三江線増便社会実験にテコ入れ策
10月1日から行われた三江線の社会実験ですが、増便されたバスの利用者数は、10月24日現在で1便あたり3人と低迷しています。そこでテコ入れ策として、三江線活性化協議会(JR西日本三江線の沿線6市町と島根県、JR西日本米子支社などで構成)は、12月1日からバス停の増設と増便を行います。
増便されるバス停は、江津市役所前、中新町、相生町の3か所。市役所や役場、スーパーが近くにあります。それぞれ、江津、石見川本、粕淵駅とみなして運賃を計算しますが、江津-江津市役所前間、石見川本-中新町間を利用するときは140円、相生町-粕淵間を利用するときは180円の運賃がかかります。当然ながらバスのみ停車し、列車は通過します。
増便は6本行います。これにより、鉄道と合わせて上下40本となります(列車もバスも区間運転が多いため、多いところでも10往復にとどまります)。増便する6本のうち3本は、回送を乗車できるようにしたものです。また、増便のために24人乗りのマイクロバス1台を投入します。
しかし、せっかく増便しても利用者が増えなければJR西日本に否定的な見方をされてしまいます。なりふり構わず取る策は、スクールバスの休止。島根県川本町は小学校の統合と町内の高校の生徒確保のため、スクールバスを今年4月から運行しています。そのスクールバスの一部、5便を12月の1か月間、休止します。5便中4便にはほぼ同じダイヤで列車やバスがありますので(もともと列車のない時間にスクールバスが設定されていましたが、増便社会実験のバスのダイヤがスクールバスと似た時間になっていました)、それに乗ってもらって、数字をかさ上げしようとしているのです。スクールバスの代わりに児童や生徒が負担する運賃は、町などが負担する予定です。
(追記)
12月1日からバスを増便しましたが、その後の利用状況が明らかになりました。12月15日までの半月間、バスの乗客は前月の1.7倍の1日平均102人に増えましたが、バスそのものが増えたため1便あたりの利用者数(10月からの累計)は3.6人と低迷しています。
バスによる増便が終わった後の2013年1月からは、島根県美郷町が職員の三江線定期券代を補助するようです。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2012/11/page_2867.html、中国新聞ホームページ http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201211200043.html、http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/child/news/121110.html、http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201212210009.html)
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Comments
三江線が廃止にならない理由は一部高さ30mの高架区間があるため、でしょうか?撤去は費用がかかるし(三江線の年間赤字額より大きそうですね)放置は危険ですし。
赤字も撤去費用も抑えるなら、廃止だけして線路は何割か撤去、残り(高架区間とか)は放置というところに落ち着くでしょうか。並行道路も未整備とは言い切れなくなっているようですが、陰陽連絡・東日本のローカル線の将来を占う上でも今回の実験は重要ではあります。
Posted by: 日置りん | 2012.11.24 08:48 PM
日置りん さん、こんばんは。
* 三江線が廃止にならない理由は
国鉄時代に廃止にならなかったのは並行する道路が未整備のためだったのですが、現在こうやってバスでの増便実験ができる以上、その根拠は失われています。
* 撤去は費用がかかるし
ただ、運行を続けると赤字は増えますが、撤去してしまえば(一時の支出は多いものの)それ以上赤字が増えることはありません。体力があるうちに撤退するのは賢明な経営判断です。
* 陰陽連絡・東日本のローカル線の将来を占う上でも
冷静に考えると厳しいところです。
Posted by: たべちゃん | 2012.11.24 09:21 PM