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近鉄、内部・八王子線に公有民営方式を提案

 近鉄から内部・八王子線のBRTへの転換を提案されている四日市市。18日に内部・八王子線の存続問題について話し合う市議会総合交通政策調査特別委員会が開かれました。ここで、参考人として出席した近鉄の担当者(鉄道事業本部の福嶌営業企画部長ら3人)は、もともと内部・八王子線は近鉄が路線を引き継いだ1965年から赤字続きで、これ以上黒字路線の収益で賄うことができず、運賃収入だけでやっていけるBRTが最善だとしつつも、鉄道を残す場合は、8月末までに市側と交渉の結論を出す必要があるということを発言しました。

 8月末を交渉期限とした理由は次の通りです。内部・八王子線で使用している車両14両のうち、1両が2015年8月28日の定期検査時に廃車となるため。新たな車両の製造には約2年かかります。ですから、8月までに結論を得ないと、新車をつくるべきか否か判断ができません。車両をつくらないままだと、2015年8月以降、鉄道の運行は極めて難しい状況になるようです。

 鉄道を残す場合は、新会社となります。土地、施設、車両などを市側が所有し、新しく設立する会社が無償貸与を受け、運行する公有民営方式しかないと近鉄側は主張しています。BRTなら初期投資の負担(25~30億円)はともかく、その後の運営費は近鉄が自前でやっていけるようですが、鉄道として残す場合は10年間の平均で、年間約1.3億円の赤字が見込まれますので、補助金を安定して支出してくれないと運営できないとしています。市側には、土地などを買い取る費用以外に、車両更新など10年間で予想される整備費用約20億円、運営費の補助(赤字を埋める程度?)を出すことを求めています。

 それなりに利用者がいる内部・八王子線では、公有民営方式が現実的でしょう。ただ、四日市市に半永久的に補助金を出し続ける覚悟がないといけません。内部・八王子線は赤字続きでしたから。そもそも、近鉄のBRTへの提案が今のところ受け入れられなかったのは、市に金を出させる計画だったからです。市が近鉄の要求に従ってお金を出すと、線路をはがされるのですから。鉄道を維持するためならともかく、廃止(正確にはBRT化)するためにお金を出すようなところはありません。(需要が極めて少ない)三陸でさえJR東日本が負担したのに、それに比べると段違いに多い内部・八王子線は地元に負担させようとしているのですから、話がこじれるのは当然です。だらだらと赤字が続くことを防ぐための投資として近鉄が割り切って、BRT化費用を出さないといけないでしょう。

(追記)
 田中四日市市長は23日の記者会見で、内部・八王子線のBRT化については改めて否定したものの、公有民営による鉄道存続については、維持・補修にかかる費用の問題はあるものの、「検討の余地はある」としました。

 ちなみに、BRT化には最低でも2年の工事期間が必要で、その間は道路を使って内部・八王子線の利用者の輸送をしないといけません。過疎地帯のBRT化とは違い、四日市の交通事情を考えると、その点でも問題が大きいようです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/mie/news/20130419-OYT8T00135.htm、http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/mie/news/20130424-OYT8T00405.htm、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20130419/CK2013041902000026.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/mie/news/20130419ddlk24020041000c.html)

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