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大阪府、大阪市、「うめきた」にリニア駅を誘致

 大阪駅の北側には貨物駅があります。この貨物駅を移転させ、跡地を再開発します。

 この再開発地域、かつては「梅田北ヤード」と言われていましたが、「うめきた」という名前になっているようです。大阪駅に隣接したまとまった土地であるため、貴重な土地です。この「うめきた」には貨物線(東海道支線)が通っていますがそれが2019年度末に地下化され、駅ができる予定です。その地下駅には、「はるか」や「くろしお」が通り、おおさか東線が乗り入れてくるほか、大物のなにわ筋線の話もあるようです。地下鉄四つ橋線西梅田と阪急十三を結ぶ路線の計画もあります。地下鉄と私鉄の相互乗り入れは大阪維新の会のマニフェストにもある話です。

 しかし、それを上回る大物が出てきました。大阪府、大阪市が主導して、「うめきた」にリニア新幹線の新駅を誘致しようとしているのです。大阪駅のすぐ隣が、リニアのターミナルという便利な状態になるのです。

 もっとも、この大阪府、大阪市の構想の実現は難しいでしょう。まず、リニアを運営するJR東海は、大阪側のターミナルを新大阪にする方針です。東海道新幹線、山陽新幹線と接続する新大阪です。駅を変更する(あるいは追加する)には、JR東海の了承を得ないといけません。リニア新幹線はJR東海が自前でつくるものですから。

 また、大阪府、大阪市の考えでは、「うめきた」にできるリニア駅の周辺は緑地化します。緑地化する地域は、大阪府、大阪市が土地を購入し、公園にします。これは関西経済同友会も2010年に「都市のブランド力強化」の面から緑化を提言しているものですが、これはこれでややこしい問題になります。緑地化することで、大阪府、大阪市の負担が増えるのです。

 なぜ緑地化することで大阪府、大阪市の負担が増えるのでしょうか? 貨物駅の移転施設整備費は870億円。これまでは土地の売却で賄う方針でした。大阪府、大阪市が公園化のために土地を購入するれば、当然ながらその分、大阪府、大阪市の負担が増えることになります。公園にするなら、原則1/3の国庫負担があり、大阪府、大阪市の負担は580億円になります。

 先ほど述べた貨物線の地下化も、緑地化によって大阪府、大阪市の負担が増えます。駅設置を除く事業費は540億円(以前のより費用は増えているようですが)ですが、このうち148億円(大阪市の負担と同額)は地権者である鉄道建設・運輸施設整備支援機構などが負担する計画でした。「うめきた」の利便性が高まるためです。しかしこれも緑地化によって、地権者の負担はなくなります。国の支出額は増えますが、大阪市の負担も218億円程度に増えます。貨物駅の移転施設整備費と合わせると、大阪府、大阪市で約800億円の負担となります。

 土地が確実に民間に売却できるかはともかくとして、緑地化にそれだけの価値があるかは、十分に検討しないといけないでしょう。

(追記)
 4月20日、関西経済3団体と松井大阪府知事、橋下大阪市長との会談が大阪市役所で行われました。その会談で、リニアの大阪のターミナルを新大阪にすることで合意しました。今後については、名古屋以西についても東京-名古屋間と同時に着工することをJR東海に働きかける方針です。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/travel/news/OSK201201100199.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819890E2E4E2E0828DE2E4E2E3E0E2E3E09E9693E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5、毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20120421k0000m040096000c.html)

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