リニア新幹線、経済効果は京都駅経由のほうが上、との京都府等提言
京都府や京都市は、奈良市付近を通ることになっているリニア新幹線(2045年全線開業予定)を何とかして京都に持ってこようとしています。
ただ、JR東海はリニア新幹線を京都経由にすることに否定的な考えを示しており(ただし、京都府南部の可能性は若干ながらもあり)、先日JR東海が全額負担するとした中間駅でも「奈良県」となっています。リニア新幹線を協議する、国交省の中央新幹線小委員会にも京都府は呼ばれていません。このままでは奈良経由が既成事実となります。
巻き返しを図りたい京都。そこで、京都府や京都市などは「明日の京都の高速鉄道検討委員会」を設置しました。京都の高速鉄道網のありかたを議論するものです。2011年12月21日に第7回会合が開かれ、国やJR東海が進めるリニア新幹線について、経済効果の観点からJR京都駅を経由するルートが最適だとする最終提言案をまとめました。
この検討委員会で、比較の対象となったのは、京都駅を通る北ルート、奈良駅付近を通る南ルート(現在最有力とされています)、(定規でまっすぐ線を引いたような)直線ルート。このうち、北ルートについては名古屋-新大阪間の所要時間が25分と一番かかり、線路と駅の建設費も3.45兆円と一番かかる、不利な点があります。しかし、利用が見込まれる人口が222万人と最も多く、経済効果も年間約690億円と最多です。観光地の京都を通るメリットもあります。そこで、北ルートが最適だと結論付けたのです。
京都府などはこの提言を踏まえ、現在有力とされる南ルートの再考を国に促す方針です。しかし、北ルートにすると現在の東海道新幹線と重なってしまいます。災害のときのリスク分散機能が果たせません。一時的にはリニアと新幹線の乗換駅となる名古屋を除いて(リニアを東京から大阪まで一気に開通させない以上、名古屋駅に寄らざるを得ないです)、ほかの中間駅は東海道新幹線と離しておきたいところです。(品川や新大阪の隣である)橋本や奈良はその条件を満たしています。また、北ルートに変えてしまうと、ほかの県にも影響を与えてしまいます。三重県は北のほうをかすめるだけで、滋賀県を通ってしまいます。京都府・奈良県だけの問題ではないのです。
せいぜい、できたとしてもリニアの奈良駅を北に少しずらし、けいはんなに持ってくることぐらいでしょう。リニア新幹線が開業しても東海道新幹線は残り続けますし、大きく利便性が低下するということはありません。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111222-00000031-san-l26)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 交通系ICカードを導入するだけで売上増(2025.01.22)
「整備新幹線」カテゴリの記事
- 北陸新幹線、小浜まで暫定開業?(2025.01.10)
- 北海道新幹線全線開業は2038年度か?(2024.12.28)
- 北陸新幹線、京都市内のルート決まらないため着工できず(2024.12.24)
- 対面接続の場合の敦賀の駅構造(2024.12.25)
- 北陸新幹線新大阪乗り入れの必要はあるが、新宿乗り入れの必要はない(2024.12.08)
Comments
現京都駅乗入れの問題点は
、
・線形上、大阪寄りに急カーブができてしまう
・京都駅には、恐らく、全列車が停車することで、 所要時間が10分以上延びる
・京都駅利用者までリニアにシフトすれば、輸送力 が新幹線の3分の2程度しかないリニアでは、た ちまちパンクしてしまう
結局、リニアができても、現新幹線と併用しなければ、東海道の需要には対処できないでしょう。
>リニア新幹線が開業しても東海道新幹線は残り続けますし、大きく利便性が低下するということはありません。
京都の経済界にとって、これで片づけるわけにはいかないでしょう。
リニアで1時間で行ける大阪と、現新幹線で2時間以上かかる京都では、利便性に大きく差が出てしまう。
大阪への一極集中が進み、京都の衰退に繋がる懸念があるからです。
Posted by: かにうさぎ | 2012.01.03 07:05 PM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 現京都駅乗入れの問題点は
結構、問題点だらけですね。
* 京都の経済界にとって、
京都にとってはともかく、全体的に見ればリニアの京都経由は得策ではないのでしょう。
Posted by: たべちゃん | 2012.01.04 04:51 AM