内部線・八王子線、BRT方式に転換か?
以前にも取り上げた、近鉄内部・八王子線の話。その内部・八王子線について21日、路線存続を求めるため近鉄本社を訪れた地元住民との会談で、重大なことが明らかになったのです(ただし、地元四日市市には、約1年前から打診していました)。線路をはがして、跡地にバスを走らせるのです。いわゆるBRT方式です。
近鉄がBRT方式での運行を考えている理由としては、内部・八王子線が赤字続きで、将来的に維持していくのが難しいため。内部・八王子線は年間約3億円の赤字を出しており、しかもレールの幅が762ミリの特殊狭軌線なので、特殊な車両が必要になります。ほかのローカル線のようにお古をもらう訳にはいきません。近鉄はBRT方式なら運賃や輸送力は今のまま維持できると考えています(仮にこのままの形態で黒字化するには、定期などを除いた正規運賃の乗客数を1.4倍にする必要があります)。
ただ、内部・八王子線はバスでも十分対応できそうな三陸の路線とは違い、年間360万人の乗客がいる路線。並行している道路は日中でも混んでいます。そんなところでもBRT化できるのかという疑問があります。もっとも、考えようによってはBRT化することによって、付近を走る三重交通の路線バスもBRT化された道路を走ることができる、というメリットはありますが(ただし、近鉄の案では、周辺道路からの乗り入れは考えていません。近鉄四日市-内部・西日野間の線路跡をバスが行ったり来たりするのです)。
また、地元四日市市に対しては、初期工事費用やバス車両代など25~30億円程度の負担を求めます。今の車両の更新費用(約15億円)より明らかに高いです。果たして、四日市市がそのような高い負担に応じることができるのでしょうか? 大金を出して鉄道を維持できるならともかく、近鉄の要望に従えば、線路ははがされるのですから。
近くには三岐鉄道北勢線や養老鉄道もあります。どちらも近鉄の路線だったのですが、近くのローカル私鉄に渡すか、受け皿ローカル私鉄をつくったのです。BRT化以外にも、いくつかの方策が検討されることでしょう。
(追記1)
近鉄が9月24日に四日市市に提示した素案によれば、BRT転換に伴い、既存の9駅に加えて4駅を追加します。運転本数は今より50本多い1日200本。バスは定員60人の通常の車両か、100人まで乗ることのできる連節バスを使います。
(追記2)
近鉄は、内部・八王子線を2015年度中にBRT化したいと考えています。これに対して、四日市市は鉄道での維持を強く求めています。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20120822k0000m040141000c.html、近鉄ホームページ http://www.kintetsu.co.jp/all_info/news_info/120824utuhachi.pdf、朝日新聞ホームページ http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001208240003、http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001210270001、中日新聞9月25日朝刊)
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