国会議員は私鉄やバスも乗り放題
国会議員はJR全線に乗り放題ということはよく知られていますが、私鉄やバスも乗り放題です。私鉄77社に乗ることができる「鉄道軌道乗車証」は1946年に、路線バスに乗ることができる「バス優待乗車証」は1961年に衆議院側が交付を依頼しました。それ以降、毎年衆参両議員に交付されています。紙でできたパスを見せれば無料で乗り放題です。
しかし、JRや航空会社については衆参事務局予算から支払われていますが(年間計約13億円)、私鉄やバスについては支払われていません。私鉄やバス会社が無償で乗せていることになるのです。そもそも、どれだけ使われているかもわかりません。そこで、パスの発行元の日本民営鉄道協会と日本バス協会は、負担公平の観点から利用者の理解を得にくいとして、衆参両院の事務局に廃止か費用負担の打診を続けています。ただ、打診は今のところ口頭によるものであるため、衆参両院事務局はこれまでのところパス見直しの正式な要請はないと認識しています。議員側にもそういう話は伝えていません。パスの発行元の日本民営鉄道協会と日本バス協会は、文書による要請を行うことも考えているようです。
国会議員が公共交通機関を基本的に無料なのは、国会と選挙区の移動や公務出張のためです。いい仕事をするためにはそれなりのコストが必要でしょうが(もっとも、政局に明け暮れる国会議員がきちんと仕事をしているかどうかは大きな疑問符が付きます)、それなら、それに見合う旅費を支給すればいいだけであり、鉄道会社などに負担させる必要はありません。定数の問題もありますが、自らの身を削ることは非常に消極的です。公務員の待遇を削るのは大好きなようですが、それでは自らの身を削ることには全くなっていないのです。
(追記1)
早速、見直す動きがあるようです。
1日2300万円の赤字を計上する京都市交通局は、無料乗車を廃止する方向です。京福も、廃止を含めて検討するようです。なお、北近畿タンゴ鉄道は、2006年度にすでに廃止しています。廃止するのは全国的な傾向で、2002年度には138社で利用できましたが、10年で55%ほどに減っています。
参考ながら、国会議員もJRはともかく、私鉄はあまり利用していないようです。近隣の移動は車が中心のため、あまり必要性がないというのが現状のようです。パスを見せれば無料になる京都市交通局でも、お金を払って乗車している議員もいます。
(追記2)
大阪市交通局においても、9月末で適用を打ち切るようです。ちなみに、大阪市交通局が梅田や難波などの主要駅で最近1年間の利用実績を調べたところ、利用はほとんどなかったようです。
(追記3)
参議院議員運営委員会は8月21日、理事会を開きました。そこで、私鉄やバスの無料パスを廃止することで各会派が一致しました。衆議院側も同様に私鉄やバスの無料パスを廃止する方針で、衆参ともどうやら9月末で廃止になるようです。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20120517k0000m040126000c.html、http://mainichi.jp/select/news/20120822k0000m010080000c.html、京都新聞ホームページ http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20120611000138、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201207190025.html)
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Comments
たべちゃんさんへ;今晩は!
法的根拠も無く、私鉄、バス会社に負担を強いる無料パス制度は即刻廃止を求めます。
Posted by: パノラマハイパー | 2012.05.17 05:48 PM
パノラマハイパーさん、おはようございます。
* 法的根拠も無く、私鉄、バス会社に
最低限、何らかの負担金を鉄道会社等に支払う必要がありますね。
Posted by: たべちゃん | 2012.05.18 04:42 AM