« 関空リムジンバス、10月28日から第2ターミナルビル乗り入れ | Main | 広島-松江、出雲間高速バス、高速道路経由に変更 »

草刈りをしたからといって鉄路が復旧するわけではない

 大船渡線の気仙沼-盛間は東日本大震災以来、不通となっています。この区間については4日、JR東日本と地元3市(大船渡、陸前高田、気仙沼)との話し合いが行われ、大船渡線にもBRTを導入することが正式に決まりました。BRTの開業時期ははっきりとはしていませんが、その間のバスの運行も検討するようです。

 ただ、気仙沼線の被災の規模が大きいのは盛のほうであって、気仙沼のほうはほとんどありません。鹿折唐桑駅周辺で線路の流出が400メートルほどありましたが、敷石が流出した程度で、レールに大きな損傷は見られないのです。その400メートル程度さえ直せば気仙沼-陸前矢作間は鉄道として復旧できるとして、地元にはその区間の早期復旧を求める声もあります。しかし、JR東日本は部分復旧を否定し、復旧するならば気仙沼-盛間を一気に復旧させるとしています。

 そこで、気仙沼-陸前矢作間の部分復旧を求める地元住民は、ある行動に出ようとしました。荒れ放題の線路の草刈りをやろうとしたのです。この計画が6日に行われるのを察知したJR東日本は、線路内のケーブルが草刈りで傷つく可能性があるとして、計画の中止を要請しました。その上、事前に2日がかりで草を刈ってしまったのです。草刈りが行われる予定だった6日には、JR東日本盛岡支社の幹部が草刈りの中止を求め、草刈りは中止となりました。

 地元側は、鉄路を復旧させるには熱意が必要だと考えているようですが、熱意を見せたからといって鉄路が復旧するわけではないのです。三陸鉄道のように赤字でも地元が補填してくれるならともかく、JR東日本にはそういうものがありません。新幹線や首都圏の利益で埋めざるを得ないのです。将来性の全くない分野に。震災の影響が少ない2010年度の気仙沼線(一ノ関-盛間)の輸送密度は706人。廃線になっても文句の言えない数字です。

 利用者がそれなりにいる常磐線(飛び地で復旧しているところもあります)や仙石線は、部分的ながら復旧しているところもあります。それははっきり言って利用者数の差なのです。地元自治体が買い取って第三セクター化してくれるならともかく、熱意を見せるだけでは何ともならないでしょう。

(追記)
 大船渡線気仙沼-盛間のBRT運行開始は、2013年春の予定です。それまでは、定期券・回数券利用者に限り、岩手県交通の路線バスへの振替輸送を行っています。

 山田線(宮古-釜石間)においても、定期券・回数券利用者に限り、バスによる振替輸送を行っています。
(参考:朝日新聞ホームページ http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001210090010、http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001210050004、JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/rosen_avr/index.html、http://www.jr-morioka.com/pdf/press/pdf_1351574676_1.pdf、http://www.jr-morioka.com/pdf/news/pdf_1355996683_1.pdf)

| |

« 関空リムジンバス、10月28日から第2ターミナルビル乗り入れ | Main | 広島-松江、出雲間高速バス、高速道路経由に変更 »

鉄道」カテゴリの記事

JR東日本」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 草刈りをしたからといって鉄路が復旧するわけではない:

« 関空リムジンバス、10月28日から第2ターミナルビル乗り入れ | Main | 広島-松江、出雲間高速バス、高速道路経由に変更 »