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函館線長万部-小樽間は貨物迂回ルートとして新幹線開業後も残すべきか?

 北海道新幹線が札幌まで全線開業すると、首都圏(山梨を加えた1都7県)と道央との間の利用者数が、新函館開業時の1日1300人から5500人と4.2倍に増えます。

 しかし、新幹線が開業すると並行在来線はJRから分離されることになってしまいます。特急がなくなっても貨物が残る函館-長万部間はともかく、函館線長万部-小樽間はそれがないので厳しい状況です(2010年度の実績で、北海道と本州を走る貨物列車は1日51本。輸送量は約450万トンです)。現状、「北斗」などの特急がたくさん走る長万部以南とは違い、長万部-小樽間は今でもローカル線。このローカル線を貨物迂回ルートとして残すべきかが議論になるようです。

 長万部-小樽間が貨物迂回ルートのひとつとして脚光を浴びた時期がありました。2000年3月の有珠山噴火のとき、通常貨物が走る室蘭線長万部-東室蘭間が約1か月不通となり全面復旧まで2か月以上かかりました。その間、JR貨物はトラック輸送と苫小牧港からの船舶輸送を中心に対応しましたが、長万部-小樽間も1日約250個のコンテナを輸送しました。単線で勾配がきついため、本来なら20両編成のコンテナ列車が10両になりましたが、それでも臨時に確保した輸送量の2割を担ったのです。長万部-小樽間が名前だけは「函館線」という幹線なので、このような代行輸送をすることになったのかもしれませんが、この実績をどう評価するかが議論になるともいわれています。北海道の立場としては並行在来線問題は地域住民の移動手段をどう確保するかが最重要課題であり、貨物については国の方針とも絡んで北海道単独では決められないようですが、貨物のために存続するとなればある程度のお金はとれるでしょう。

 さて、北海道新幹線の並行在来線つながりで書きますが、2015年度に北海道新幹線が新函館まで伸びるとき、江差線五稜郭-木古内間がJRから分離されます。この五稜郭-木古内間について北海道はバス転換を提案しましたが、沿線自治体の反発が強く、1月19日に行われた協議会でバス転換案を事実上撤回しました。貨物が依然として走り続けることを考えると、バス転換は行きすぎだったでしょう。

 北海道が江差線五稜郭-木古内間のバス転換を提案したのは、試算で自治体の負担額が最も少なくなったためでした。しかし、鉄道として残すことになったため、JRとの協議を経て、新たな試算を出しました。中古車両の購入やJRによる出向者の人件費の一部負担を行い、開業後30年間の負担額は従来の約69億円から約51.6億円になるとしました。単年度の平均は約1.3億円から約1億円に減り、JRからの人件費支援が見込める開業10年間は8000万円になるようです。

 また北海道は、問題となっていた北海道と地元市町とで半々となっていた運営費の負担割合案も見直す方針を示しました(後に、北海道が8割、地元市町が2割になりました)。この負担割合については、2月の協議会までに新たに示します。この負担割合が、函館-小樽間が経営分離され、第3セクター化されるときの前例になるとも考えられます。

(追記1)
 北海道新幹線全線開業によりJRから分離される函館-小樽間のありかたを考える、「北海道新幹線並行在来線対策協議会」の初会合が北海道庁で9月7日にありました。この会合では、北海道や沿線15市町の首長らが、開業5年前の2030年度をめどに鉄路を維持するかバス転換するかを決めることにしました。

 (小樽に近く、それなりの利用者がいる)余市町のようにはっきりと鉄道の存続を求めるところもありますが、札幌延伸時の人口や経済の予測がないことから判断ができないところが多いようです。なにしろ、新幹線開業と並行在来線分離は20年以上先のことですから。

(追記2)
 北海道は、北海道新幹線が開業する2035年には、並行在来線の函館-小樽間の利用者が今より4割減ると推測しています。現在の輸送密度は395人(2011年、当然ながら特急の利用者は除外されていると考えられます)ですが、2035年には263人になるとみられています。8000人が採算ラインと言われているので、5%にも満たない数字です。

 区間ごとの推計を見ないと正確なことは言えませんが、バス転換でないと厳しいところもあるのでしょう。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001201160017、http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001201200004、国交省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000189665.pdf、http://www.mlit.go.jp/common/000190085.pdf、函館新聞社ホームページ http://www.hakodateshinbun.co.jp/topics/topic_2012_2_15.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20120907hog00m010001000c.html、http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20121102ddlk01020236000c.html)

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Comments

長万部-小樽間の問題は、本来、新幹線の平行在来線問題とするべきではなく、単にローカル線問題とするべき話です。
この区間は、函館本線に含まれるものの、実態的には普通列車が走るだけのローカル線だからです。

むしろ、新幹線の影響を受けるのは、長万部-東室蘭間でしょう。
一応、長万部で室蘭本線からの列車と接続することになっているが、「スーパー北斗」等の利用者は、苫小牧から函館といった区間利用者より、札幌から函館まで通して乗車する人が圧倒的に多い。

加えて、東室蘭までが電化区間ということもある。「スーパー北斗」等が、札幌-長万部間の区間運転に短縮されて現状維持ということは考えにくいと思います。

札幌-東室蘭は幹線として残るが、東室蘭-長万部はローカル線に転落するでしょう。


Posted by: かにうさぎ | 2012.01.31 11:47 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 長万部-小樽間の問題は、本来、新幹線の平行在来線問題

 本来は単なるローカル線問題なのですが、こういう機会でもない限り、議論ができないのでしょう。

* むしろ、新幹線の影響を受けるのは、

 「北斗」系統はかなりの影響を受けるでしょう。東室蘭までは「すずらん」で代替されるかもしれませんが、それ以西は数がかなり減るでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2012.02.01 05:04 AM

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