終的には上越(仮)以北はJRが継続して運行する事になるということも

 以前にコメントでそのようなことを書いたかもしれませんが( https://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2007/06/post_392d.html )、参考にしたホームページ( http://www.pref.ishikawa.lg.jp/shink/heikouzairaisen/heikouzairaisennituite/heikouzairaisentoha/documents/h230823hpsiryou.pdf )を見る限りでは、分離区間は長野-直江津-金沢間です。

* 金沢-津幡間は七尾線も並行して走るので、

 石川県の会社にとってはボーナスみたいなものですね。

Posted by: たべちゃん | 2011.11.25 05:08 AM

分離区間は基本的には新幹線の並行区間のみナノは分かりますが、紹介いただいたサイトではあくまで原則論に沿ったものですよね。
氷見線・城端線・大糸線は挙がっていませんし、過去の事例を見ても難しいところ(篠ノ井-長野がJRとして存続した半面、盛岡-好摩は転換された)など、どうなるかというのは今後の課題でしょう。

Posted by: うえしょう | 2011.11.26 09:12 AM

あと、気になるのは金沢から富山までの運賃がどのくらいになるかですかね。

他の整備新幹線転換路線の事例を考えると1500円程度が妥当なところだと思いますが、金沢-富山はバスですと900円(回数券だとさらに安い)で行けますし、新幹線開業後のJRは「金沢富山往復きっぷ」の新幹線版を3500~4000円程度で出すような気がするので、在来線会社が正規運賃しかないと中途半端な存在になってしまいます。

ですので、在来線会社も現在の運賃(950円)とあまり変わらないねだんで利用できる何らかの割引きっぷが登場するかと予想しております。

Posted by: うえしょう | 2011.11.26 10:20 AM

 うえしょうさん、こんばんは。

* 分離区間は基本的には新幹線の並行区間

 さすがに現時点で分離区間について未決定ではまずいでしょう。これから決めないといけないことが山積みです。

* 氷見線・城端線・大糸線は挙がっていませんし、

 以前の記事( https://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2011/07/post-5ab7.html )にもありましたが、枝線は新幹線開業と同時には廃止されず、そのまま残り続けます。

 しかし、JRで残さなければならないほどの需要はなく、中には大糸線のようにどうやっても鉄道で存続させるのが不適当なほど需要が少ないところもあります。JRに甘えてばかりの、「安かろう、悪かろう」路線が続きます。

Posted by: たべちゃん | 2011.11.27 05:18 PM

 うえしょうさん、こんばんは。

* 他の整備新幹線転換路線の事例を考えると

 並行在来線になると運賃が上がる傾向があります。参考にしたホームページ( http://www.pref.ishikawa.lg.jp/shink/heikouzairaisen/heikouzairaisennituite/heikouzairaisentoha/documents/h230823hpsiryou.pdf )にもありますように、石川県会社が「収支均衡運賃」としているのが37%アップ。富山-金沢間は途中の県境で会社が分かれ、初乗り運賃が加算されることを考えると、確かに1500円ぐらいになりますね。

 この運賃なら確かにバスのほうが安いですし、さらに1000円ぐらい乗せると(正規運賃でも)新幹線に乗ることができます。(都市間需要の一部にしか過ぎない)東京への利便性だけを考えて新幹線を引っ張ってきた代償とはいえ、並行在来線会社は厳しいですね。

Posted by: たべちゃん | 2011.11.27 05:48 PM

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