気仙沼線BRTはミヤコーバスに委託へ
ようやくBRTによる仮復旧に向かい出した気仙沼線。現在、柳津-気仙沼間が不通になっていますが、年内に運行を開始する予定です(すでに陸前戸倉-最知間でBRT専用道の整備工事に着手しており、9月末までに完了させる予定です)。
BRTはJR東日本の直営というかたちになり、JRサイドで70人乗り程度のBRT専用バスを用意しますが、実際に運行するのは宮城交通グループのミヤコーバスになる予定です。東北運輸局にバス事業の認可を申請後、正式に委託契約を結ぶようです。
BRTの運行事務をミヤコーバスに委託するのは、すでにミヤコーバスが柳津-気仙沼間を走る路線バスを運行しているからです(JR気仙沼線の定期券や普通回数券を持っている人は、ミヤコーバスによる振替輸送を受けることができます)。BRTが運行を始めると競合することになります。加えて、BRTの運賃はこれまでの鉄道運賃と同額になる見込みであり(柳津-気仙沼間が950円程度となるようです)、ミヤコーバスの運賃1500円と大きな差が出ます。そういうことから、ミヤコーバスに委託することになったのでしょう。また、バス事業をJR東日本本体が行っていないのも影響しています(バスは子会社のジェイアールバス東北が行っています)。
そして地元が熱望するのが、鉄道での完全復旧。しかし、第三セクターの三陸鉄道はともかく、黒字会社のJRに対しては財政支援することはできません。それなりに需要のある常磐線、仙石線、石巻線あたりはともかく、ローカル線の気仙沼線、大船渡線、山田線の鉄路での復旧が進まないのはある意味当然のことです(線路の移設がなかった八戸線は、3月17日に復旧しました)。このままでは、三陸鉄道部分が復旧し、JR部分は鉄道としては復旧されないことになってしまいます。
そこで国交省は、復興交付金などを活用して鉄道の復旧を支援する方針です。自治体が線路用地の確保や土地のかさ上げをする場合の財政支援や、駅広場の整備に関する支援などは、現行の法律の範囲でも対応できるようです。
しかしそれではJRにメリットはあまりありません。しかも、復旧したら首都圏や新幹線の黒字で将来性のないローカル線の赤字を埋めないといけません。三陸鉄道のように地元が経営の責任を持つわけではなく、「儲かっているJRが出して当たり前」という認識で終始するだけです。鉄道でないと対応できないほどの需要があるわけでもないのに(しかも、その少ない需要はさらに減少することが予想されます)、完全に甘えているのです。
そういうことを考えたら、JRに鉄路としての復旧を強く求めるのは、難しい話でしょう。
(参考:河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/20120525t15014.htm、岩手日報ホームページ http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20120515_1、JR東日本盛岡支社ホームページ http://www.jr-morioka.com/news/)
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