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富山県会社と北海道会社の並行在来線経営計画等

 昨日は新潟県会社(えちごトキめき鉄道)の経営計画などについて書きましたが、今日は富山県と北海道のについて書きます。まずは富山県から。

 富山県並行在来線対策協議会は23日、2015年春の北陸新幹線開業に伴い分離される並行在来線の経営計画の最終案を承認しました。運賃の値上げについては、昨年5月の段階で第三セクター会社の収支均衡のためには(現在のJR運賃比で)25%の値上げが必要だとされてきましたが、通学定期は約15%、普通運賃と通勤定期は約19%の値上げで済むことになりました。JR西日本との交渉でかなりの安値で資産を取得することができたうえ、値上げ抑制による減収額23億円を穴埋めするために市町村との間で基金を設置することで合意したためです。経営安定基金は富山県(30億円)、市町村(30億円)、民間(2億円超の寄付を見込んでいます)が出資し、62億円あまりの規模となります。ほかの第三セクター会社と比較すると、値上げ幅は小さいです(普通運賃で比較すると、しなの鉄道が24%、IGRいわて銀河鉄道が58%、青い森鉄道が38%、肥薩おれんじ鉄道が50%の値上げ。数字はいずれもJR本州3社との比較)。ただ、富山には富山地方鉄道など、ほかの交通手段もあります。第三セクターのみに支援するわけにはいきません。今後そのあたりのバランスも取っていくようです。

 運賃値上げや経営安定基金の規模が確定したことにより、第三セクター会社の収支は運行開始から10年後で1億円の黒字を見込んでいます(開業当初の2015年度は減価償却費がかさむため、約3億円の赤字を見込んでいます)。また、ICカードは「ICOCA」を導入する方向でJR西日本と調整しています。

 並行在来線のダイヤは、現行よりほんの少し多いだけとなります。泊-金沢間で朝夕に521系による快速列車を1往復追加し(朝に金沢行き、夕方に泊行きを運転します。朝の金沢行きは利用者の多い「おはようエクスプレス」の代替です)、富山-高岡間は朝夕に普通列車を1往復追加するだけです。つまり、糸魚川―泊間は現状維持の38本(ただし富山から直通する4本を除いて、直江津方面からのディーゼルカーが走ります。泊での乗り換えは同一ホームになるように考慮されます)、泊-黒部間は54本、黒部-富山間は64本、富山-高岡間は81本(城端線のディーゼルカーを含みます)、高岡-金沢間は59本です。県境をまたぐ普通列車の乗り入れ本数は現状を維持します。快速については北陸新幹線開業によって利便性が大きく減少する関西方面との乗継を便利にするため、運行本数の増加を求める意見もありましたが、富山県はJR西日本に「サンダーバード」などの県内乗り入れ継続を申し入れていることなどを理由に、1往復だけ運行するとしています。「サンダーバード」などの乗り入れについて結論が出たら、再度快速の運行本数について検討するようです。

 富山県並行在来線対策協議会は今回で終了し、今後の作業は第三セクター会社を中心に進めます。富山県と市町村は7月に25億円の増資を行い、本格的な移行を行います。現在、社長は副知事が務めていますが、適当な人が見つかれば、7月の段階で民間出身者に社長を交代させるようです。

 話は変わりますが、25日には、2015年度の北海道新幹線開業に伴い分離される江差線(五稜郭-木古内間、37.8キロ)についての、北海道と沿線3市町の開業準備協議会が開かれました。ここで北海道が経営・運行に関する基本方針の骨子を提示しました。

 それによりますと、運行本数は現行の37本を維持しますが、運賃は約30%値上げします。函館-五稜郭間がJRのまま残ることを考えると、実質的な値上げ幅はもっと大きいのかもしれません(乗継割引制度の導入はJR北海道と協議するようです)。駅はJR北海道と共同使用する五稜郭駅を除いて無人化し、車両はJRからワンマン用の車両を譲り受けます。函館駅への乗り入れは継続します。

 開業準備協議会はこの基本方針を基に10月までに経営計画をまとめ、2014年5月までに第三セクター会社の設立を目指しています。

(追記1)
 富山県の運賃値上げ幅について、開業5年間は通学定期は約3%、通勤定期と一般運賃は約12%とする予定です。開業6年目以降は通学定期は約5%、通勤定期と一般運賃は約19%とします。

 この値上げ幅の縮小により、並行在来線の運営には追加で約11億円の資金負担が必要となります。富山県は単独で12億円を補助する方針です。

(追記2)
 快速列車については、普通列車より速いことから、安いながらも追加料金を設定するようです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130124-00000343-kitanihon-l16、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO50913670T20C13A1LB0000/、毎日jp http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20130126ddlk01020207000c.html、http://mainichi.jp/area/toyama/news/20130329ddlk16020690000c.html、富山県ホームページ http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00003943/00572134.pdf、北海道新聞ホームページ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/452286.html、富山県並行在来線対策協議会ホームページ http://www.toyama-railway.jp/outline/images/mngm_last_2.pdf)

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