青函トンネルも2018年春から時速200キロ以上での運転へ
北海道新幹線新青森-新函館間は、2015年度末に開業する予定です。しかし、青函トンネルなど新幹線と貨物列車が共用する約82キロの区間(新中小国-木古内間)については、新幹線区間でありながら時速140キロに制限されます。貨物列車とすれ違う際に、コンテナが風圧で破損する恐れがあるからです。
しかし、北海道新幹線を運営するJR北海道や地方自治体は、青函トンネルなどでも時速200キロ以上の高速で運行したいと考えています。一部の県には新幹線の定義にある時速200キロ以上で運転しない区間があることを理由として、建設費の負担を減らそうとする動きもあります。
そこで、青函トンネルなどでも時速200キロ以上での運転を検討していることは以前に触れましたが、国交省は開業2年後(2018年春?)をめどに、貨物などを通さない新幹線専用時間帯を午前中に1日2時間だけ設け、1日1往復だけ新幹線を時速200キロ以上で運転させることに決めました。当初、新幹線専用時間帯は3時間設ける予定でしたが、1日51往復の貨物列車を走らせるJR貨物からの反発があり、2時間に短縮することで合意を得ました。青函トンネルなども時速260キロ運転した場合、所要時間が20分弱短縮します。東北新幹線東京-新青森間が時速320キロ運転により、2時間59分で結ばれることを考えると、東京-新函館間は3時間40分程度になると考えられます。函館-新函館間のアクセス列車の所要時間は17分なので、(新函館ではなく)函館まで4時間程度で行くことができます。
将来的には、貨物列車とすれ違う直前だけ時速140キロに落とすシステムなどを開発することによって、限られた時間帯でなくても時速200キロ以上の運転ができるようにします。このノウハウを磨くことによって、高速鉄道のインフラ輸出につなげたいという狙いがあるようです。アジア諸国では貨物と新幹線を共用する方式のニーズが高いからです。
(追記1)
通常、保守作業の終了後、線路の状況を確認するには保守用車両(モーターカー)を使います。しかし、この方法では確認に時間がかかってしまいます(奥津軽-木古内間で約2時間)。そこで、貨物列車の走行後に新幹線の回送列車を運転する方法が考えられています。新青森-新中小国間、木古内-新函館間を時速260キロ、貨物との共用区間の新中小国-木古内間を時速140キロで走行します。これなら、確認時間を大幅に減らせ、新幹線専用時間帯を2時間に抑えることができます。
国交省の資料によれば、共用区間においては、新幹線は(260キロではなく)200キロで走行するようです。共用区間を時速140キロ運転すれば38分かかりますが、時速200キロ運転すれば26分に短縮されます。つまり、青函トンネルなどで時速200キロ運転すると12分所要時間が短縮されるのです。
(追記2)
青森県議会の新幹線・鉄道問題対策特別委員会は12月18日、安全・環境対策の強化や高速走行の追加工事費用を盛り込み、総事業費を増額する国の認可方針を了承しました。増額分のうち地元負担は約119億円で、北海道との折半や地方交付税措置で、青森県の実質的な負担は約30億円となります。
2018年以降も時速200キロ以上の高速運転が1日1往復に止まるために不満もみられましたが、当初の想定よりは負担額が減ったことと、とりあえずは1日1往復とはいえ時速200キロ以上の走行ができるため、特別委員会でも了承することになったのです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121211-OYT1T01228.htm、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121211/plc12121118410011-n1.htm、北海道新聞ホームページ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/426009.html、国交省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000232476.pdf、河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121219t21002.htm)
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