今さら「新幹線新駅が必要」と言っても
2006年の知事選で米原-京都間に設置される予定であった新幹線新駅の凍結を公約に掲げ、着工までしていた新駅建設を葬り去った滋賀県の嘉田知事。その知事本人が、6日に行われた中部圏知事会議で、県内の新幹線新駅の必要性について発言しました。
新幹線新駅をつぶした張本人であるはずの嘉田知事がこのような発言をしたのは、リニアが開業したのちの東海道新幹線の役割を考えてのもの。今は東京、名古屋、大阪を直結する「のぞみ」が主役ですが、リニア開業後は「のぞみ」の役割をリニアが担い、東海道新幹線は「ひかり」「こだま」が中心となり、中間駅でも使いやすくなります。現に、リニア開業後に神奈川県内に新幹線新駅をつくる話はあります。
そして、知事は新幹線新駅をつぶした段階ではリニアの話が進んでいなかったと釈明していますが、2007年10月に新幹線新駅の話が完全に消えた段階ではリニアの話は既にあり、単に見る目がなかったか、目先の負担だけにとらわれたかのどちらかでしょう。仮に、リニア全線開業後にJR東海が新幹線新駅を自らの負担でつくってくれたとしても(ただ、地元対策の一環でもあるリニア中間駅とは違い(リニアの駅がなければ地元自治体に建設を拒否される危険性もあります)、新幹線新駅はJR東海にとって全額負担してまでつくらないといけない駅ではありません。しかも滋賀県の場合は新幹線新駅の建設を拒否したという「前科」があるため、地元の協力が得にくいと認識される危険性があります)、それは30年以上先の話です。リニアの全線開業は2045年ですから。負担しても30年早くできるのはそれだけの価値があることです。仮に負担が重たかったとしても、(新幹線新駅の建設を凍結せずに)コスト削減策を練り上げて交渉したほうがよほど賢明だったでしょう。
なお、話は変わりますが、同じ中部圏知事会議内では、リニアの大阪までの同時開通や北陸新幹線敦賀以西のルートの明確化(フリーゲージトレインはあくまで暫定措置)を国などに求めることも決めました。
(追記)
JR東海の山田社長は、9月19日の記者会見で、滋賀県内の新幹線新駅について、「もう終わった話」と発言しました。
山田社長の話はもっともなことで、せっかくのチャンスを逃したら、後はもうないのです。
(参考:京都新聞ホームページ http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20120806000152、http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20120807000083、朝日新聞9月20日朝刊 中部14版)
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Comments
たべちゃんさん、今日は。
一度、話をおじゃんにして、又、話を蒸し返しても、JR東海も聞く耳を持たないでしょう。
Posted by: パノラマハイパー | 2012.08.12 03:36 PM
パノラマハイパー さん、おはようございます。
* 一度、話をおじゃんにして、又、話を蒸し返しても、
確かにその通りでしょう。評価は低いものになります。
Posted by: たべちゃん | 2012.08.13 06:02 AM