岳南鉄道、4月に鉄道事業を新設分割により設立
東海道線の吉原駅から分かれて、岳南江尾までの9.2キロを結ぶ岳南鉄道。富士急行グループの会社です。沿線には製紙会社などがあり、貨物輸送を行っていることでも知られていましたが、その収益の柱の貨物は2012年3月に廃止されてしまいました。落ち込みの激しい旅客だけでは収益を確保するのは難しく(ピーク時の1967年には500万人の旅客、100万トンの貨物を運んでいましたが、2010年には旅客は77万人、貨物は6.5万トンに減っています)、富士市は住民の通勤・通学の足を確保する目的で、岳南鉄道に対して2014年度末までの3年間、年間6500万円の補助金を交付しています。
そこで、岳南鉄道は、4月に鉄道事業を黒字の不動産事業や物販事業から分離し、全額出資子会社の「岳南電車」を新設します。財務の透明化と意思決定の迅速化につなげるのが狙いですが、補助金の明確化も分社化の理由になっているのかもしれません。新会社の資本金は1億円、代表者はまだ決まっていませんが、岳南鉄道の畠山社長が兼務する可能性があります。岳南鉄道で鉄道事業に従事している社員やパート従業員24人は、新会社に転籍します。なお、新会社の設立に伴う、ダイヤや運賃の変更はありません。
(追記)
富士市は2014年3月24日の市議会全員協議会において、2015年度以降も公的支援を継続する方針であることを明らかにしました。公的支援を継続する理由は、(1)岳南鉄道を存続させることによって、交通弱者の利便性確保や渋滞緩和などという富士市が得られるメリットが、存続に要する費用を上回る (2)利用者数は2004年度以降も増加傾向にあり、今後も期待できる などです。
もっとも、2012年度から3年間は年間6500万円の支援を行ってきましたが、2015年度以降の支援額は削減される可能性があります。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO50949390U3A120C1L61000/、静岡新聞ホームページ http://www.at-s.com/news/detail/474560537.html、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20140324-OYT8T00986.htm)
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