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December 2011

廃線跡を6億以上かけて遊歩道にして何の意味があるのか?

 2008年3月に廃止された三木鉄道(元:国鉄三木線)。加古川市(厄神)と三木市、約6.6キロを結んでいましたが、このうち三木市部分約4.9キロについて、線路跡の活用計画が決まりました。2017年度までに整備します。

 旧三木駅付近-旧別所駅付近の約900メートルは、車が通ることのできる生活道路としてアスファルト舗装します。しかし、旧別所駅から加古川との市境近くまでの約3.3キロについては、歩行者や自転車が通行できる遊歩道とします。そのうち西端の約350メートルについてはハーブを沿道に植え、今年度中に工事を完成させます。

 旧別所駅は休憩所に、旧石野駅は喫茶スペースを備えたカフェテラスとして活用します。旧西這田駅近くの市有地には、現在地元で試験栽培しているハーブの加工施設を建てて、新産業創出のために一体的に整備します。計画の細部は、全国公募により業者に提案してもらう、「プロポーザル方式」を採ります。2012年1月中にも設計を委託する業者を決める予定です。なお、すでに旧三木駅周辺には約4.4億円をかけ、駅舎を活用した交流施設などがある「三木鉄道記念公園」として整備しています。

 利用者の少なかった三木鉄道の廃止は当然のことでしょうし(赤字だが、利用者の多い神戸電鉄の存続のほうが重要課題です。利用者の多いところなら、税金を投入しても維持する必要性はあります)、廃線跡を道路にするのは理解できます。代替交通機関のバスやバスターミナルの整備は当然のメニューでしょう。しかし、大人になったら車の免許を取る地方で、線路跡を遊歩道にしても誰が使うのでしょうか? そんなお金があるのなら、神戸電鉄の改良のためにつかったほうがはるかに有用です。
(参考:神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/touban/0004665684.shtml)

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富山県並行在来線会社の新駅設置計画

 北陸新幹線長野-金沢間が開業するのは、あと3年後。もうそこまで来ています。新幹線が開業すると、今までの在来線はJRから分離され、第三セクターとなります。これまでのように特急利用者に頼ることができず、もちろん新幹線や大都市圏の通勤輸送に甘えることもできず、厳しい経営が予想されます。

 そんな中、富山県では、並行在来線となる北陸線に新駅を求める動きが出ています。動きがあるのは、富山県内で一番駅同士の間隔が長い、石動-福岡間(7.2キロ)。石動駅の東3.8キロの小矢部市地崎地区に新駅をつくろうとし、住民たちが10日、小矢部市内で推進協議会を開きました。協議会に参加した市議の話によれば、新駅の設置によって乗客が分散するマイナス点はありますが、駅近くの人口減少に歯止めがかかり、並行在来線を運営する第三セクターの収支改善につながるというメリットがあることを伝えました。住民たちは、市総合計画における新駅設置の取り上げかたの強化や地域での盛り上げをすることを活動目標としました。

 新駅設置の動きはほかでも見られます。県自身、新駅設置に関するガイドラインを設けています。既存の駅間距離が4キロ以上で、新駅をつくっても隣接駅との距離が2キロ以上あるところです。県内では、石動-福岡、西高岡-高岡、小杉-呉羽、呉羽-富山、富山-東富山、水橋-滑川、魚津-黒部の7区間が検討の対象となっています。このうち西高岡-高岡間、小杉-呉羽間ではすでに新駅設置の要望がすでに出ています。

 ネックとなるのは新駅整備費用。同じく並行在来線の第三セクターである、しなの鉄道やIGRいわて銀河鉄道では、3~6億円かかっています。国や県の補助もありますが、当然市町村の負担も必要です。そのあたりも考えないといけないでしょう。

 ただ富山県の場合は、第三セクター化することによって特急はなくなりますが、人口がそれなりにいるので、普通列車を使う需要はそれなりに見込めます。まだ恵まれている部類です。駅を多くつくることにより、需要を拾うことが第三セクターとして生きる道です。

(追記)
 富山県は2012年5月17日、検討されていた7区間のうち、西高岡-高岡間、富山-東富山間の2区間については、宅地など周辺開発をすれば開業後30年間は採算が見込めるとした収支予測を発表しました。

 新駅設置により増える乗車人員(2015年度、1日当たり)は西高岡-高岡間が582人、富山-東富山間が1054人です。実は、西高岡-高岡間よりも小杉-呉羽間、魚津-黒部間のほうが乗車人員の増加は大きいのですが、定期利用者の割合や富山駅までの運賃の違いから、小杉-呉羽間は開業初年度から駅建設費を無視しても採算がとれません。魚津-黒部間については周辺にある農地にかかる規制や近くにある富山地鉄の駅との競合により、(つくればある程度の期間採算がとれるものの)建設は困難だとしています。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/travel/news/OSK201112100086.html、朝日新聞ホームページ http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000001205180003)

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2012年夏、横浜に「原鉄道模型博物館」オープン!

 三井不動産は、2012年夏、みなとみらい21地区に建設中の「横浜三井ビルディング」(JR横浜駅徒歩5分、横浜高速鉄道新高島駅徒歩2分)の中に「原鉄道模型博物館」をオープンさせる予定です。

 「原鉄道模型博物館」は、世界的に著名な鉄道模型製作・収集家の原信太郎<はら のぶたろう>氏の協力を得てつくられています。2つのレイアウト(1番ゲージ(軌間45ミリ、縮尺約1/32)とHOゲージ(軌間16.5ミリ、縮尺約1/80~1/87))と3つの展示室から構成され、原氏のコレクションから選ばれた約1000両を展示します。

 原氏は仕事でもコクヨの専務や生産関連会社の社長を務め、仕事と趣味を両立させた人。オープンしたら行ってみたいものです。

(追記)
 「原鉄道模型博物館」は7月10日に開館します。16日までの開館後1週間は完全予約制となり、当日券の販売は行いません。その後は、現地で当日券を販売します。
(参考:三井不動産ホームページ http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2011/1221/index.html、http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2012/0524/index.html)

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北海道新幹線新函館-札幌間など、新規建設方針決定!(2)

 昨日の記事の続きです。

 整備新幹線建設に必要な財源は、公共事業費(2015年度から2040年度、2015年度から2017年度は既建設分にも充てられるため一部のみ利用可能となります)2.64兆円と2017年度から2040年度までの貸付料0.99兆円でまかないます。合計すると3.63兆円となり、建設が予定される北海道新幹線新函館-札幌間など3区間の建設費3.01兆円を大きく超えますが、0.25兆円の貨物調整金を除いても大きな差が出ます。何に使うのでしょうか?

 ところで、貸付料は整備新幹線の整備に伴い、ずっと増えていくものと思っていましたが、2027年度以降、減っていきます。長野新幹線などが開業30年を迎え、貸付料が減っていくためです。それも変な話で、整備新幹線はJRにとって借り物なので、営業を続ける限り永遠に払わないといけない性質のものでしょう。しかも、盛岡止まりだった東北新幹線が北海道に伸びると、JR東日本に莫大な利益が生じます。貸付料を見直すことによっていわゆる「根元受益」の分も適切に反映させる必要があるでしょう。これによって貸付料が増え、新規で着工される区間の早期開業につながったり、重要な区間でありながら未着工の敦賀以西を建設する財源になったりします。このままだと、2040年度ごろまで新規に着工する財源はありません。ちなみに、どうしても北陸・長崎新幹線が開業する2020年度過ぎと、北海道新幹線が開業する2030年度過ぎはどうしても建設費がかかります。そのときは2040年度までの範囲内で、後に入る貸付料(これから完成する区間を含むようです)から充当されるようです。

 各線ごとの収支採算性等は次の通りです。北海道新幹線は時速260キロで運転(ただし、青函トンネルなど在来線と共用する区間は時速140キロ)した場合、新函館までが開業したときに比べて投資効果は1.1、収支採算性(開業後30年間の平均値)は35億円です。少ない感じがしますが、JR東日本の「根元受益」を反映させずに、JR北海道だけを考えると小さいものになってしまうのでしょう。北陸新幹線は時速260キロで運転した場合、金沢まで開業したときに比べて投資効果は1.0~1.1、収支採算性は80~102億円です。投資効果が1.1、収支採算性が102億円となるのは、敦賀駅で乗り換えによる利便性の低下を減らすための対応を最大限行った場合のもので、この意味でも大阪までの全線開業が望まれます。金沢新幹線も敦賀新幹線も中途半端なことには変わりないですから。長崎新幹線はフリーゲージトレインを時速260キロで運転した場合、現状(在来線)と比べて投資効果は1.1、収支採算性が20億円です。これまでのに比べると厳しい数字です。

