えちぜん鉄道と福井鉄道、相互乗り入れ区間を短縮して2015年度実施へ
えちぜん鉄道と福井鉄道には相互乗り入れの構想があります。運賃については乗継割引の拡充というかたちである程度の実現が図られましたが、相互乗り入れのほうはなかなか前に進みませんでした。えちぜん鉄道の高架化事業と切り離して相互乗り入れを行うかどうか、福井県と福井市の間で考えが大きく違っていたからです。
ところが今年2月、福井県は北陸新幹線の東側に並行してえちぜん鉄道の高架を設ける案を出しました。この案は県議会、市議会の了承を経て、11月に福井県、福井市双方の都市計画審議会も了承したことで、相互乗り入れ計画を協議する事業検討会議が1年5か月ぶりに開かれることとなりました。
11月27日に開かれたこの会議では、福井県は乗り入れ区間の短縮を提案しました。これまで西長田-越前武生間だった計画を、鷲塚針原-越前武生間に短縮します。乗り入れ区間が3.6キロ短縮されるため、事業費が23~24億円から19.2億円になる見込みです。翌日の28日には福井県議会が開かれ、知事はえちぜん鉄道と福井鉄道の相互乗り入れに必要な工事を2013年度から始め、2015年度に相互乗り入れを行う方針を示しています。田原町で線路や踏切などの工事を行い、えちぜん鉄道の福大前西福井、日華化学前、八ツ島、新田塚、鷲塚針原の各駅に低床ホームを整備します(臨時駅の仁愛グランド前駅はともかく、中角駅を整備しない理由は不明です)。えちぜん鉄道は低床車両を2編成、新たに導入します。
福井県が乗り入れ区間の短縮を考えているのは、収支採算性の向上が主な狙いです。えちぜん鉄道、福井鉄道の年間運行経費が4100万円から3340万円に減少します。それとともに、鷲塚針原までなら、福井市内に止まりますので(当初案の西長田は坂井市にあります)、費用負担の協議が福井県と福井市だけでできます。西長田までの相互乗り入れは、鷲塚針原までの相互乗り入れが実現してから考えるようです。
11月27日の会議では、出席者から、軌道区間の福井鉄道の定時性確保が課題として出されました。福井鉄道の遅れがえちぜん鉄道のダイヤの乱れを引き起こす可能性があるからです。これについては、道路管理者の福井県が県警と連携して、軌道区間の対策を進めることを確認しています。
(追記1)
総事業費19.2億円の内訳は、国の補助が6.4億円、福井県が10.1億円、福井市が2.7億円です(ただし、これまでの鉄道支援事業では、県と市の負担割合が2:1でしたので、それに合うように田原町駅の周辺整備事業などで調整します)。福井県と福井市は2013年度当初予算案に設計費や工事費の一部を盛り込む予定です。福井鉄道やえちぜん鉄道の負担はありません。
相互乗り入れの本数は1時間に1~2本です。6~15時は鷲塚針原-浅水間を往復します。9時までは毎時2往復、9時以降は毎時1往復です。15~19時は福井駅前を経由して鷲塚針原-越前武生間を毎時2往復します。こうして1日約30本を追加運行します。このほか、えちぜん鉄道の福大前西福井まで直通するものもあるようです。
なお、福井鉄道の「ヒゲ線」計画や、えちぜん鉄道の高架化はこれまで通り進めます。
(追記2)
中角駅を整備しないのは、中角駅が九頭竜川の堤防を乗り越える勾配の上にあるからです。構造上、低床ホームを設置することができないようです。
(参考:福井新聞ホームページ http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/railway/38266.html、http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/politics/38272.html、http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/politics/39902.html、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/area/fukui/articles/OSK201302080067.html、「鉄道ジャーナル」2015年11月号 鉄道ジャーナル社)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
「東海・北陸私鉄」カテゴリの記事
- 大井川鐵道、SLでの夜行列車を運転(2024.12.06)
- 150円のSL(2024.10.20)
- 北陸新幹線延伸後のサンドーム福井コンサートへの行きかた(2024.10.15)
- ハピラインふくい、2025年3月のダイヤ改正で武生-敦賀間増便か?(2024.10.14)
Comments