北海道新幹線全線開業は25年後、2030年代後半?
先日の記事の続報です。
新規着工が予定されている、北海道新幹線新函館-札幌間、北陸新幹線金沢-敦賀間、長崎新幹線諫早-長崎間の総事業費は2.75兆円と試算されています。整備新幹線の着工のとき、いつも問題になる財源ですが、それはJRが国に支払う年間426億円の新幹線施設利用料(貸付料)で賄います。現在着工中の区間の建設が完了する2018年度からは、公共事業費と自治体の負担金(現在のペースで行けば、合計1000億円強)も使えます。その時までに開業する北陸新幹線長野-金沢間の貸付料なども使えます。ただし、北海道新幹線新青森-新函館間については、JR東日本の「根元受益」がないと、ほとんど貸付料は生まれません。北海道新幹線が開業すると利益が生まれるのはJR北海道ではなくて、(東京-新青森間を走る)JR東日本です。JR東日本の「根元受益」を盛岡-新青森間の貸付料に反映させるかたちなどで徴収する必要があるでしょう。
とは言っても現状で確保できる財源は貸付料と公共事業費、自治体の負担金で年間1500億円ほど。しかも、2017年度までは400億円あまりしか使えません。単純な割り算をすれば明確ですが、今までみたいに10年では完成させることができません。完成までの時間がかなりかかるのです。北陸新幹線、長崎新幹線は15年程度、北海道新幹線に至っては25年程度なのです。かなり気の遠くなるような話です。JR東日本の「根元受益」を適切に貸付料に反映させるとともに、公共事業費などの増額をして、早期に完成させるべきでしょう。まだ北陸新幹線については肝心の大阪にはつながっていませんし、長崎新幹線も新鳥栖-武雄温泉間が空白のままですから。
もっとも、整備新幹線着工への条件がすべてクリアさせたわけではありません。北海道新幹線沿線のうち、並行在来線の分離について余市町の反発が強いのです。函館市についても地元経済界は並行在来線分離に応じておらず、火種はくすぶっています。ここが解決しない限り、北海道新幹線の延長はできず、北海道は両市町に対して説得をしている状況です。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E2E1E2E2948DE2E1E3E0E0E2E3E39C9C97E2E2E2、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2011120202000169.html、asahi.com http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001112050015)
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Comments
>JR東日本の「根元受益」を適切に貸付料に反映させるとともに、公共事業費などの増額をして、早期に完成させるべきでしょう。
北海道(新函館-札幌間)は、そんなに急ぐ必要性はないでしょう。理由は、
・そもそも、1千キロを超える距離は、航空機に対抗するのは困難。東名阪3大都市圏から利用が見込める北陸、大阪からは利用範囲にある長崎に比べ、札幌は350キロ運転でも、東京から4時間近くかかる。260キロ運転では、全く競争力はない。
・沿線人口・需要の少なさ
長崎本線は、肥前山口までは1時間に3本の特急が走るし、北陸線も、名古屋・大阪行きを合わせれば1時間2-3本走るが、函館-札幌間では1時間1本程度だ。
札幌は2百万都市だが、それ以外に沿線には目立った都市もない。函館にしても、新幹線駅は市街地から20キロ近くも離れた場所になる。本当は新青森-新函館も急ぐ必要はないはずだ。
北海道などより急ぐべきは、リニアの早期の新大阪延長だ。これができなければ、北陸の全線開業もできないし、伊丹空港の廃港問題にも繋がるからだ。
Posted by: かにうさぎ | 2011.12.10 10:13 AM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 北海道(新函館-札幌間)は、
北海道新幹線はライバルの航空機のパイが大きいので、大宮-札幌間や東京-小樽間といった需要をすくうだけでもいいでしょう。首都圏-北海道間の需要全体から比べれば小さいですが。