 さて、2010年8月に出された、各線ごとの課題については、必ずしもクリアされたとはいえません。北海道新幹線は(1)貨物列車も走る青函トンネルの運行方法(2)並行在来線の経営(3)最高速度の見直し の3点ですが、(1)に関しては「トレイン・オン・トレイン」が実用化するまで当面140キロ運転でお茶を濁します。(3)に関しては2つの点から否定的です。ひとつは、時速360キロ運転すれば時間短縮はできますが、騒音費用の費用が増大し、費用対効果は縮小すること。もうひとつは、最高速度を上げると、整備計画の変更(リニアで1年3か月かかりました)や環境影響評価(3~4年かかります)をしなければなりません。その分、着工が大幅に遅れること。つまり、ゼロ回答です。北海道新幹線は新規着工されても、本格的に行うのは新函館まで開業してからのことなので、少々時間がかかったとしても、大きな問題にはならないはずですが。もっとも、(本来は請求すべき)JR東日本から「根元受益」を請求しないので、効果が少ないということはあるでしょう。北陸新幹線は敦賀以西の整備のありかたの1つのみですが、先ほども述べたように、着工されたとしても2035年度以降の話なので、先送りです。長崎新幹線は、(1)フリーゲージトレインの開発(2)肥前山口-武雄温泉間の単線区間のありかた の2つです。フリーゲージトレインについては実用化待ち(実際に導入するかはJR九州と地元自治体が判断)、肥前山口-武雄温泉間の複線化はフリーゲージトレインの導入を前提として新規着工が決まった段階で判断します。複線化の費用は整備新幹線の予算で出ます。

(追記1)
 長崎新幹線では、博多-長崎間を31往復、そのうち14往復が新大阪まで乗り入れることを前提に収支採算性等を計算しています。フリーゲージトレインの技術が確立していない段階でそれをあてにするのは危ないでしょう。フリーゲージトレインができなかったことを考えた収支採算性等の計算も必要です。

(追記2)
 北海道新幹線倶知安駅は半地下構造で計画されていましたが、倶知安町と北海道の要望を受け、駅周辺約1.3キロを高架に変更する方向です。
(参考:国交省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000186790.pdf、佐賀新聞ホームページ http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2123805.article.html、北海道新聞ホームページ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/436429.html)

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北海道新幹線新函館-札幌間など、新規建設方針決定!(1)

 先日の記事の続報です。

 国交省は26日、整備新幹線問題検討会議を開き、北海道新幹線新函館-札幌間、北陸新幹線金沢-敦賀間、長崎新幹線諫早-長崎間を着工する方針を確認しました。最大の課題であった財源の見通しに見通しがついたからです。早ければ今年度中に着工の認可がされる見通しですが、着工の前には収支採算性などについて有識者によって各線ごとに再検討します(基本的にはクリアされているようですが)。

 開業時期は北海道新幹線は2035年度、北陸新幹線は2025年度、長崎新幹線は2022年度です(武雄温泉-諫早間も同時に開業)。長崎新幹線は既着工の武雄温泉-諫早間も併せてフル規格となります。フリーゲージトレインの実用化に目処が立ったとみているのでしょうか? 新幹線開業後の所要時間は次のようになります。北海道新幹線は東京-札幌間が5時間1分、仙台-札幌間が3時間27分、函館-札幌間が新函館乗り換えで1時間13分(青函トンネルを時速260キロ走行すれば、東京-札幌間、仙台-札幌間がそれぞれ18分短縮されます)。北陸新幹線は東京-敦賀間が3時間8分、金沢-大阪間が敦賀乗り換えで2時間1分。長崎新幹線は博多-長崎間が1時間20分です。以前の予想と大体あっています(北海道北陸長崎)。なお、北陸新幹線の敦賀以西については、北海道新幹線が開業する2035年度まではつくらず、その後も着工される保障はありません。敦賀以西は、単なるローカル新幹線から国の幹となる新幹線になる、北陸新幹線で一番重要な区間なのですが。

 ただし、事業費はさらに膨らむことになります。北海道新幹線が1.67兆円、北陸新幹線が1.13兆円、長崎新幹線が2100億円(内訳は、新規着工区間の諫早-長崎間1600億円、肥前山口-武雄温泉間の在来線複線化の事業費200億円、フリーゲージトレインの導入によるシステム改修と新鳥栖駅のアプローチ線の整備費用300億円です。なお、既着工の武雄温泉-諫早間は2900億円です)です。合計3.01兆円となります。震災対策の強化などで事業費が膨らんだという記事を書きましたが、さらに上がったのです。ただ、当面は既着工の区間を優先させ、2012年度予算案に盛り込まれた事業費3095億円の配分額も、北海道新幹線新青森-新函館間が1125億円、北陸新幹線長野-金沢間が1600億円、武雄温泉-諫早間が220億円であるのに対して、北海道新幹線新函館-札幌間など新規着工区間は3つの合計で90億円が確保されているだけです。

 相変わらずマスコミは整備新幹線に冷淡な姿勢を示しています。確かに私も各論レベルでは言いたいことはたくさんありますが(北海道新幹線は遅い、北陸新幹線は大阪までつながらない、長崎新幹線は離れ小島の新幹線)、総論では賛成すべきところです。高速輸送(新幹線など)と大量輸送(大都市近郊)が鉄道の生きる道ですから。「整備新幹線は無駄」を繰り返すマスコミの方々には、(特急もなくなって不便になった)並行在来線を使っていただきましょう。

 整備新幹線を着工するためには、沿線自治体に並行在来線分離に同意してもらう必要があります。それで難航したのは北海道新幹線。かつての北海道の玄関からJRがない町になってしまう(新幹線の新函館駅は、北斗市にあります)函館市が強く抵抗を見せていました。11月の時点で分離に同意したという話もありましたが、それはまだ早かったようです。

 結局、JR北海道は(1)北海道新幹線新函館開業時に、約40億円かけて函館線函館-新函館間を電化し、新幹線アクセス列車を走らせること(電化により、函館-新函館間の所要時間は今より10分短い、17分となります) (2)北海道新幹線が札幌まで開業し、函館線が第三セクターになっても、JR北海道がアクセス列車について運行委託を受けるつもりであること (3)発券業務も受託を受けるつもりであること を函館市に対して回答しました。

 アクセス列車については、新たに電車を投入するようですが、「スーパー白鳥」として走っている789系を転用するかもしれません。「スーパー白鳥」用789系は、新幹線が新函館に伸びると必要性を失ってしまいます。北海道で電車特急が使われるのは、道央の「スーパーカムイ」と「すずらん」だけですが、「スーパー白鳥」用の789系をそっくり転用することはできません。「スーパー白鳥」は6両編成、「スーパーカムイ」「すずらん」は5両編成だからです。グリーン車の有無の問題もあり、785系置き換えのため転用するときには改造が必要となります。基本的には「スーパーカムイ」等に転用されるでしょうが、あまった一部の車両でアクセス列車をつくるかもしれません。

 長くなったので、いったん切ります。(続く)
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111226/plc11122619190010-n1.htm、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0E4E2E0838DE0E4E3E0E0E2E3E39F9FEAE2E2E2、西日本新聞ホームページ http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111227k0000m010110000c.html、JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2011/111213-2.pdf、毎日jp http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20111214ddlk01020217000c.html、http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111227k0000m010110000c.html、朝日新聞12月27日朝刊 大阪13版、asahi.com http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001112270003、国交省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000189665.pdf、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20120628-OYT8T01669.htm)

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北近畿タンゴ鉄道で65歳以上200円の社会実験

 全国の第三セクター鉄道の中で最多の赤字額を抱え、苦しい経営状況の北近畿タンゴ鉄道。一部区間の廃止さえ検討されています。

 廃止候補に挙がっている区間の中にある京丹後市は、利用者を増やそうと65歳以上の運賃を200円にする社会実験を行いました。その結果、高齢者の乗客は2倍以上に増え、京丹後市は対象を60歳以上に広げるか検討を始めました。

 京丹後市はバスも200円に値下げしています。こちらは年齢関係なく、最高200円です。もちろん、運賃を値下げすると市の負担は発生します。値段を下げないと使ってくれないというのは、交通機関にそれだけの価値しかないことの表れとも言えますが(運賃が高くても使ってくれるなら、それに越したことはない)、過疎地の交通を考える上でひとつの方法と言えるでしょう。もちろん、補助金を出しただけの効果があるかどうかは検証する必要があるでしょうが。

(追記)
 2011年6月からの半年間、週末と休日に限り65歳以上の運賃を片道200円にした京丹後市ですが、この2012年10月からは平日を含めたすべての日で、65歳以上の市民はどこまで乗っても片道200円になります。市内の駅で駅員に(年齢確認のための)運転免許証等を見せて往復切符を買えば、帰りも200円になります。期間は2013年3月末までです。

 同様のサービスは、宮津市、与謝野町、伊根町でも行われます。こちらは2012年10月20日からです。
(参考:TVでた蔵 http://datazoo.jp/tv/NHK%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+%E3%81%8A%E3%81%AF%E3%82%88%E3%81%86%E6%97%A5%E6%9C%AC/532982、朝日新聞ホームページ http://mytown.asahi.com/kyoto/news.php?k_id=27000001210020001)

