大船渡線BRT前進か、山田線BRT構想沿線4市町拒否
前の記事で書いたとおり、こちらは大船渡線と山田線について書きます。
大船渡線、山田線についても気仙沼線と同様、BRTによる仮復旧策が検討されています。しかし、対照的な結果になるようです。
まず大船渡線についてですが、大船渡線沿線の気仙沼、陸前高田、大船渡の3市などが協議する、大船渡線の鉄路復旧までの代替公共交通についての会議の初会合が13日に開かれました。この会議においてJR東日本側は、大船渡線についてもBRTを提案しました。
大船渡線のBRTは、不通になっている気仙沼-盛間43.7キロのうち約6割を専用道として整備し(便によっては専用道を利用せずに最短距離となる国道45号、三陸縦貫道を使うものもあるようです)、あとは一般道として利用するものです。運賃は震災前と同じとします。JR東日本側は鉄路での復旧については明言しませんでしたが、地元側は鉄路での復旧が確保できているとして、BRTでの仮復旧を容認するようです。
これに対して山田線(不通区間は釜石-宮古間、55.4キロ)についてですが、JR東日本は6月25日の公共交通確保会議(沿線4市町や岩手県などで構成)で、山田線もBRTで仮復旧することを提案しました。
山田線についても鉄道用地を舗装して専用道にします。費用はJRが負担します。しかし、山田線は被災した鉄橋が多く、鉄路が山側に迂回している部分などは、並行して走る国道45号を使います。その結果、専用道は約10キロほどしかつくられません。なお、運賃は鉄道と同程度とし、増便や駅の増設も進めます。
この山田線BRT構想に対して沿線4市町は拒否し、9日、JR東日本に通告しました。同時にJR東日本に鉄道の復旧を求めています。地元は拒否の理由として、(1)専用道の割合が低く、現状のバスと定時性やスピードは変わらない (2)震災前からの民間のバスと競合する (3)そもそもまちづくりの前提は鉄路復旧を前提としている などを挙げています。これにより、山田線BRT化の話は消えることになりましたが、鉄路復旧に向かうかと言うとそうではありません。JR東日本としては、検討した結果、復旧ができないこともありうるとの発言もしています。
これでは最悪の事態です。もともと山田線は利用者が少なく、純粋な民間企業であるJR東日本がよく維持している、と言ったほうが正しい認識の路線です。BRTとはいえ、廃止されずに維持してくれるだけでもありがたい話です。「新幹線や首都圏で儲かっているのだから、三陸のローカル線を維持するのは当たり前だ」という論理は、沿線でしか通用しません。復旧費用を国が出してくれて、その後も赤字になれば地元が何らかのかたちでカバーしてくれる第三セクターの三陸鉄道とは違うのです。
大船渡線と山田線とで地元の対応が違うのは、BRTの導入が決まってからのJRの動きを見ているかどうかの違いもあります。大船渡線と気仙沼で接続する気仙沼線は、来月20日に暫定的ながらBRTでの運行を開始します。この早さは地元も評価しています。近くで見ることのできる大船渡線とそうでない山田線との違いでしょうか?
(追記)
JRの大船渡線BRT案では、気仙沼-上鹿折間は専用道として整備します。このうち、鹿折唐桑-上鹿折間は事実上の枝線で、陸前高田へは鹿折唐桑から一般道に出て、海岸沿いの国道45号線経由で向かいます。
この案に対して気仙沼市の菅原市長は、鉄道での復旧がしやすいように(気仙沼-陸前矢作間は内陸部を通るため、被災程度は小さいようです)、気仙沼市内は専用道をつくらずに、一般道を使うことを要望しています。
(参考:河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120714t35032.htm、http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120720t11026.htm、http://www.kahoku.co.jp/news/2012/08/20120823t71023.htm、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/travel/aviation/TKY201206250516.html?ref=reca、http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001207100004)
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