JR西日本と新潟県、並行在来線の譲渡価格について合意
2月26日、JR西日本の真鍋社長と新潟県の泉田知事が新潟県庁で面談し、2015年春の北陸新幹線開業でJRから分離される並行在来線の鉄道資産の譲渡価格について合意しました。少し前の記事でも書いたとおり、譲渡価格は約40億円です。新潟県は当初、JR西日本からの譲渡価格を約64億円と見積もっていましたが、不要資産を選別することにより、約40億円に削減しました。これにより、北陸新幹線の全区間で、JRと県の間で譲渡価格について合意することになりました(長野、新潟(JR東日本部分)、富山、石川)。なお、JR西日本から購入する資産は線路やトンネル、駅舎など。車両は第三セクター、えちごトキめき鉄道がディーゼルカーを新造するために含まれません。
これに対して、JR西日本からの支援は、ディーゼルカー導入のサポート(約6億円)、えちごトキめき鉄道に出向する社員の人件費の一部負担(約27億円)、鉄道施設の整備(約8億円)、新幹線開業に向けた関西圏での観光PR(5億円以上)などの合計46億円以上。譲渡価格を上回り、実質的には無償譲渡を受けたことになります。ちなみに、北陸線区間に導入されるディーゼルカーは、JR西日本が現在使用している車両をベースにした最新型です。地元説明会で説明した内容から考えると、キハ122系を想定しているようです。設計や製造、試運転などのサポートを受けます。
話は変わりますが、えちごトキめき鉄道関連なので書きます。2月27日、県労連や国労などで構成する市民団体「暮らしと地域を支える鉄道の充実をめざす県連絡会」はえちごトキめき鉄道に関する提言を新潟県に出しました。その提言では、広く住民の意見を聞くこと、現行運賃維持(新潟県は、並行在来線の運賃について、これまでの想定を下回る1.3倍で経営可能との試算を示しています)、JR特急や他県との相互乗り入れを実現すること、北陸線区間にも電車を導入することなどを求めています。
はっきり言って、市民団体の考えを丸ごと受け入れたら経営が成り立たないことは明白です。特急の利益で稼ぐことのできる(どんなに赤字でも、アーバンネットワークの利益をつぎ込むことができる)現状とは異なるのです。新幹線が開業すると、ローカル輸送だけで鉄路を維持していかなければならないのです。県庁所在地を走る富山県や石川県と異なり、新潟県の需要は少なく、とても厳しいのです。貨物があるので、バスにすることもできません。北陸線区間にも電車を導入することを求めていますが、電車なら高価な交直流電車を導入しないといけません。最低でも2両編成です。1両でも走ることのできるディーゼルカーの運行は苦肉の策なのです。
(追記)
えちごトキめき鉄道は、JRから分離後5年間は、運賃をJR時代のまま値上げしないことを発表しました。JRなどとを乗り継げば運賃が割高になりますが、それについても乗継割引の導入についてJRなどと協議するようです。
なお、脇野田駅は、新幹線開業に伴って新幹線駅の隣に移設されますが、その駅名は新幹線と同じ上越妙高駅に変更することとなりました。
(参考:新潟日報ホームページ http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20130227029028.html、http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20130301029318.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/niigata/news/20130228ddlk15040011000c.html、上越タウンジャーナル http://www.joetsutj.com/archives/52057218.html)
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