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大阪市、地下鉄とバス完全分離へ、地下鉄値下げ3案

 一時は莫大な金額であった累積赤字を解消し、今後は安定的に利益を稼ぐだけの地下鉄事業に対し、深刻な経営状態にあるのが市バス。139路線のうち黒字はたったの3路線。当然ながら大赤字です。2010年度、市バス事業は地下鉄事業から約30.2億円、一般会計から約23.8億円を繰り入れましたが、それでも15億円以上の赤字を出し、累積赤字は604億円。大阪市交通局も路線の見直しや職員削減などで2015年度の収支均衡を目指していますが、バス事業は(減価償却費や借入金が圧迫する)地下鉄事業と違い、人件費など時間が経っても減らない経費が主体のため、なかなか収支の改善の見込みが経ちません。

 そんな中、大阪市の橋下市長は、市バス事業の維持のために地下鉄事業からお金を入れるのを止め、両事業を完全分離させる考えを示しました。前市長の方針とは全く逆で、補助金頼りの市バスにとってはピンチです。

 しかも、住之江区のバス車庫跡地を利用した商業施設の土地信託事業をめぐり、先日大阪地裁は市に約276億円の損害賠償を命じました。控訴することになったので、この判決が確定したわけではありませんが、最終的にこれが確定すれば大問題です。交通局サイドとしては収益力のある地下鉄事業から補填したり、貸付を受けたりすることを考えていますが、市長はその処理を認めず、市バス事業で処理すべきだと考えています。また、それによって市バス事業が破綻しても構わないとしています。1回つぶして、赤字路線などの大幅な見直しをしなければならないということでしょう。市長の発言は府知事時代と同様、極端なところもありますが、現在赤字で、その改善の見込みもないところは大幅な見直しが不可欠だというのは間違いない事実です。「敬老パス」を持ったお年寄りしかいない路線(つまり、お金を払ってまで乗る価値のない路線)は真っ先に切らないといけないでしょう。

 話は変わりますが、先日橋下市長が指示した地下鉄の値下げについて、交通局は3案をまとめました。3案とも初乗り運賃を20円値下げして180円にすることは共通です。それ以外の部分が異なります。1案は、すべての区間で20円値下げするもので、年間の減収額は130億円です。2案は、4キロまでが180円、8キロまでが220円、8キロ以上が現状維持となるもので、年間の減収額は120億円です。梅田-心斎橋間(3.2キロ)や梅田-天王寺間(7.5キロ)が50円値下げされます。3案は、4キロまでを180円と200円の区間に分け、4~8キロを230円、8キロ以上が現状維持となるもので、年間の減収額は65億円です。4.1キロある梅田-難波間は本来230円となりますが、特定運賃として200円とします。梅田-天王寺間(7.5キロ)は40円の値下げです。橋下市長も満足しているようで、どれかの案を実現させたい考えのようです。

(追記)
 市長が市バス事業で補填すべきだとしていた、住之江区のバス車庫跡地を利用した商業施設の土地信託事業についてですが、2013年4月24日の記者会見で、市の支払いが確定した場合、バス事業の民営化を前提に、市の一般会計から穴埋めする考えを明らかにしました。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111222-OYT1T00602.htm?from=main4、http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111224-OYO1T00473.htm、http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130425-OYT1T00327.htm、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111216/lcl11121600290000-n1.htm、asahi.com http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201112190054.html)

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「TOICA」と「manaca」2012年4月21日に相互利用開始、名鉄新回数券2012年3月1日発売開始

 JR東海の「TOICA」、名古屋市交通局・名鉄などの「manaca」は、2012年4月21日から、相互利用を開始します。以前から「TOICA」と「manaca」の相互利用は2012年春とされていましたから、当初の計画通りに進んでいることになります。ただし、これまでのと同じく、2012年4月に相互乗り入れするのは乗車券部分のみで、電子マネーは2013年春の予定です。全国主要10ICカードで相互利用が可能になるときでしょうか?

 また、乗車券部分の相互利用が可能となるとは言っても、「manaca」のマイレージポイントや(地下鉄とバスを一定時間内に乗り継いだときなどに適用される)乗継割引は相互利用の対象になりません。つまり、「TOICA」を使っても、(いくらケチで少ないとはいえ)マイレージポイントをもらったり、乗継割引は受けたりすることはできないのです。たまに名古屋市地下鉄や名鉄に乗る程度ならともかく、ある程度利用する人なら「manaca」を持っておいたほうがよいでしょう。

 同じ2012年4月21日からは、1枚のICカードでJR東海と名古屋市交通局・名鉄・豊橋鉄道(路面電車とバスは除く)・名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)との連絡定期券を買うことができるようになります。ただし、交通機関の組み合わせによっては「TOICA」しか買えない、「manaca」しか買えないケースがあります。市バスが絡むケースは「manaca」しか買えません。あおなみ線、豊橋鉄道との連絡定期券は「TOICA」しか買えません。

 話は変わります。名鉄は「manaca」導入により、回数券(普通回数乗車券、時差回数乗車券、土・休日割引回数乗車券)を廃止する予定でした。しかし、「manaca」ですべてをカバーできるわけではありません。そこで、「SFパノラマカード」が使えなくなる2012年3月1日から、3種類の回数券を発売します。通信制の学校用の「通学用割引回数券」、障害者用の「身体障害者割引回数券」「知的障害者割引回数券」、「manaca」が導入されない蒲郡線(吉良吉田以遠)各駅相互間と広見線(新可児以遠)各駅相互間で使うことができる「蒲郡線 回数きっぷ10<テン>」「広見線 回数きっぷ10<テン>」です。余談ですが、弥富駅では「SFパノラマカード」は使えなかったのですが、「manaca」は使えます。

 もっとも、先ほども書いたとおり、「SFパノラマカード」の充実した割引(5000円分買えば、1割引程度のプレミアムがありました)とは異なり、「manaca」の割引はお寒い限りです。回数券を廃止できるのは、代替となるカードでそれに見合う割引があるから。それを考えると、「manaca」の割引は、とても回数券を廃止できるだけのものではありませんね。

(追記)
 また、2012年4月21日からは、これまで行われていたJRと名鉄の普通乗車券(片道・往復)及び団体乗車券による連絡乗車券の発売を停止します。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000013691.pdf、名鉄ホームページ http://www.meitetsu.co.jp/info/2011/1217044_1474.html、http://www.meitetsu.co.jp/info/2012/1220189_1476.html)

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岩泉線運行再開の可否は今年度中に判断

 2010年7月の脱線事故(列車が線路内に崩れ落ちた土砂に乗りあげた)以降、運休が続いているJR東日本の岩泉線。バスによる代行運転が続いています。

 JR東日本は早速事故直後の2010年8月から岩泉線土砂崩落災害原因調査検討委員会(委員11人、非公開)を設置し、岩泉線の安全性評価のため、斜面136か所で地質調査を進めてきました。12月9日がその委員会の最終回だったのですが、調査の結果、事故現場と同じように、大規模な岩盤崩落が起きる恐れのある斜面が23か所、そのうち12か所は新たな割れ目が発生するなど、特に危険性が高いことが分かりました。それを受けて、JR東日本の内田設備部長は、岩泉線運行再開の可否は今年度中に行うことを明らかにしました。

 そもそも岩泉線は名松線と同じように国鉄当時から利用者が極めて少なく、分割民営化時に廃止の対象になりました。しかし、並行する道路が未整備のため(岩泉線は今なお未整備)、廃止を免れたのです。とっくに鉄道としての使命を失っていたのに、並行する道路が整備されていないため存続すること自体おかしな話ですが(どうしても存続したければ地元で第三セクターを運営すればよい)、そのおかしな話が分割民営化後も25年近く続いているのです。そもそもJRは株式を公開している、純粋な民間会社です。将来性のない路線を維持しようとは思いません。廃止できなければ、赤字額を抑えるように数える程度の本数でお茶を濁す、消極的な運営を続けるだけです。運営するJRも、利用者も、不幸な話です。

 技術的には復旧させることができるかもしれません。しかし、岩泉線が鉄道として運行するだけのある路線ではありません。鉄道が廃止になっても、JR東日本を責められません。地元自治体がお金を出すならともかく、冷静な判断が求められます。
(参考:岩手日報ホームページ http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20111210_2)

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E5系追加投入、E657系デビュー、久留里線タブレット廃止(2012年3月ダイヤ改正(6))

 最後は、JR東日本についてです。

 今回のダイヤ改正でもE5系の投入が進み(4編成追加投入され、合計10編成となります)、東京・仙台・盛岡-新青森間を結ぶ「はやて」17往復中、半数以上の9往復がE5系での運転となります。はじめて「なすの」にも投入され、東京-那須塩原・郡山間を各1往復します。2012年4月27日からはさらにE5系が1編成追加投入され、E5系で運転される「はやて」「やまびこ」が1往復ずつ増えます。つまり、2012年4月27日の時点では、E5系で運転される東京発着の「はやて」「やまびこ」「なすの」が、合計13往復となります(ほかに仙台・盛岡-新青森間に各1往復)。

 E5系で運転される「はやて」「やまびこ」「なすの」はこれまでのものと同様、E3系と連結するため、最高速度が時速275キロとなります。「なすの」でも「グランクラス」は営業しますが、専任アテンダントによる車内サービス(軽食・ドリンクサービス、アメニティーサービスなど)がないため、2000円安い特別料金となります。例えば、東京-宇都宮間なら、「やまびこ」なら7000円の「グランクラス」料金が5000円となります。なお、盛岡-新青森間のみの運転となる「はやて93号」「はやて98号」についてはE5系で運転されますが、「グランクラス」は営業しません。