ただ、最高速度260キロは遅すぎますね。
もっとも、ほかの新幹線も不十分です。大阪までできない北陸新幹線、新鳥栖-武雄温泉間が抜けている長崎新幹線、決してほめられたものではありません。全線着工が望まれます。
* リニアの早期の新大阪延長だ。
無利子貸し付けなどの方法で、名古屋でいったん区切らずに、新大阪まで一気に開業させたほうが望ましいです。
Posted by: たべちゃん | 2011.12.12 05:21 AM
北陸新幹線の敦賀延長、福井にとっても金沢にとっても、メリットはないなあ…。
新幹線は初電が遅く終電が早いから、大阪に最先着になる列車は今のサンダーバード並みで今のきたぐにはもちろん始発のしらさぎにすら及ばないと思う。最終は今のサンダーバードより少し遅くなるかもしれないけど、最終のしらさぎ乗継なら新大阪に22時過ぎでも帰れるけど、新幹線ができるとこの時間からでは帰れないしょうね。
Posted by: うえしょう | 2011.12.25 03:21 PM
次に、延伸区間のもっとも恩恵を受けそうな福井について。
福井から東京に行く場合、北陸新幹線がなかったとしても問題はないと思う。
リニア開業の2027年には、名古屋まで今のしらさぎ・新幹線ルートとしても、東京都まで米原・名古屋乗換で2時間30分。
一方の北陸新幹線は、最速で2時間40分で標準は3時間という感じ。
最速になるのはわずか2年間なんですよね。
もっとも北陸新幹線は「東京駅に直結」「乗換えがない」というメリットはありますが。
金沢-大阪が同時開業しないような北陸新幹線を延ばし方をするなら、その予算を北海道・九州新幹線に回して先に開業させてあげてほしいです。
Posted by: うえしょう | 2011.12.25 03:23 PM
うえしょうさん、こんばんは。
* 新幹線は初電が遅く終電が
新幹線の運行時間は限られているので、どうしても制約が出てきますね。ただ、今の「サンダーバード」よりゆっくりと出ることが出来て早く着き、遅くまでいることが出来て早く家に帰ることが出来るでしょう。
Posted by: たべちゃん | 2011.12.26 07:44 PM
うえしょうさん、こんばんは。
* 福井から東京に行く場合、
確かにリニアのほうが速いかもしれませんが、(1)名古屋・米原・敦賀と3回の乗換えがいる (2)想定される運賃が北陸経由のほうが明らかに安い(スピードの短縮度合いに見合わない) (3)北陸新幹線を運営するJR東日本・JR西日本は利用客を増やそうと割引切符などで宣伝するのに対して、東京-新大阪間の輸送に懸命なJR東海は福井への集客に熱心にならないと考えられる(福井への客は北陸新幹線を使ってもらえばよいと考えている) ことから、よほどの急ぎでない限り北陸新幹線のほうが優勢でしょう。以前にもコメントで書いた話( https://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2008/12/post-73b7.html )ですが。
* 金沢-大阪が同時開業しないような
そもそも金沢新幹線も敦賀新幹線も中途半端です。金沢開業を取りやめに出来るならそれに越したことはないのですが、北陸線を傷つけた以上、一刻も早く大阪までの全線開業をすべきでしょう。それができなければ、長野止まりで一向に構いません。
Posted by: たべちゃん | 2011.12.26 08:08 PM
> 新幹線の運行時間は限られているので
そうなんですよねえ。日本より港発の海外の高速鉄道は、意外と運行時間は長めだったりしますね。地震の多さや安全基準などで一概に比較ができない部分はあるとはいえ日本も、前後1時間程度拡大するなど再考の余地があるのではないかと思います。
とはいえ、本数が多く急ピッチで作った上に老朽化している東海道新幹線や、騒音問題が心配される東北・上越新幹線の首都圏は現行のままで仕方のないところでしょうけど。
Posted by: うえしょう | 2011.12.26 11:24 PM
うえしょうさん、こんばんは。
* そうなんですよねえ。日本より
それができれば話は楽かもしれないですが、難しいでしょうね。
Posted by: たべちゃん | 2011.12.27 07:07 PM