パリ-マルセイユ間、TGVでたったの1200円
フランスの高速鉄道、TGV。そのTGVに、4月2日から、格安版の「OUIGO」(ウィゴー)が登場します。パリ-マルセイユ間の最低価格がたったの10ユーロ(約1200円)です。1981年のTGV開業以来の初めての試みで、若者や家族連れをターゲットに、航空機などとの価格競争に挑みます。
TGVは全部で460編成ありますが、そのうち4編成を格安用として改装します。開始当初は1日3~4往復程度です(マルセイユ行きとモンペリエ行きの合計)。通常は8両編成のうち一等車が3両、ビュッフェもありますが、これがすべて2等車となります。8両全部に2階建て車両を使うことで、客席数を2割増やし、1268席とします。
ターミナルも通常のTGVとは異なります。パリ中心部の駅は高額の路線使用料金が発生し、混雑のため運行本数も制約されるので、使いません。中心部から鉄道で約40分の郊外の駅から出発します。ディズニーランドに近いマルヌラバレから出発します。途中経由するリヨンも、郊外の駅に停まります。そんな格安版でも走りだせば速さはTGVとほぼ同等、パリ-マルセイユ間を約3時間10分で結びます。
料金は時期や予約の状況に応じて変わるため単純には言えませんが、パリ-マルセイユ間の4月上旬の片道運賃(2等)の最低価格で比較すると、TGVのオンライン限定サービスは35ユーロ、夜遅い時間のTGVは37ユーロですが、「OUIGO」は15ユーロです。ちなみに「OUIGO」の最高価格は85ユーロで、TGVなら100ユーロを超えることもあります。
「OUIGO」は通常のTGVとは異なるところもあります。手荷物は2つ目から追加料金がかかり、チケットはオンライン限定、発車時刻の30分前までに駅で手続きする必要があります。まるでLCCです。
(追記1)
「OUIGO」のターゲットは18~45歳。具体的には、学生、若いビジネスマン、幼い子供連れの家族、小グループの旅行客です。12歳以下の子供については、大人同伴であれば、乗車区間に関係なくたったの5ユーロ均一です。4~8人の小グループも、乗車区間に関係なく20ユーロ均一となります。
特に子供連れについて言えますが、人数が多くなるとトータルの交通費は高くなります。それが「OUIGO」だと子供はたったの5ユーロ。家族連れに優しいです。
(追記2)
「OUIGO」は成功しているようで、2016年9月にはパリからナント方面へ、2017年にはレンヌとボルドー方面へ運行する計画となっています。
(追記3)
2016年4月3日から、パリ-ブリュッセル間などでタリスを運行するタリス・インターナショナル社は、パリ北-ブリュッセル南間に「izy」の運行を始めました。この「izy」は1列車当たり10人限定で、たった10ユーロでビュッフェカーの立ち席に乗車できるという格安プランがあります。なお、ビュッフェの営業は行っていません。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20130223k0000m030070000c.html、J-CASTニュース http://www.j-cast.com/2013/03/08168757.html、「鉄道ジャーナル」2013年9月号 鉄道ジャーナル社、「鉄道ジャーナル」2015年7月号 鉄道ジャーナル社、東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/123058)
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