 また、E5系の投入により、これまでE4系で運転されていた列車の一部がE2系に変更になります。このため、山形新幹線の「つばさ」もスピードアップされるのです。これまで東京-福島間で併結していた車両がE4系だったため、最高速度が時速240キロに制限されていましたが、E2系なら時速275キロを出すことができるのです。「つばさ」16往復中、9往復が時速275キロ運転となり、東京-山形間が最速2時間29分になります。

 新幹線以外に目を向けると、常磐線にE657系を投入します。「スーパーひたち」30本中20本が、「フレッシュひたち」41本中9本がE657系での運転となります。寝台特急については、「カシオペア」と「北斗星」の食堂車が終日禁煙となります。

 普通列車については各地で変更点があります。久留里線では、これまでのタブレット閉塞を止め、特殊自動閉塞に変更します。首都圏に近いことから注目を浴びていましたが、それも2012年3月のダイヤ改正で終わりとなります。これに伴い、上総亀山駅等の設備も変更となります。車両についても、2012年度中のことですが、これまでのキハ30形、キハ37形、キハ38形からキハE130形(10両)に置き換えられます。片側3扉両開きのロングシートです。

 石巻線については、仙台-石巻間の「直通快速」がこれまでの平日のみの運転から、毎日運転に変わります。また、石巻発の時刻が6:27に繰り上がり、所要時間も68分に短縮されます(8分の短縮です)。

(追記)
 久留里線のキハE130系の導入日が2012年12月1日と決まりました。また、組合(動労千葉)に対しては、2両編成以下の列車を対象として、ワンマン運転の提案をしています。JR東日本は2013年3月のダイヤ改正から実施したい考えのようです。
(参考:JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/press/2011/20111211.pdf、http://www.jrchiba.jp/news/pdf/20111216daiyakaisei.pdf、
http://www.jr-sendai.com/doc/20111216.pdf、http://www.jrchiba.jp/news/pdf/20111215kururisen.pdf、http://www.jrchiba.jp/news/pdf/20120921kiha130.pdf、日刊動労千葉ホームページ http://www.doro-chiba.org/nikkan_dc/n2012_07_12/n7416.htm)

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「あさぎり」はMSE60000形で(2012年3月ダイヤ改正(5))

 今回は、JR東海について。

 先日、「あさぎり」に使われる371系が定期列車から引退し、団体列車用にリニューアルされるというニュースを紹介しました。その後、「あさぎり」には(これまで「あさぎり」用に使われてきた)RSE20000形が使われると思われていましたが、意外な答えが出ました。MSE60000形6両編成で運転されるのです。運転区間が新宿-御殿場間に短縮され、平日は3往復に減少します(休日は4往復のまま)。

 「あさぎり」は小田急からJR東海に乗り入れる特急。小田急も同じ日にダイヤ改正をします。一部を抜粋すると、これまで東京メトロから箱根湯本までの直通特急は休日のみの運転でしたが(平日は通勤時間帯のみに運転するだけでした)、平日にも1日1往復「メトロはこね」を運転します。また、一部の休日に限り東京メトロ有楽町線新木場まで直通運転していた「ベイリゾート」の運転を取りやめます。2つの地下鉄線(千代田線、有楽町線)にまたがるためダイヤが組みにくく、しかも運転日が限られているために認知されにくかったのでしょうか? 貴重な体験となりました。今回のダイヤ改正は特急(地下鉄直通以外のものも含めて)を中心に変更が加えられています。

 「あさぎり」関連以外に目を向けると、300系が引退することにより、700系・N700系に統一され、昼間の「のぞみ」で東京-新大阪間2時間33分運転するものが増えます。名古屋近郊では、東海道線幸田-岡崎間に相見駅が開業し、区間快速・普通が停車します。中央線も平日の夜間に快速が1本増え、太多線では平日朝に普通を1往復増発します。しかし、「ホームライナー太多」は廃止されます。名古屋から愛知環状鉄道に乗り入れている列車のうち、休日昼間の5往復については乗り入れを取りやめます。休日の愛知環状鉄道に4両は過大だったのでしょう。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000013606.pdf、小田急ホームページ http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/6813_2421858_.pdf)

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明暗分かれる、JR西日本の普通列車(2012年3月ダイヤ改正(4))

 今回は、JR西日本の普通電車について。

 JR宝塚線に225系を投入し、JR宝塚線から113系が引退します。これで、JR宝塚線のすべての快速・普通が、JR発足以降につくられた車両で運転されることになります。阪和線・関西空港線についても、225系の追加投入(116両より増えるのでしょうか?)が行われ、阪和線のすべての快速系統の電車(「関空快速」などを含みます)は、朝通勤時間帯の一部の区間快速を除いて、223系または225系で運転されることになります。

 大阪環状線については、福島駅にすべての快速が停車します。しかし、12~15時台に大阪環状線とJRゆめ咲線を直通する列車が廃止されます。福島の快速停車はこれをカバーする意味合いがあるのでしょう。ということは、野田駅は日中、15分に1本しか電車が来ない時間帯が出るのでしょうか? なお、JRゆめ咲線の電車はすべて8両編成となります。

 周辺に目を向けると、山陰線の園部-綾部間でも、すべての車両が223系などのJR発足以降につくられた車両で運転されることになります。紀勢線も、225系の投入により、113系を前提としたダイヤから223・225系を前提としたダイヤに切り替わり、和歌山-御坊間の昼間帯で3分ほど短縮されることになります。

 関西線亀山駅の接続の悪さは有名でした。芸術的でした。しかし、今回のダイヤ改正でおおむね11~15時台の亀山駅での名古屋方面及び津方面への接続時間が大幅に短縮されます。名古屋方面が現行の47分から19分に、津方面が38分から9分になります。これに伴い、草津線も、柘植での関西線との接続を維持するため、昼間時間帯において柘植行きと貴生川行きを入れ替えます。奈良線は木津での接続改善のため電車の発車順序を大幅に入れ替えます。姫新線では高速化工事完了から2年の試行増発期間を終え、運転本数が見直されます。播磨新宮以遠はほぼ試行増発前の水準に戻されます。鉄道としての特性を活かせる区間は播磨新宮ぐらいまででしょうか?

 北陸線に関しては、運用を見直すことによって、日中を中心に521系を富山まで運転します。金沢-富山間が10本、高岡-富山間が6本です。

 ただ、広島支社内では、厳しいダイヤ改正となりました。山陽線(西条-岩国間)や可部線で夕方の快速電車が各駅停車化されます。そのほか、運転本数の削減は各地で見られます。山陽線・呉線のような主要線区(山陽線大野浦-岩国間では、30分も電車が来ない時間帯があります。呉線広-広島間では、快速が30分間隔になる反面、普通が1時間間隔になります)から、芸備線・福塩線などのような(廃止になってもおかしくないような)ローカル線まで広い範囲にわたります。昼間長時間にわたり列車の来ない路線もあり、運休させなくても十分保守間合いが確保できます。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_kinki.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_kanazawa.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_fukuchiyama.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_wakayama.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_hiroshima.pdf)

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287系「くろしお」によってスピードダウン(2012年3月ダイヤ改正(3))

 次は、JR西日本の在来線です。まずは特急から。

 紀勢線「くろしお」に新型車両287系を投入します。ダイヤ改正時は新大阪-白浜間に4往復ですが、7月までに京都・新大阪-白浜間7往復に増やします。これまで、「くろしお」への287系投入は2012年7月と言われていたので、繰り上がったことになります。また、これまで南紀方面の特急については車両によって「オーシャンアロー」「スーパーくろしお」「くろしお」を使い分けていましたが、「くろしお」に統一されます。

 ただ、新車投入のニュースを喜べないのは、287系「くろしお」が鈍足であること。平均して6分ほど遅くなっています。振り子が使えないので遅くなっているのでしょう。新車のメリットはきれいなだけです。海南に全特急が停まる反面、日根野・箕島・藤並・湯浅・南部駅について停車本数を見直します。停車駅の削減で(287系置き換えによる)スピードダウンを減らしている可能性もあります。

 北近畿方面については、山陰・播但線の地上設備の一部が完成したため、「はまかぜ」の速達化を行います。最大15分の短縮、平均で7分強の短縮となります。

(追記)
 6月1日に「くろしお」用287系が追加投入され、7往復が287系での運転となります。当初の予定より1か月ほど早くなりました。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_wakayama.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_fukuchiyama.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/2012/04/page_1812.html)

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九州新幹線「みずほ」「さくら」増発!(2012年3月ダイヤ改正(2))

 それでは、西から順番に見ていくことにしましょう。

 3月12日に九州新幹線が全線開業し、新大阪-鹿児島中央間に直通列車「みずほ」「さくら」が走り始めました。直通の「みずほ」「さくら」は大変好調でしたが、車両が足らないため、当初「みずほ」が4往復、「さくら」が11往復しか設定できませんでした(新下関発着は除く)。以前に情報がありましたが、今回のダイヤ改正でともに増発がなされ、「みずほ」が5往復、「さくら」が18往復となります(同じく新下関発着は除く)。増発されるのは主に朝夕の列車で、朝夕はおおむね1時間に2本の直通列車が運転されます。また、九州新幹線で若干のスピードアップがなされ、最速で新大阪-熊本間が2時間58分、新大阪-鹿児島中央間が3時間42分、博多-熊本間が33分、博多-鹿児島中央間が1時間17分となります。

