コミュニティバスの限界を超えて走る豊岡の「チクタク」
地方を中心にコミュニティバスが走っています。大抵は安いものの本数が少なく、遅いのが特徴で、車に乗ることができない交通弱者専用の、「部外者お断り」的な乗り物です。どう考えても収支はとれず、赤字を垂れ流すだけの存在です。
ところが、そのコミュニティバスでさえ成立しないほど、需要が少ないところがあります。そういうところに公共交通サービスを提供しているところがあります。豊岡市の「チクタク」です。
豊岡市は兵庫県の日本海側にある市で、人口は約9万人。豊岡市など1市5町が合併して大きくなり、面積は約700平方キロもあります。「チクタク」は「地区のタクシー」という意味で、市営バス(コミュニティバス)「イナカー」を廃止した地域で、代替輸送として始まりました。2010年にパイロット事業が始まり、2011年に本格的に事業が実施されています。
「チクタク」を運行するのは、市の委託を受けた地域の住民団体。出石町の奥山地域ではチクタク奥山、出石町の小野地域ではチクタクひぼこ、但東町の資母地域ではチクタク資母が運行しています。「チクタク」は市の所有する乗用車やワゴン車を使います。地元の有償ボランティアが交代で運転します。運行は週3回で、近くの病院やスーパーなどへ1日3往復程度走ります。おおよその運行ルートがありますが、予約に応じて自宅まで迎えに行きます。運賃は距離に応じ100~200円です。
この「チクタク」ですが、「イナカー」の廃止直前の利用者を大きく上回っています。昨年4~12月の9か月間の「チクタク」利用者は、奥山595人、ひぼこ852人、資母579人。「イナカー」の廃止直前の利用者は9か月で約70~120人で、この伸びには市地域公共交通会議の委員も驚くほどです。自宅前まで来てもらえ、ドライバーは近所の顔見知り(いなければ探してもらえる)なのが好評なようです。これまで出かけるときは家族や知人に頼んでいましたが、有料なのでそういう気兼ねもいりません。市の負担金も「イナカー」時代と比べて半分ほどに減っています。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20130125ddlk28040353000c.html、国交省ホームページ http://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/kansai/program/link/jirei02.pdf)
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