整備新幹線新規着工区間、工期短縮か?
北陸新幹線金沢-敦賀間などの着工認可への手続きが進んでいますが(早くても5月後半のようです)、着工しても完成までは時間がかかります。北陸新幹線の場合、開業予定は2025年度末。気の遠くなるような話です。
福井県の経済界などは2018年に行われる福井国体に合わせて金沢-福井間を部分開業させることを求めています。これについては九頭竜川を越える新九頭竜橋の工事が非常に難しく、技術的な面から難しいようです。以前の話と違う面から否定的です。しかし、敦賀までの開業時期については、工期を短縮して早く開通させる可能性もあるようです。確かに金沢までの新幹線は東京へ行くことだけが便利になり、それ以外は関西や名古屋への都市間需要でさえ不便になるという、デメリットの大きい新幹線なので、早期開業は望まれるところです。
さて、北陸新幹線が敦賀まで伸びたとしても、関西や名古屋に行くには乗り換えが要ります。金沢のような面倒な乗り換えはないでしょうが(新八代のような対面乗り換えになるようです)、乗り換えは手間がかかります。フリーゲージトレインができればいいですが、(改良が進んでいるとはいえ)技術的に確実にできる保証はありません。しかし、フリーゲージトレインがなければどうにもならないような長崎新幹線はともかく(もし技術的に成り立たなければ狭軌でつくるのでしょうか?)、北陸新幹線についていえば、フリーゲージトレインが必須条件ではないようです。もし北陸新幹線にフリーゲージトレインを導入した場合、金沢-敦賀間の建設費は国交省が昨年末に示した1.13兆円からさらに300億円増え、3区間の合計で3.04兆円となります。フリーゲージトレインに関してはJR西日本(車両が重いため、線路の保守費用がかさむ)や地元自治体(敦賀以西の整備が行われない危険性がある)に慎重な意見がありますが、あくまでも大阪まで全線開業するまでのつなぎです。大阪までの延伸については、前田国交相も必要性を認識しています。大阪まで全線できてこそ価値がある要素もあるのですから。
また、フリーゲージトレインが導入されると、金沢以西にはフル規格車両がほとんど走らなくなる(フリーゲージトレインばかり)ことを危惧する声もあるようです。これに関して国交省は、敦賀にも(白山よりかは小さいですが)車両基地をつくるため、極端にフル規格新幹線が減ることはない、としています。ただ、国交省サイドも現実にそうなるかは需給動向によるとしています。つまり、需要が少なければ危惧しているとおりフル規格でありながらフル規格の車両がめったに通らない、ということもあり得るのです。
本当にそうなるのでしょうか? 少なくとも福井まではその心配はないでしょう。北陸新幹線を運営するJR東日本、JR西日本にとって、東京-福井間を北陸新幹線経由で移動してくれることはありがたい話です。自分の手取りが増えますから。そのためには、福井への直通列車を走らせないといけません。金沢止まりもあるでしょうが、ある程度の便は東京-福井間の直通になるでしょう。しかし、敦賀までは怪しいです。東京-敦賀間は北陸新幹線ができても、従来の東海道新幹線経由のほうが速いです。いくら北陸新幹線に乗ってもらえればありがたいとはいえ、わざわざ時間をかけて乗ってくれる人は少ないでしょう。そう考えると、東京からの直通は福井までで十分とも考えられます(福井駅には折り返しの設備はあるのでしょうか?)。敦賀まで直通するのは、早朝深夜のごく一部に限られるかもしれません。
それでは、フリーゲージトレインが使えず、対面乗り換えになった場合はどうでしょうか? その場合でも、東京-敦賀間の直通は少ないのかもしれません。その理由はこうです。対面乗り換えはタイトな接続が求められます。富山方面からの新幹線、大阪方面からの特急、双方が遅れずに接続させないといけません。大阪方面からの特急は電車の本数の非常に多いアーバンネットワークを通るため、ダイヤの乱れが発生する危険性があります(ある程度は余裕を取るでしょうが)。それを考えると、富山方面はできるだけダイヤ通りに走るほうがありがたいです。ところが東京から直通させると、東北・北海道新幹線のダイヤの乱れを受けるリスクがあります。大阪方面からの接続を受ける新幹線は、富山-敦賀間の短距離便のほうが望ましいです。大阪からの接続が遅れても、富山までの短距離便なら他の新幹線にあまり影響を与えずに走ることができます。東京からの新幹線は需要を考えて、福井や金沢で折り返せばいいのです。
敦賀にフル規格車両を頻繁に通すためには、大阪までの全線開業が必要なのかもしれません。
(追記)
新九頭竜橋の建設に時間がかかるのは、川の水量が増える6月中旬から10月中旬までは工事が制限されるためです。福井県の試算では、完成までに9~10年かかるとしています。なお、新九頭竜橋は長さ415メートル。線路の両脇を県道が通る構造になっているため、鉄道・運輸機構と福井県が一体的に整備を行います。
(参考:福井新聞ホームページ http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/super_expless/34047.html、http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/super_expless/33978.html、http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/politics/33994.html、http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/super_expless/36397.html、Sankei Biz http://www.sankeibiz.jp/business/news/120206/bsd1202060501000-n1.htm)
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