 山陽新幹線のダイヤを見てみます。N700系7000番台の追加投入により、「ひかりレールスター」がほとんどなくなりますが、全くなくなるということはありません。博多発新大阪行きの「ひかりレールスター」が1本残されるようです。余談ですがこの「ひかりレールスター」、途中通過駅が5駅(厚狭、新岩国、新尾道、新倉敷、相生)だけということもあり、所要時間は3時間50分もかかってしまいます。途中駅に用事があるならともかく、「ひかり」だからと言って間違えて乗ってはいけないですね。

 話を本題に戻します。朝夕の「ひかりレールスター」は九州新幹線直通の「さくら」になりますが、日中の「ひかりレールスター」は廃止になるようです。その時間帯は博多まで行く速達列車は「のぞみ」2本と「さくら」しかありません。九州新幹線は1時間に4本ありますので、1本(具体的にえば、熊本以南各駅停車の「さくら」)は山陽新幹線と接続しないことになります。個人的には、昼間の「ひかりレールスター」が「さくら」になるものと思っていたので、予想は外れた格好になります。

 また、以前にも書いたとおり、100系・300系は引退し、500系・700系・N700系のみとなります。もっとも、これにより「こだま」がスピードアップしたわけではないようです。8両編成の700系については、6号車も禁煙になり、全車禁煙となります。しかも、喫煙コーナーはありません。東海道・山陽新幹線では、初めての事例です。

 実は、九州新幹線内ではあまり変動はありません。トータルで見ると「みずほ」「さくら」が2本ずつ増えるだけです。増発される山陽・九州新幹線直通「さくら」は熊本以南が各駅停車のタイプで、従来の九州島内のみで運転されていたものを振り替えただけです。利用者が少ないとして問題になっていた筑後船小屋、新大牟田、新玉名の3駅についても、削減されることなく、新大阪直通の「さくら」も3本で変わりません。もう少し様子を見ようということでしょうか? なお、新下関発着の便については、鹿児島中央行きは「さくら」のままですが(ただし時間帯は変更)、新下関行きは1本が熊本始発の「つばめ」に、もう1本が博多で分割され、熊本始発の「つばめ」と「こだま」になります。

 JR九州の在来線について見ることにします。福北ゆたか線を中心にロングシートの新型通勤車両(817系)を導入し、混雑の緩和を図ります。2両編成の2000番台を6編成、3両編成の3000番台を5編成製造します。最高速度は2000番台が時速100キロ、3000番台が時速120キロです。

 最後に、同じく3月17日、「B&Sみやざき」もダイヤ改正が行われます。こちらも新幹線、バスの所要時間、新八代での乗り継ぎ時間を見直し、博多-宮崎間の最速が2時間59分となります。本数は16往復と変わりません。

(追記1)
 夕方には、鹿児島中央発小倉行きの「つばめ」が1本運転されます。N700系8両編成です。反対の小倉始発の九州新幹線直通便はありません。

(追記2)
 朝に岡山発広島行きの500系「ひかり」が1本運転されます。福山と三原に停車し、全車自由席です。

(追記3)
 8両編成の700系には、普通個室がありますが、「こだま」で運行されるときは使用できません。つまり、普通個室が使えるのはたった1本、「ひかりレールスター」の「ひかり442号」のみです。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_honsya.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_okayama.pdf、http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_hiroshima.pdf、JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/NewsReleaseWeb.nsf/d1360c23cd486dae492578620003908a/27400941315dee8349257968002e6795/$FILE/%E3%80%90%E5%88%A5%E7%B4%99%E3%80%91%E5%B9%B3%E6%88%9024%E5%B9%B4%E6%98%A5%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E6%94%B9%E6%AD%A3.pdf、http://www13.jrkyushu.co.jp/NewsReleaseWeb.nsf/Search/C1536C24BEC320B049257968002E6791?OpenDocument、http://www.jrkyushu.co.jp/news/tt_kaisei2012/img/jikoku.pdf、JTB時刻表 2012年3月号)

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「日本海」「きたぐに」同時に廃止(2012年3月ダイヤ改正(1))

 昨日16日、JR北海道を除く各社から2012年3月17日ダイヤ改正の概要が発表されました。これから数回に分けて、その概要を紹介したいと思います。

 ダイヤ改正では、新しく生まれる列車もあれば、廃止されていく列車もあります。夜行列車はダイヤ改正のたびに縮小を続けています。今回廃止されるのは、大阪と青森を結ぶ寝台特急「日本海」と、大阪と新潟を結ぶ急行「きたぐに」。2010年の「北陸」「能登」のときのように、特急・急行ともに一気に廃止されてしまいました。これにより、(原則週4日運転の)「トワイライトエクスプレス」を除くと、一番遠く行くのは魚津になってしまいます。ダイヤ改正後も、臨時列車としては、「日本海」も「きたぐに」も残りますが。残るブルートレインは「北斗星」「あけぼの」のみで、急行は「はまなす」しかありません。

 確かに、「日本海」に関しては事前に廃止の報道があり、「きたぐに」もかつては(深夜帯は空いていたボックスシートも)大阪に向かうにつれだんだん混んで来たのですが、4年半ほど前に乗ったときはすでにそういうこともなく、利用者の減少が感じ取れました。「きたぐに」もいずれは廃止になることは予想できましたが、そうは言ってもさびしいものもあります。これで「きたぐに」に使われた583系は定期運用を失うことになります。寝台と座席の両方に使えるという特徴を活かし、A寝台、B寝台、グリーン車、普通車とバラエティに富んだ編成でしたが、もう見ることができなくなるのです。

 なお、昼間の運転となる「日本海」の秋田以北については、特急ではなく、普通電車が用意されます。15分ほど余計に時間がかかり、弘前で乗り換えが必要となります。「きたぐに」についても新潟地区では代替列車が用意されます。直江津-新潟間に「おはよう信越」(新潟行き、全車指定席)、「らくらくトレイン信越」(直江津行き、乗車整理券制。現在長岡止まりのものの延長)が運転されます。「おはよう信越」は今の「きたぐに」とほぼ同じダイヤですが、「らくらくトレイン信越」は2時間ほど繰り上がっています。車両は485系6両編成です。また、平日に限りますが、「きたぐに」の新潟発時刻とほぼ同じ、22:49発の普通電車を長岡まで延長します(休日は新津行き)。

(追記)
 3月16日(始発駅時点)に運転される「日本海」「きたぐに」はダイヤが変更されます。青森行きの「日本海」は直江津以東が遅くなり、青森到着は通常より4時間近く遅い、12:42です。新潟行きの「きたぐに」も直江津以東が若干遅くなります。反対の大阪行きは「日本海」も「きたぐに」も同じダイヤです。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_honsya.pdf、http://www.jr-odekake.net/eki/timetable.php?id=0610155、JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20111216.pdf、http://www.jrniigata.co.jp/press/20111216daiyakaisei.pdf)

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Peach、福岡へ3780円から、新千歳へ4780円から

 2012年3月1日にデビューする、関空を拠点にする日本初のLCC、Peach。福岡へ1日4往復、新千歳へ1日3往復します。その運賃が15日明らかになりました。

 Peachの運賃は「ハッピーピーチ」「ハッピーピーチ プラス」の2種類があります。「ハッピーピーチ プラス」は変更手数料(インターネットの場合のみ無料)、手荷物料金(1個のみ)、座席指定料金がセットになったものです。また、「ハッピーピーチ」はキャンセルできませんが、「ハッピーピーチ プラス」ならキャンセルができます。ただし、1050円が引かれた残額を「ピーチポイント」(有効期限はポイント発行日から180日)のかたちで戻されます。

 大きな特徴は、「ハッピーピーチ」「ハッピーピーチ プラス」のいずれも空席状況によって運賃が変化すること。安いほうの「ハッピーピーチ」の場合、関空-福岡線が片道3780~11780円、関空-札幌線が片道4780~14780円。極端な差があります。必ずしも早く予約したから安くなるという訳ではありません。もちろん、購入後に安くなったとしても差額が返金されるわけではありません。小児運賃もありません。

 また予約方法によっても手数料に差が出てきます。インターネット予約なら無料、あるいは低額で済んでいたものも、電話予約や空港カウンターでの予約なら高くなってしまいます。さらに言えば、どの予約方法でも210円の支払手数料がかかります。つまり、福岡には最低3990円かかるわけです。

 なお、同じく15日、就航記念キャンペーン運賃が発表されました。3月1日から24日までの間、5000席限定で、たったの片道250円です。インターネットで予約した場合は210円の支払手数料もかかりませんので、本当に250円で福岡や新千歳に行くことができます。

 話は変わりますが、このPeach、3月からの福岡、新千歳のほかに、5月から仁川便を飛ばす予定ですが、2012年春に関空から長崎、鹿児島に就航する方針です。その後も、国内線や片道4時間以内のアジア主要都市への国際線を飛ばす予定です。
(参考:Peachホームページ https://www.flypeach.com/jp/Home.aspx、asahi.com http://www.asahi.com/business/update/1214/OSK201112140039.html)

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富山地鉄に「ALPS EXPRESS」登場!

