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JR西日本と石川県、富山県、並行在来線の譲渡価格について合意

 21日、石川県庁でJR西日本の真鍋社長と石川県谷本知事が会談し、2014年度末の北陸新幹線開業に伴いJRから分離される並行在来線の譲渡価格について、31億円で合意しました。同じ21日には富山県庁でJR西日本の真鍋社長と富山県石井知事が会談し、並行在来線の譲渡価格について110億円で合意しました。それぞれ県の予測では、59億円と230億円だったので、半分ほどに下がったことになります。

 石川県の内訳は、車両(新型車両5編成10両)が13億円、土地や駅舎、レールなどの鉄道資産が18億円。新型車両は2編成が新車で、3編成が中古車です。中古車を買うことで10億円近く減らすことができました。ただ、中古車とは言っても新型の521系なので、長い間使えます。中古だと値段が1/3(1.5億円)になることが魅力です。鉄道資産は必要な部分を見直すことで、想定の36億円が半額になりました。しかも、並行在来線を運営する第三セクター会社へのJR出向社員の人件費(出向期間は10年間、16億円)はJR西日本が負担してくれます。譲渡前にレールなどの施設をJR西日本が2億円かけて修繕してくれます。差し引きすると実質的には鉄道資産は無償とも言えます。「サンダーバード」など七尾線直通特急についても、存続させる方針です。なお、問題となっていたJR西日本と並行在来線の乗継については、運賃が1.7倍になることから、来年1月に谷本知事がJR西日本を訪ねて回答を求める予定です。

 富山県の内訳は、車両(新型車両16編成32両、旧型車両5編成15両)が26億円、土地や駅舎、レールなどの鉄道資産が84億円。新型車両の譲受数は5月に合意したときより2編成増えました。どうやら日中は新型車両で賄うようで、旧型車両(413系か?)は朝夕の助っ人のようです。JR西日本からの支援は、並行在来線を運営する第三セクター会社へのJR出向社員の人件費など(40億円)と開業までに行う鉄道施設などの修繕(10億円)。JRが支払う貸付料等による国の支援(40億円)や新型車両を主に使うことによる検査費用等の縮減効果(20億円以上)を合わせると、実質的には無償譲渡と言えます。JR西日本はこのほか、並行在来線へのICカード導入(「ICOCA」を北陸にも入れるのでしょうか?)や開業に合わせた観光キャンペーンの実現(JRの大型観光キャンペーンについて、富山、石川、福井3県合同で2015年秋の開催を求めています)でも協力します。

 ただ、JR西日本は、「サンダーバード」や「しらさぎ」の富山乗り入れ継続については、厳しい姿勢を示しています。JR西日本は新幹線を使うことを求めています。とは言っても、金沢暫定開業の時点ではすぐに接続の新幹線があっても10分程度しか短縮しないのに、金沢駅での面倒な乗り換えがついてきます。北陸新幹線が敦賀まで延長されるまでは、東京方面しかメリットがない新幹線なのですから(関西、名古屋方面にはデメリットしかない)、さらに強く交渉を続ける必要があるでしょう。特急の乗り入れを継続すると並行在来線会社の負担も増えますが、安く並行在来線を買えたのですから、ある程度はその負担増もためらってはいけないでしょう。

(追記1)
 JR西日本と石川県は2013年2月1日、JRと並行在来線第三セクターとの間で乗継割引を導入することで同意しました。金沢(北陸線)、津幡(七尾線)での乗り継ぎが対象になり、利用者の負担は最大3割程度増に抑えられます。並行在来線第三セクターの1日当たりの利用者延べ約2.5万人のうち、七尾線が分離されないこともあり、8割がJRなどほかの路線に乗り継ぐとみています。

 乗継割引はJR、並行在来線第三セクターともに運賃を減額することにより行います。このうち、第三セクターサイドの減収分は、石川県と市町で計30億円を拠出する経営安定基金で補てんします。

 この乗継割引は5年間の激変緩和措置ですが、その後は再度協議します。

(追記2)
 石川県は並行在来線について支援を受けることができたため、開業10年間の累積赤字の見込み額が20億円から11億円に減るとしています。運賃の値上げ率も20%を下回る水準になるとしています。通学定期の値上げ率は15%を下回る水準にします。

(追記3)
 2012年8月に設立された、石川県の並行在来線区間を運営する会社の名前が、「IRいしかわ鉄道」に内定しました。今後、定時株主総会を経て正式に決定する予定です。

(追記4)
 結局、開業5年間の石川県の値上げ率は、通勤定期と一般運賃は14%、通学定期は据え置きとなりました。

(追記5)
 「IRいしかわ鉄道」は、新幹線の乗継の利便性確保のほか、金沢発の最終の繰り下げなどを検討しているようです。

(追記6)
 あいの風とやま鉄道が保有する413系は、10年以内に車両を更新する方針です。
(参考:中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2012112202000178.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/toyama/news/20121122ddlk16020672000c.html、http://mainichi.jp/area/toyama/news/20130329ddlk16020690000c.html、朝日新聞ホームページ http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000001211220001、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/news/20121121-OYT8T01590.htm、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO48688050R21C12A1LB0000/、北國新聞ホームページ http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20130202101.htm、http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20130218101.htm、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2013/03/28/194628.html、「鉄道ジャーナル」2014年2月号 鉄道ジャーナル社、チューリップテレビホームページ http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/?TID_DT03=20141120155706)

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