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新名神、凍結区間解除して全線着工へ

 名古屋と神戸とを結ぶ新名神高速道路。名神高速道路とほぼ並行し、渋滞緩和や災害時の物流網確保を狙います。一部区間(亀山ジャンクション-草津ジャンクション間)はすでに開通しています。

 しかし、大津ジャンクション-城陽ジャンクション・インターチェンジ間、八幡ジャンクション・インターチェンジ-高槻第一ジャンクション間(計35キロ)は着工されていません。小泉政権時代に進めた道路公団民営化で採算が取れない可能性があるとして、2003年に建設が凍結されたからです。枝線のローカル高速道路なら、採算が取れないなら建設されないのは当然のことです。しかし、ここは名神のバイパスとなる新名神の一部です。道路は全体が完成することによって当初の狙い通りの効果が得られるのに、新名神を京滋バイパスあたりに接続させるような配慮もなく、不自然な状態となっていました。

 この不自然な状態が解消される見込みになりました。前田国交相が1日、建設凍結されていた2区間の着工を認める方針を示したからです。地震に備え、物流に必要な道路の整備を進める方針になったからです。事業費は約6800億円の見通しです。

 そもそも、凍結された2区間は通行料収入で事業費を返済していく区間です。税金を投入する新直轄方式ではありません(新直轄方式なら無料となり、事業費は返済されません)。赤字でNEXCO西日本が建設したくないならともかく、むしろNEXCO西日本はこの凍結された2区間も建設する気がありました。それなのに、なぜ凍結になったのか自体が不思議なところです。民間が「できる」という以上、国が邪魔をする資格はなかったのです。

 並行する鉄道が廃線になったり、廃線になっても文句が言えないようなところに高速道路をつくるケースもあります。今までのような有料の高速だと採算が取れないので、新直轄方式となっています。こちらのほうがはるかに無駄です。国はそういうところにメスを入れ、社会的価値が証明できないところでは建設を止め、縮小(建設区間を山岳区間のトンネルや市街地のバイパス程度に限るなどの方法もあります)を図るべきではなかったのでしょうか? 新名神を凍結したのは単なるパフォーマンスで、解除したのは当然の帰結ともいえます。

(追記)
 阪和道や長崎道についても、一部区間の4車線化が行われることになりました。阪和道(湯浅御坊道路)は有田-御坊間、長崎道は長崎芒塚<ながさきすすきづか>-長崎多良見間です。高速道路の4車線化は一時凍結されていましたが、上信越道信濃町-上越間、館山道木更津南-富津竹岡間、東海北陸道白鳥-飛騨清見間、高松道鳴門-高松市境間と合わせて、2012年4月にも事業を着手する予定です。

 紀伊半島を1周する道路など、新たなローカル高速道路をつくる計画はともかく(欲しければ、地元がつくればよい)、4車線化工事はある程度需要のあることの証明できた道路が対象になりますから、着工は理解できます。
(参考:朝日新聞4月2日朝刊 中部14版、NEXCO西日本ホームページ http://corp.w-nexco.co.jp/activity/branch/kansai/shinmeishin/activity/、時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012040600418、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/wakayama/news/20120406-OYT8T01255.htm)

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Comments

確かに、新名神が全通すれば、時間短縮などそれなりの効果はあるでしょう。

>そもそも、凍結された2区間は通行料収入で事業費を返済していく区間です。

予想される交通量は、当初見込みより下方修正されています。従って、予定通りの償還ができなければ、税金投入という結末もありえます。

>地震に備え、物流に必要な道路の整備を進める方針になったからです。

防災を言えば何でも認められるような風潮が見受けられます。北海道新幹線は、有珠山噴火や太平洋側の津波を避けるためとか、北陸新幹線は東海地震時の迂回ルートとか、南海地震に備え、陸上空港である伊丹は残すべきとか。

今回の解除区間は、現名神とそれほど離れているわけでもなく、迂回ルートとしても余り有効とは思えない。

Posted by: かにうさぎ | 2012.04.14 07:40 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 予想される交通量は、当初見込みより

 それでも、事業主体のNEXCO西日本が建設の意思を見せていたということは、それなりの計算があるのでしょう。

 そもそも、新名神は名神のバイパスなので、(どこかの地方の高速道路とは違って)名神の利益でつくることが許されているとも言えます。名神の改良の一環です。

* 防災を言えば何でも認められるような

 程度の問題でしょう。重要なものなら代替の交通機関は要りますが、そうでなければ代替のものは用意されないだけです。

Posted by: たべちゃん | 2012.04.15 06:03 AM

>それでも、事業主体のNEXCO西日本が建設の意思を見せていたということは、それなりの計算があるのでしょう。

純粋な民間経営者としての判断なら問題ないのですが、経営者としての資質に問題がありそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120427-00000018-fsi-bus_all

Posted by: かにうさぎ | 2012.04.28 10:33 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 純粋な民間経営者としての判断なら

 もし失敗したら、そのあたりも含めて責任を取ればいいだけの話でしょう。経営者も株主も金融機関も。

Posted by: たべちゃん | 2012.04.29 05:25 AM

>経営者も株主も金融機関も。

その株主というのは、現在のところ、国ですから、道路会社の失敗のツケは、結局、国民負担になるということです。

Posted by: かにうさぎ | 2012.04.29 06:16 PM

 かにうさぎ さん、おはようございます。

* その株主というのは、現在のところ、国ですから、

 結局はその通りです。

 ただ、高速道路会社には経営の自由がありません。ローカル高速道路の経営を拒否することもできません。本来の株式会社ではないでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2012.04.30 05:55 AM

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