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高速道路、税金での割引を延長か?

 今の高速道路の割引は、高速道路会社の経営努力によって行われているものもありますが、税金を投入して行っているものもあります。しかし、後者の税金を投入して行っている割引については、その財源(3兆円)が2014年3月で切れてしまいます。このままなら2014年4月以降、割引のない元の料金に戻ります。もっとも、瀬戸大橋などの特殊な区間でもないのに、道路が完成した後の割引に税金を使うということ自体が間違った話かもしれませんが。政府の仕事はあくまでインフラの整備です。

 そこで、国交省は高速道路の今の割引料金についてどうするのか、有識者会議をつくって検討することにしました。とは言っても、国にお金がないことは明白です。今のところ考えられているのは、過去の道路建設による借金約40兆円の返済期限を45年から伸ばして、高速道路会社に割引できるお金をつくろうと考えているようです。

 この国交省の方針に対して、道路公団民営化の趣旨に逆行するという批判があります。過去の借金をできるだけ早く返して無駄な道路をつくらない、という趣旨です。しかし、民営化されてからも新しい道路はつくられ続けています。整備新幹線におけるJRとは違い、高速道路会社には赤字高速道路に対する拒否権がないからです。東京外環道のように利用者が負担する道路はともかく、地方の新直轄方式のように国の税金が主体でつくる道路がたくさんできつつあります。地元が高速道路による地域振興を狙うのは否定できませんが、それなら国の税金ではなく県の税金でつくればよいでしょう。また、一般道よりも速い高速道路には、通行料金を払うコンセンサスがある程度はあります。「フリーウェイ」はあくまでも幻想で、「無料」にこだわる必要もないでしょう。

 もっとも、国交省の方針で償還期限を延長したとしても、それが割引に使えるかは別問題です。より緊急性の高い問題があるからです。都市高速道路の話ですが、首都高速や阪神高速などで補修の必要な損傷場所が増え続けています。その数は6つ(首都、名古屋、阪神、広島、北九州、福岡)ある都市高速道路の合計で約13万か所。すでに首都高速の維持管理・修繕費は年間500億円(料金収入の1/5に当たります)にも上っていますが、すべてを修理できていないというのが現状です。以前にも書きましたが、メンテナンス費用がかかり、とても割引に回る余裕がないかもしれません。
(参考:朝日新聞7月14日朝刊 中部14版、毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20120716k0000e040128000c.html、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130331-00000530-san-soci)

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