関空アクセスの話、リムジンバス無料から梅田-関空間34分まで
関西には伊丹、関空、神戸の3空港があります。もともとは伊丹だけがあったのですが、騒音公害が社会問題となり、それを解決する目的で関空ができました。しかし、伊丹にも国内線が残り、不便な状態が続いています。国内線も関空に全面移転するのが唯一と言ってもいい解決の道ですが、抵抗勢力がありなかなか話は進みません。おまけに、神戸にローカル空港をつくってしまいました。ますます複雑になります。ようやくローカル空港の神戸はともかく、伊丹と関空の経営統合は進みつつありますが、すぐに解決することはないでしょう。なお、安藤新関西国際空港会社社長の話によれば、高収益を見込める路線に限り関空着陸料などを引き下げ(年内に行うようです)、運営権売却(2014年度末には運営権を売却したいようです)の交渉などを手掛ける社長直轄の「コンセッション推進部」を7月に発足させるようです。
現状では、国内線空港の伊丹から国際線中心空港の関空に乗り換えるためには、リムジンバスで移動するなどの方法があります(そこまでするぐらいなら同一空港に国内線と国際線がある、中部あたりを選ぶでしょうが。羽田の国際線、成田の国内線に合わせる手もあります)。伊丹と関空、両空港を結ぶリムジンバスの所要時間は約70分で、片道1900円かかります。ところが、伊丹と関空を経営統合して発足した、新関西国際空港会社は7月から、両空港で航空便を利用する客に限り、バス代を負担すると発表しました。つまり、伊丹と関空の乗り継ぎ客は実質的にリムジンバスの運賃が無料になるわけです。国内線も関空に移転し、同一空港で乗り継ぎができる(当然ながらリムジンバスがいらない)、本来の姿からは遠いですが、暫定的な施策としては評価できるでしょう。
鉄道で関空まで行く場合でも安い切符があります。南海、大阪市交通局、阪急は関空と京都市中心部(河原町など、天神橋筋六丁目から390円以内の区間)を天下茶屋・天神橋筋六丁目経由で結ぶ「京都アクセスきっぷ」(関空→京都)「関空アクセスきっぷ」(京都→関空)を2011年5月14日から発売していますが、このたび2012年4月1日~2013年3月31日の間の通年で発売することになりました。切符はいずれも1200円(通常運賃で関西空港-河原町間は1550円)で、「ラピート」を通常500円のところ、300円で乗ることができるという特典もついています。
そして、同じく4月1日からは、南海と大阪市交通局が「関空ちかトクきっぷ」を売り出します。関西空港駅と大阪市営地下鉄・ニュートラム各駅相互間を1枚の切符で行くことができます(南海と地下鉄の乗り換えは難波に限ります)。値段は一律980円。通常運賃なら関西空港-梅田間が1120円なので、140円お得ということになります。また、この割引切符は通年発売で、券売機で簡単に買うことができます。この点も従来の割引切符と異なるところです。
最後になにわ筋線。これまでなにわ筋線経由では、梅田-関空間は最速41分とされていました。しかし、国交省近畿運輸局は最速34分で結ぶことができるという調査結果を公表しました。
それでは、どうやって34分で結ぶことができるのでしょうか? 南海では、スムーズにカーブを曲がる高性能車両の導入、線路や信号の改良が必要とされています(以前に書いた、南海高速化の話はこちら)。これで34分で梅田-関空間を結ぶのです。JRの場合は最速37分となりますが、これには天王寺-鳳間の複々線化などが必要となります。かなりお金のかかるメニューです。また、トンネルの深さを浅くしたり、駅の規模を需要予測に見合ったレベルに縮小したりすることで、工事費用が従来の試算より約700億円削減できるとしています。採算面では、南海難波を経由するルートを採った場合、最短20年で黒字化します。
(追記)
伊丹と関空のリムジンバス乗継無料サービスは、2012年7月20日から2013年3月31日の間にリムジンバスに乗車する場合に適用されます。伊丹発着の国内線と関空発着の路線(国内線でも可)の両方を2日間以内に利用する場合に適用されます。両空港発着便の搭乗券などを伊丹、関空のリムジンバスチケットカウンターに提示することにより、「大阪空港・関西空港線 無料乗継 乗車券」がもらえます。
(参考:神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/knews/0004991870.shtml、南海ホームページ http://www.nankai.co.jp/company/news/pdf/120321_4.pdf、http://www.nankai.co.jp/company/news/pdf/120321_2.pdf、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120322/wec12032208400002-n1.htm、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/travel/news/OSK201204270199.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819A96E0E5E2E1858DE0E5E2E6E0E2E3E09E9693E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5、新関西国際空港株式会社ホームページ http://www.nkiac.co.jp/news/2012/1562/norigtugibus.pdf)
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Comments
>本来の姿からは遠いですが、暫定的な施策としては評価できるでしょう。
それで関空の利用者が増えて増収になるのならともかく、現在、伊丹-関空間を移動している人のバス代を免除するだけなら、負担増になる話です。
伊丹を関空会社に統合したうえに、補給金は従来通り継続などというゴリ押しをして、金が入ったから気前よくバラ撒くという程度の話にしか思えません。
Posted by: かにうさぎ | 2012.05.03 11:22 AM
かにうさぎさん、おはようございます。
* それで関空の利用者が増えて増収になるのならともかく、
リムジンバスで1時間以上もゆられて関空に行くわけですから、そう多くは期待できないでしょう。あくまでも関空一本化へのステップです。空港が関空だけになれば、空港間連絡のリムジンバスはいらないのですから(当然無料)。
* 伊丹を関空会社に統合したうえに、補給金は
伊丹の存続意義は、(儲かっている空港と思われているがゆえに)資金を吐き出すことだけでしょう。それができなければ、(利便性を大義名分にした)空港使用料の設定か、廃港にするだけです。伊丹をつぶせば、ややこしい問題は解決します。
Posted by: たべちゃん | 2012.05.04 06:38 AM