蓄電池駆動電車、烏山線で最終試験へ
JR東日本は、非電化区間での環境負荷の軽減を図るため、いろいろな開発を行ってきました。2007年にはハイブリッド車両(キハE200系)を誕生させ(乗車記はこちら)、のちには観光列車バージョンもできました。長野や青森でリゾート列車として使われている、HB-E300系です。
そしてJR東日本は「蓄電池駆動電車システム」の開発を進めています。「蓄電池駆動電車システム」とは、車両に大容量の蓄電池を搭載して、電化区間では通常の電車と同じように架線からの電力によって走り(この間に蓄電池に充電します)、非電化区間では蓄電池の電力で走行するとともに、一部の駅に充電設備を設けます。駅での充電は、パンタグラフから行います。ただし、充電設備における架線は通常のものとは違い、トンネルなどで用いられている剛体架線です。大電流を流すことによる、接触点の温度上昇を抑えるためです。以前に紹介した、架線レス路面電車と同じような仕組みでしょうか?
JR東日本は2008年度から「スマート電池くん」(クモヤE995系、ハイブリッド気動車用試験車の改造)の開発に着手し、車両センター構内や電化区間で走行試験を行ってきました。2011年度は試作した充電設備による急速充放電試験や、蓄電池を座席下に収納した状態での走行試験を行っています。そしてこの2月と3月に、試験の最終段階として、烏山線(非電化)と東北線(小金井-宝積寺間)において、充放電試験、走行試験を行い、システムとしての実用性を確認します。試験は烏山線の営業時間外に行い、終点の烏山駅には充電設備を仮設します。
このシステムが実用化すれば、ディーゼルカーから発生する排気ガスの解消や、二酸化炭素や騒音の低減を図ることができます。電化区間から枝分かれする、比較的短い非電化区間のあり方にも影響を与えそうです。
(参考:JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/press/2011/20120204.pdf)
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Comments
>このシステムが実用化すれば、ディーゼルカーから発生する排気ガスの解消や、二酸化炭素や騒音の低減を図ることができます
問題点は、充電に要する時間が長ければ、それだけ車両の運用効率が悪くなること。
また、原発が停止しているため、電力をどこから調達するのかも課題です。
自然エネルギーは色々問題があるし、火力で代替するなら、発電所増設も必要でしょう。
Posted by: かにうさぎ | 2012.02.15 10:18 PM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 問題点は、充電に要する時間が長ければ、
技術的には問題なくても、経済的な面や環境的な面で実用化できないというケースはあります。
試験の結果を踏まえて考えればよいでしょう。
Posted by: たべちゃん | 2012.02.16 05:04 AM
こんばんは。烏山線で実験をするのですね。走っているところを是非見てみたいものです。
地域の交通網が自家用車メインになって以来、公共交通網は既に事業が成り立たない程の状態になっています。
これを地域の力(税金)で賄うだけではなく、技術革新によってもカバーできれば、それは素敵なことですね。
環境への対策としてだけではなく、コスト目んでもメリットが出ることを期待したいものです。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc
Posted by: 風旅記 | 2012.02.20 11:32 PM
風旅記さん、おはようございます。
* こんばんは。烏山線で実験をするのですね。走っているところを是非見てみたいものです。
確かに、実際に走っている姿を見たいものですね。
* 環境への対策としてだけではなく、コスト目んでも
いろいろな面がクリアされ、実用化されるのを期待したいところです。
Posted by: たべちゃん | 2012.02.21 04:54 AM