 現在公開中の映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」の舞台となっている富山地鉄。その富山地鉄で12月25日から、特別車両「ALPS EXPRESS」が走ります。

 「ALPS EXPRESS」は元西武鉄道の「レッドアロー」を改装したもの。デザインはJR九州の車両などを手掛けた水戸岡鋭治氏。富山には3両編成で来たのですが、3両は供給過大だったようで、先頭車のみの2両で走り、中間車両は遊休化しています。その中間車両を中心に改装が行われました。

 大きく改装が加えられた2号車は、座席数を従来の72から40に大きく減らします。ゆったり1人ずつ座れる外向き座席や2人掛けのテーブル付き座席を設け、「ますずし」などを販売する軽食ブースも設けます。1、3号車も座席数を60から50に減らします。

 「ALPS EXPRESS」は、25日から運行を開始しますが、平日と年末年始は1、3号車のみの2両編成、25日と1月7日以降の休日は3両編成で運転します。運賃だけで乗車することができますが、2号車だけは210円の指定券が必要になります。

 ちなみに、同じ25日にはダイヤ改正が行われますが、この記事を書いている15日現在、「ALPS EXPRESS」がどの列車に使われるかはわかりません。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/travel/news/OSK201112090136.html、富山地鉄ホームページ http://www.chitetsu.co.jp/train/23_12_25kaisei1.pdf)

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北陸新幹線金沢開業用にE7系製造か?

 2014年度末に迫った北陸新幹線の金沢延伸。JR東日本はその北陸新幹線用に、E7系を投入するようです。

 E7系は長野新幹線などで走っているE2系をベースにけん引力をアップし、急勾配でも時速200キロ以上の走行を可能にします(今のE2系は時速170キロ以上)。先頭形状のデザインを変更することによりトンネル突入時の微気圧波を抑えたり、車体側面への吸音パネルや低騒音パンタグラフを採用したりして環境性能を向上します。快適さもアップさせています。すでに基本設計にとりかかっており、来年夏までに試作車を完成させ、試運転を始める予定です。現在長野新幹線を走っているE2系は、長野新幹線開業時の1997年にデビューしており、E7系でその更新も行われることになります。200系、E1系、E4系は引退するので(200系の引退は今のところ正式な発表はありませんが、E1系、E4系が引退するのに残り続けるということは考えにくいでしょう)、近い将来には東北新幹線はE5系、山形新幹線はE3系、秋田新幹線はE6系、上越新幹線はE2系(製造年数から後期に製造されたものが主体?)が走ることになります。

 E7系は10両編成。以前言われていた、12両ではないようです。E5系もE2系も、JR東日本のフル規格新幹線車両は10両で運転されることになるようです。東京-大宮間の容量オーバーを防ぐための、フル規格新幹線同士の併結は難しいようです。東京から北陸への所要時間は富山まで2時間10分、金沢まで2時間30分となる予定ですが、E7系の導入でさらなる短縮を狙います。

 蛇足ですが、北陸新幹線は上越以東がJR東日本、以西がJR西日本です。JR西日本も、E7系のJR西日本版をつくるものと思われます。

(追記)
 JR東日本の富田社長が2012年7月3日に行った記者会見によれば、北陸新幹線用新型車両は12両編成になるようです。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/biz/news/20111213dde001020029000c.html、信毎web http://www.shinmai.co.jp/news/20120704/KT120703ATI090029000.php)

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飯田線119系は2012年3月に引退

 国鉄末期に飯田線から旧型国電を追い出すためにつくられた、119系。どうやら来年2012年3月で引退するようです。

 代わりに投入されるのは、213系5000番台と、313系3000番台。すでに11月から置き換えが行われています。313系3000番台はできてから10年あまり走った電車、213系5000番台はできてから20年以上走り続けた電車で、119系より5年あまりしか新しくありません。213系5000番台は主に関西線(名古屋-亀山間)で、313系3000番台は主に中央線(中津川-松本間)や関西線(名古屋-亀山間)で走っていた車両で、新車ではありません。中央線や関西線には新たに313系1300番台が投入されています。中津川で見る限りでは、3扉転換クロスシートのワンマン対応車です。

 213系5000番台はもともと、関西線のためにつくられた電車。しかし2扉でトイレがないため、ワンマン対応の313系3000番台(3扉、トイレあり)が投入されると出番が減り、あまり使われないようになってしまいました。今回、トイレを設置する工事を行った模様です。313系3000番台については、ボックスシートであるため、飯田線に回ることになったのでしょうか? 名古屋近郊のJR東海の電車は211系を除けば、転換クロスシートですから。もっとも、関西線の313系3000番台はともかく、中央線のは基本的に木曽路の中津川-松本間を走るものであり、なぜ置き換えがあったのか不思議ですが。

 それにしても、ローカル線といえども、30年ほどで普通列車を引退させることができるのは、金持ちのJR東海ならではです。一時よりは減ったとはいえ、アーバンネットワークにまだ103系が大量に残っているJR西日本にとっては、うらやましい話です。
(参考:railf.jp http://railf.jp/news/2011/12/08/202800.html、http://railf.jp/news/2011/12/08/202700.html)

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阪急、節電のため暖房を10~12度に

 冬も夏同様、電力を多く使う季節。東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故により電力事情は悪化し、今年の夏は鉄道業界でも節電の動きが見られました。

 しかし、節電が要るのは夏だけではありません。冬も需要が増大するのです。夏は午後が需要のピークなのですが、冬で需要が多くなるのは夕方。鉄道業界にとっては厳しい話です。夏なら昼間のそれほど利用者の多くない時間帯ですが、冬は夕方のラッシュですから。

 そんな中、阪急の角社長は12日に記者会見を行い、冬の節電対策として、従来10度台後半に設定していた暖房を、今年は10~12度にしていることを明らかにしました。しかも、関西電力の供給力に対する需要が97%を超えた場合には、間引き運転をするほか、全車両で暖房を停止することも検討しているようです。ちなみに、全車両で暖房を停止した場合、昨年の冬に比べて10%程度の節電ができるようです。

 「10~12度の暖房」と言えば、かなり寒い気もしますが、いくら脱げばいいとは言っても裸になるわけにはいかない夏とは違って、厚着になることである程度はカバーできます。コートを着たまま電車に乗ればいいのですから。やむを得ないでしょう。

 また、阪急でそのようなことができるかわかりませんが、通過待ちなどで長い時間停車するときは、一部の扉を閉めるなどの車内保温の対策も必要でしょうね。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/biz/news/20111213k0000m020047000c.html)

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「高速道路は原則有料」との国交省有識者委員会提言

 高速道路の料金制度や整備方法について検討してきた国交省の有識者委員会は9日、前田国交相に「中間とりまとめ」を提出しました。この提言は、将来の道路政策の指針となる、重要なものです。しかし、民主党のマニフェストとは大きく違うところもあります。

 国はこれまで高速道路建設に充てた債務は2050年度までに返済し、その後は無料開放する計画でした。しかし、今回の中間とりまとめでは、その後も厳しい財政事情のもとでは道路の維持管理費用や更新費用の捻出のため、現在の有料制度を維持することを求めています。老朽化する施設の維持補修、更新費用を賄うために償還期限を延長することを検討することも求めています。「フリーウェイ幻想」から脱却し、高速道路の利用者及び自動車ユーザー全般の負担を基本とし、自動車ユーザー以外にも便益を共有する地域などから負担を求めることで、公平で合理的な受益者負担を実現していくことを求めています。

 今後は、距離に応じた公正妥当な料金体系と安定的でシンプルな料金制度にすることを基本としています(ただし、時間帯や曜日によってきめ細かく変動させるという方針もあります)。この原則に従い、橋の建設コストの高さから料金が高くなっている本州四国連絡高速道路についても、値下げを求めています。現在、本州四国連絡高速道路は陸上部で一般的な高速道路の1.1倍、海峡部で10.3~16.4倍に設定されています。陸上部については一般的な高速道路並みに引き下げますが、海峡部については競合するフェリーへの配慮、現実に建設コストがかなりかかっていること、移動時間がかなり短縮されていることからある程度は高くなることを容認します。もっとも、本州四国連絡高速道路を値下げするためには、地元自治体が反対している2012年以降の出資金拠出に協力してもらうことと、管理コストの削減が不可欠です。

 すでに行われた政策である(ただし、東日本大震災で打ち切り)、「休日1000円乗り放題」や無料化社会実験などについても、厳しい目を向けています。地域活性化というメリットはあったものの、激しい渋滞他の交通機関への影響、他の予算への制約というデメリットがあったからです。現在行われている、距離制限のない休日昼間の5割引(コメント部分を見てください)についても批判的です。確かに割引は(車の特性を活かすことのできる)短距離の100キロぐらいで十分でしょう。

