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JR西日本にも「車上主体列車制御システム(無線式)」、「バッテリー電車」

 鉄道各社において、いろいろな新しい技術を開発しています。このほど、JR西日本が行っている、「車上主体列車制御システム(無線式)」、「バッテリー電車」の開発状況が明らかになりました。まずは「車上主体列車制御システム(無線式)」から。

 現在の列車制御システムは、膨大で複雑な地上設備が主体の構成となっています。そこで、発展著しい情報通信技術や汎用技術を活用した新しい列車制御システムをしました。これによりさらなる安全性の向上、保守作業の省力化や設備の簡素化などの固定的経費の軽減を目指します。

 この新しい列車制御システムはJR東日本のATACSをベースにしています。列車が自らの走行位置を検知し、無線を使って車両と地上設備間で連続的に双方向の通信を行うことにより列車の制御をします。前方車両の位置や速度制限箇所などの情報を入手し、列車が自らブレーキ制御パターンを作成し、それにしたがってブレーキ制御を行います。

 JR西日本では2008年度から開発に着手し、吹田総合車両所構内において、列車の速度制御、間隔制御など基本性能の確認試験を行いました。今年2月から3月にかけて、嵯峨野線亀岡-園部間で走行試験を行いました。在来線試験車「U@Tech」を使用し、車両に搭載した列車の位置検知や速度制御などを行うための装置の基本動作確認、車上装置と地上装置との通信を連続的に行うための地上の無線基地局の切替確認などを行いました。今後は、安全性に関するシステム評価、無線の安定性などの技術的課題を解決していくようです。2017年度までに実用化のめどを図ります。

 続いては「バッテリー電車」。鉄道会社なので当然と言えば当然ですが、JR西日本の消費するエネルギーのうち約8割が列車の運行に関するものです。つまり、省エネのためには列車の運行で使うエネルギー量を減らすことが不可欠です。その方法として、非電化区間でも走行可能な「バッテリー電車」の技術開発を行うこととしました。

 「バッテリー電車」は、駅や基地などに停まっている間に、運転に必要な電力を架線から蓄電池に充電します。非電化区間ではその充電した電力によって走行します。ブレーキ使用時に発生する回生電力は蓄電池に充電され、走行用に使えます。JR西日本が開発している「バッテリー電車」は、量産効果が期待でき汎用性の高いリチウムイオン電池を採用していることや、既存の電車の高圧機器をそのまま使うことができる高圧蓄電池システムを使っていることが技術的な特徴です。これによりシステム構成の簡素化を実現しています。

 「バッテリー電車」は2010年度から開発に着手しました。バッテリー単体での安全性、耐久性の評価、モーターとモーターの駆動を制御する装置との組み合わせによる試験などを実施しています。今年2月には山陽線網干-有年間で走行試験を行いました。223系電車に開発中の蓄電池システムを搭載し、実用に向けた確認を行いました。今後は、リチウムイオン蓄電池の安全性、小型・軽量・低コスト化などの技術的課題を解決していきます。2017年度までに性能試験を完了します。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2013/03/page_3412.html、http://www.westjr.co.jp/company/info/plan/pdf/plan_2017.pdf)

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