 現在の高速道路計画では、全国に14000キロの高速道路を建設することになっています。まだ建設に着手していない区間については、東京外環道などの都市部については利用者負担(従来通りの通行料)で、地方は国の事業(新直轄方式?)で整備することを提案しています。大都市圏についてはETC利用者に限定することを検討することも求めています。大都市圏については、首都高速や阪神高速に代表されるように、入口のみに料金所があるケースが多く、均一料金にならざるを得なかったのですが、ETCの普及により、そういうところでも距離に比例した料金体制をとることができるようになります。2012年1月(もう来月です)からの新料金制度はそれを示しています。ETCがあることを前提とした料金制度であり、ETCのない車はある車よりも高い料金を請求されます。ETCの普及度合いを考えると、ETCを標準装備にしてしまうという考えも出ています。高速料金の支払いをETCに限定するのです。今までの投資を台無しにし、ETCのある車もない車も同様に扱おうとしていた、これまでの民主党政権にはなかった考えです。

 確かに民主党のマニフェストとは大きく異なりますが、今回の中間とりまとめは現実をきちんと見たもので、はっきり言って民主党のマニフェストが政権狙いのいい加減なものだったのです。交通政策に限らず、未だにマニフェストに拘泥する勢力もありますが、非現実的なものを必死になって実現する必要はありません。マニフェストの杜撰さの責任は次の選挙で落選する、政権を失うというかたちで取ればいいのです。万年野党ならともかく、政権を狙うならば、実現性のあるマニフェストでないと強力なしっぺ返しを食らうのは当然のことです。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/biz/news/20111209ddm008020022000c.html、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111209/plc11120912310016-n1.htm、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2011/12/09/166929.html、http://response.jp/article/2011/12/09/166934.html、四国新聞社 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/administration/20111210000116)

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長崎新幹線、フル規格に変更か?

 今のところ、武雄温泉-諫早間を狭軌(スーパー特急)で建設予定の長崎新幹線。ところが、諫早-長崎間の新規着工が決まれば、建設中の武雄温泉-諫早間もフル規格にすることを考えています。諫早-長崎間をスーパー特急で建設しても距離が短く、在来線もすでに高速走行できるようになっているのでほとんど所要時間が短縮しないためです(時速160キロ運転なら5分程度の短縮か?)。時速260キロを出すフル規格でないと短縮効果は生まれてこないのです。

 長崎新幹線諫早-長崎間の新規着工が決まったとしても、開業は15年後。これに対して、現在建設中の武雄温泉-諫早間は2018年に開通する予定とされています。しかし、一気に武雄温泉-長崎間を開通させるかもしれないとも考えられます。

 その理由はこうです。武雄温泉-諫早間のみを狭軌で先行開業したら、諫早-長崎間が開業したときに狭軌から標準軌にするという、手直しの工事が要ります。山形新幹線や秋田新幹線のときと同様、列車の運行を止めて工事をしないといけません。かといって、武雄温泉-諫早間のみを標準軌にすると、武雄温泉と諫早で軌道変換の時間がかかり、時速260キロで走った効果を食いつぶしてしまうのです(スーパー特急が時速200キロ運転なら、スーパー特急のほうが速い)。スーパー特急を時速160キロ運転とした場合、狭軌でも標準軌でも博多-長崎間に1時間35分ほどかかると推測されます。もちろん、武雄温泉-諫早間を標準軌にすると、フリーゲージトレインが走り、博多-新鳥栖間は九州新幹線に乗り入れることができますが、それを加味しても効果は薄いです。博多-新鳥栖間は九州新幹線に乗り入れたとしても、5分しか速くならないですから。

 これに対して武雄温泉-長崎間がフル規格が完成したなら、たとえ武雄温泉で軌道変換の手間をかけても、武雄温泉以西を時速260キロで走ったほうが速いです。当然フリーゲージトレインが使われるので、博多-新鳥栖間は九州新幹線に乗り入れ、博多-長崎間が1時間15分ぐらいになると推測されます。現状より30分の短縮になり、つくる価値が出てきます。

 また、一気に武雄温泉-長崎間をフル規格で開通させた場合、別のメリットが出てきます。フリーゲージトレインの開発期間に余裕が出てくるのです。一時の危機的な状況を脱し、課題であったカーブの走行性能が解決に向かいつつあるとはいえ、まだフリーゲージトレインは確立された技術であるとはいえません。時間的な余裕が出ることは、開発サイドにとってはありがたいことです。
(参考:西日本新聞ホームページ http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/276668)

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北海道新幹線全線開業は25年後、2030年代後半?

 先日の記事の続報です。

 新規着工が予定されている、北海道新幹線新函館-札幌間、北陸新幹線金沢-敦賀間、長崎新幹線諫早-長崎間の総事業費は2.75兆円と試算されています。整備新幹線の着工のとき、いつも問題になる財源ですが、それはJRが国に支払う年間426億円の新幹線施設利用料(貸付料)で賄います。現在着工中の区間の建設が完了する2018年度からは、公共事業費と自治体の負担金(現在のペースで行けば、合計1000億円強)も使えます。その時までに開業する北陸新幹線長野-金沢間の貸付料なども使えます。ただし、北海道新幹線新青森-新函館間については、JR東日本の「根元受益」がないと、ほとんど貸付料は生まれません。北海道新幹線が開業すると利益が生まれるのはJR北海道ではなくて、(東京-新青森間を走る)JR東日本です。JR東日本の「根元受益」を盛岡-新青森間の貸付料に反映させるかたちなどで徴収する必要があるでしょう。

 とは言っても現状で確保できる財源は貸付料と公共事業費、自治体の負担金で年間1500億円ほど。しかも、2017年度までは400億円あまりしか使えません。単純な割り算をすれば明確ですが、今までみたいに10年では完成させることができません。完成までの時間がかなりかかるのです。北陸新幹線、長崎新幹線は15年程度、北海道新幹線に至っては25年程度なのです。かなり気の遠くなるような話です。JR東日本の「根元受益」を適切に貸付料に反映させるとともに、公共事業費などの増額をして、早期に完成させるべきでしょう。まだ北陸新幹線については肝心の大阪にはつながっていませんし、長崎新幹線も新鳥栖-武雄温泉間が空白のままですから。

 もっとも、整備新幹線着工への条件がすべてクリアさせたわけではありません。北海道新幹線沿線のうち、並行在来線の分離について余市町の反発が強いのです。函館市についても地元経済界は並行在来線分離に応じておらず、火種はくすぶっています。ここが解決しない限り、北海道新幹線の延長はできず、北海道は両市町に対して説得をしている状況です。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E2E1E2E2948DE2E1E3E0E0E2E3E39C9C97E2E2E2、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2011120202000169.html、asahi.com http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001112050015)

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大阪市営地下鉄、初乗り運賃値下げか?

 いろいろな改革を打ち出している橋下新市長。大阪市営地下鉄・バスについても完全民営化などの改革を打ち出しています。

 毎日多くの人が利用する大阪市営地下鉄。悩みの種は初乗り運賃の高さです。東京メトロや関西の私鉄に比べると、割高の200円(期間限定、「Osaka PiTaPa」所有者限定で、隣駅まで実質100円のキャンペーンはやっていますが)。そこで橋下新市長は、交通局に対し、地下鉄の料金体系を見直すように指示しました。交通局には複数の値下げ案を検討するように指示を出しましたが、初乗り運賃は10円か20円引き下げるようです。もちろん、値下げすると減収になります。初乗り運賃を10円引き下げると数十億円の減収になるとの試算もあります。この減収分については、民間より高いとされる給与のカットや人員削減でカバーする考えです。

 また、争点の一つとなっていた地下鉄今里筋線の延伸については、当面の間行わないことを明言しています。料金体系の見直しの後、延伸するかどうかを判断します。延伸を取りやめた場合、代替の交通機関を路面電車にするか、バスにするかは区長に判断させるようです。

 現在、70歳以上の市民に無料配付している「敬老パス」については、市内を走る私鉄などに20~30億円交付し、運用の拡大を検討します。しかし、年間予算は80億円にも上り、今後さらに増える見通しであることから、所得制限を設けるなどの見直し案を健康福祉局などに検討させます。なお、「敬老パス」の経費については今は市の一般会計から出ていますが、それを交通局に負担させる方針です。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819A91E2E4E2E0848DE2E4E3E0E0E2E3E39391EAE2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111206-OYT1T00689.htm)

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奈良県のリニア駅は地上になる?

 奈良市付近にできる予定のリニア中央新幹線の駅は、地下駅が予定されています。しかし、地下駅ではなく、地上駅にするアイデアがあるようです。

 その理由は、建設費の違い。地上駅なら約1/6で済みます。中間駅の建設費を全額負担することになり、建設費を圧縮したいJRにとって、地下駅は避けたいところです。

 地元も歓迎しています。荒井奈良県知事は今月1日の記者会見で、JR東海が中間駅設置費用を全額負担する方針を示したことに対して評価するとともに、地上駅のほうが好ましいとしています。地上駅なら、市役所などの公共施設を併設できるなどまちづくりに活用できるとのことです(なぜ、地上駅ならまちづくりに活用でき、地下駅なら活用できないのかよくわからないのですが)。

 また、名古屋以東とは違い、奈良市付近に予定されている駅の位置はまだ決まっていません。荒井県知事は、リニアの駅は奈良市内にはこだわらない姿勢を見せていますが、京都府内への誘致の動きは、リニア中央新幹線が東海道新幹線の代替交通手段としても計画された経緯から、「法の精神に反する」とまで言っています。この発言は政治的な思惑などからリニアの駅を京都府内にする動きをけん制したものです。確かに京都駅に併設するとか、京都駅に明らかに近いところなら話はわかりますが、奈良のほうが明らかに近いけいはんなクラスなら認めるべきでしょう。名古屋と大阪を直線で結べば、けいはんながちょうどいい場所で、奈良市内でも南に寄っています。奈良県内にこだわれば、さらに南に寄ってしまう危険性があります。

 地上駅にすることによる問題はあります。用地買収の問題に加え、古都奈良ではの問題もあります。文化財が出土して建設が中断、工期が大幅に遅れる危険性です。地下駅なら駅の部分さえ気にすればいいのですが、地上はそういう訳には行きません。それを防ぐためにはルートを決定する段階で文化財調査をしっかりとしなければならないのです。時代が違いますから近鉄奈良線のように平城京跡を横切るわけにはいきませんし、これで開業が遅れてもいけません。JR東海はそういうことも考慮して、最終的な判断を行うようです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111127-OYO1T00144.htm、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/111202/nar11120202220000-n1.htm)

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大阪維新の会の交通政策は評価できる

 11月27日に行われた大阪府知事選・大阪市長選において、ともに大阪維新の会の松井前大阪府議と橋下前大阪府知事が当選しました。

 当blogは政治を扱うものではないので、「大阪都構想」などについては触れません。当blogでは、交通政策について、マニフェストから考えていきたいと思います。

 府も市も同じ大阪維新の会の候補なので、基本的にはマニフェストは整合性が取れています。双方のマニフェストから考えると、大阪維新の会の目指す交通の姿が見えてきます。道路交通についていえば、(1)阪神高速淀川左岸線延伸部の整備 (2)有料高速料金の一元化(ハイウェイ・オーソリティ構想)。鉄道についていえば、(3)関空アクセスの強化 (4)地下鉄・バスの民営化 (5)地下鉄と私鉄の相互乗り入れの推進 (6)中央リニア新幹線や北陸新幹線の整備。航空についていえば、(7)関空の強化です。それでは、各項目について詳しく見ていきます。


(1)阪神高速淀川左岸線延伸部の整備
 現在、阪神高速湾岸線から梅田近辺まで淀川左岸線の整備が行われています。2012年度には阪神高速神戸線との交点まで(その後、淀川左岸線島屋-海老江ジャンクション間の開通日が2013年5月25日と決まりました)、2020年には梅田の北、豊崎まで開通します。これを伸ばして、近畿道と第二京阪の交点、門真ジャンクションまで伸ばします。これにより、ミッシングリングを解消させるのです。

(2)有料高速料金の一元化(ハイウェイ・オーソリティ構想)
 阪神都市圏の有料道路は、阪神高速のほかにNEXCO西日本もあります。この両者で異なる料金体系を一本化することを目指しています。

(3)関空アクセスの強化
 大阪都心部から関空への所要時間を短縮するために、なにわ筋線の整備を進め、関空リニアの実現を目指します。

(4)地下鉄・バスの民営化
 これは先日書いた記事にあります。運賃の値下げのほか、終電の繰り下げも行うようです。

(5)地下鉄と私鉄の相互乗り入れの推進
 地下鉄と私鉄の相互乗り入れや乗り継ぎの強化を図ります。特に推進しているのは四つ橋線の西梅田での乗り継ぎ強化と堺への早期延伸。西梅田のほうは十三への延長、堺のほうは「大阪都構想」で消える堺市への配慮でしょうか? 交渉次第では、堺の東西鉄軌道が地下鉄でできるかもしれません。

(6)中央リニア新幹線や北陸新幹線の整備
 中央リニア新幹線が新大阪まで伸びることにより、関西3空港の航空需要が減りますので、伊丹空港の整理もできます。跡地を売却し、(高さ制限がなくなる)梅田の高層化もできます。関空の強化もできます。北陸新幹線も米原経由で乗り入れる余裕ができます。リニアを名古屋で止めず、ちゃんと新大阪まで全線開業することにより、すべてがうまく回るのです。

(7)関空の強化
 伊丹空港との経営統合により両空港の資産の有効活用を図り、不要な資産は売却します。また、LCCの支援などにより、関空のハブ空港化を支援します。


 これはなかなかのメニューです。このマニフェストの実現により、沈滞した大阪の復活を図ってもらいたいものです。
(参考:「大阪秋の陣 知事選マニフェスト」 http://oneosaka.jp/news/%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E9%81%B8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%88.pdf、「大阪秋の陣 市長選マニフェスト」 http://oneosaka.jp/news/%E5%B8%82%E9%95%B7%E9%81%B8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%88.pdf、阪神高速ホームページ http://www.hanshin-exp.co.jp/company/torikumi/building/yodogawa/、http://www.hanshin-exp.co.jp/topics2/1361351355F.pdf)

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「エクスプレス予約」で「みずほ」「さくら」予約可能に

 JR東海・JR西日本が東海道・山陽新幹線で推し進めている会員制ネット予約サービス「エクスプレス予約」。しかし、この「エクスプレス予約」では、たとえ博多までの(山陽新幹線内で完結する)利用であっても、九州新幹線に直通する「みずほ」「さくら」に乗ることはできません。

 「みずほ」「さくら」は人気が高く、8両編成で普通車指定席でも4列シートなので、16両でキャパに余裕のある「のぞみ」などに誘導したいというJR側の事情はあるのでしょう。修学旅行の話と同じです。

 しかし、2012年3月のダイヤ改正で九州新幹線直通列車が増発される見込みであり、「ひかりレールスター」も「さくら」に置き換えられることが予想されます。福山や新山口のように、すべての「のぞみ」が停まらない駅においては、「さくら」も新大阪などに行くための貴重な列車です。利用者にとっては不便な事態です。

 そこでJR東海・JR西日本は、2012年夏ごろをめどに、「みずほ」「さくら」(山陽新幹線内のみで、サービス提供区間ではない博多以遠の利用はできません)を利用できるようにする方向です。具体的な利用開始日は、決まり次第情報提供されます。

(追記)
 2012年7月21日5:30から、山陽新幹線区間において「みずほ」「さくら」「つばめ」(新下関まで乗り入れる列車の一部に「つばめ」が存在します)についてもエクスプレス予約ができるようになります(九州新幹線区間は対象外です。また、7月21日以降の列車であっても、7月20日以前に予約することはできません)。

 ただし、「みずほ」「さくら」「つばめ」については、「IC早特」などの早特商品を利用することができません。「みずほ」「さくら」「つばめ」でも「エクスプレス予約グリーンプログラム」のポイントをためることはできますが、ポイントを使って「みずほ」「さくら」「つばめ」のグリーン席を予約することはできません。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2011/11/page_1097.html、エクスプレス予約 http://expy.jp/topics/detail.php?id=112)

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大阪市営地下鉄・バス、4年以内に完全民営化か?

 11月27日の市長選で当選した橋下前大阪府知事。市長選マニフェストであった通り、大阪市営地下鉄・バスを4年以内に完全民営化する方針です。地下鉄とバスの両部門をそれぞれ別会社にし、その両者を統括する持ち株会社をつくります。持ち株会社の株式は売却され、上場します。2012年春に民営化に向けた専門家チーム(鉄道関係者、公認会計士、経営コンサルタントらで構成)を発足させ、市交通局の局長には、民間から鉄道関係者の起用を検討しています。

 地下鉄は一般的に市交通局などの公共セクターが運営することが多く、民間でやっているのは旧営団地下鉄の東京メトロぐらい。しかも、東京メトロは国と東京都が株式を所有していて、完全民営化には程遠い存在です。大阪市で完全民営化が実現すれば、一気に前を進むことになります。橋下新市長は、大阪市営地下鉄・バスを民営化することにより、私鉄との相互乗り入れを増やし(ただし、地下鉄は堺筋線を除いて第三軌条なので、新たに路線を建設しない限りは相互直通できません)、運賃を値下げするとしています。確かに大阪市営地下鉄は、大阪市民以外の人も多数利用します。市民だけのものではありません。そういう人たちにとっては、中心部を全く通らない今里筋線は意味がありません。それよりも、御堂筋線などの中心部の路線の強化や、運賃の値下げのほうがありがたい話でしょう。

 大阪市営地下鉄・バス完全民営化の難点は、バスの収益の悪さ。地下鉄は最大2933億円なった累積赤字を昨年度解消しました。今年度も150億円以上の黒字を確保する見込みです。これに対してバスは昨年度(2010年度)の赤字が15億円。28年連続の赤字です。

 橋下新市長も、いくらバスが赤字だからと言って単純に廃止するわけではなく、住民生活において必要だと判断した場合には公費を投入して存続させます。とは言っても、「赤バス」のようにどうにもならない路線は廃止されるでしょうね。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111129k0000e040076000c.html)

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