大阪市営バス、大阪運輸振興に移管か?
大阪市営地下鉄、バスは民営化される方向です。当初、地下鉄は大阪市が100%出資する新会社(2015年4月に「大阪地下鉄」(仮称)として民営化)、バスは民間事業者に譲渡する方向(2014年4月に民営化)でしたが、これでは採算の取りづらい路線は民間が買ってくれません。市議会の民営化条例案審議も難航しています。そこで、バス事業の受け皿として外郭団体である大阪運輸振興を使うこととなりました。大阪運輸振興を新会社の子会社(つまり、大阪市の孫会社)とすることで、不採算のバス路線が廃止されることを危惧する市議会に対応しようとしています。
大阪運輸振興は、大阪市交通局が100%の株式を保有している株式会社です。歴代社長は大阪市交通局OBが務め、大阪市交通局の職員も6人が出向しています。現在、市バス全8営業所103路線のうち、3営業所の合計57路線において、運行業務を年間27億円の随意契約で受託しています。
大阪運輸振興の利用法としては、(1)バス路線を落札した民間事業者が一部路線を大阪運輸振興に委託 (2)一部路線を大阪運輸振興に優先的に譲渡 (3)民間事業者が落札しなかった路線を大阪運輸振興に譲渡 などが考えられています。
この大阪運輸振興を使うという案は、8日の市幹部会議で民営化計画の修正案として正式決定し、同日の市議会委員会で提示します。15日に開会される定例市議会で民営化条例案の可決を目指します。選挙区内の路線を廃止されたくない議員に配慮したものといえますが、単なる不採算路線の延命策に過ぎません。民間が引き受けない不採算路線を大阪運輸振興が押し付けられ、せっかくの改革が「骨抜き」になってしまう危険性が高いです。どうしても維持したいなら、廃止された「赤バス」の代替バスなどのようにダウンサイジングしないといけないでしょう。
(追記1)
大阪市には、市の外郭団体への天下り禁止を盛り込んだ職員基本条例があります(2012年5月制定)。2012年12月には、外郭団体役員の採用は原則、市OBを外して公募し、適任者がいない場合に限り、天下りを認める指針を定めています。
しかし、市バス民営化に伴いバス路線を優先譲渡する予定の外郭団体、大阪運輸振興の次期社長人事(6月30日に現社長の任期が切れます)について、この市職員基本条例に沿った指針に基づく民間公募を行わないようです。バス民営化に伴って事業の再構築があり、しかも大阪運輸振興を地下鉄新会社の子会社とする組織再編成に対応するため、市バス業務に詳しい人が必要だからとしています。新社長には2012年3月に退職した市OBの起用が有力視されています。
(追記2)
大阪運輸振興の次期社長人事についてですが、橋下市長は市役所内部であった、交通局OBを充てる方針について否定しました。
(参考:YOMIURI ONLINE http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130501-OYO1T00375.htm、http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130511-OYT1T00545.htm、http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130512-OYT1T01112.htm)
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Comments
代表取締役社長に交通局総務課長 木田 俊郎氏
取締役に交通局経営改善担当課長 白水 英氏
ですね。
赤バス廃止と局の早期退職&大阪運輸振興株式会社の契約打ち切りの人員削減に合わせて港(営)と長吉(営)を閉鎖し路線を配分したということでしょう。
しかし、平成25年4月のダイヤ改正以来、
大阪運輸振興株式会社の運転手にとっては、解雇や停職等の乱発や会社がなくなるよなんて脅しで、法律や基準ギリギリの職務を押し付けられて、挙句の果てには労基法違反をしても「営業所の運行管理者が報告なしで勝手にしている」と言い放ちているのが現状です。
近い将来、大阪運輸振興株式会社の乗務員から過労死や疲労による大事故が起こるでしょう。
大阪市民の皆さんが望んだ民営化が恐ろしい結果にならなければ良いのですが…
Posted by: ちんぷんかんぷん | 2013.09.03 01:18 PM
ちんぷんかんぷんさん、こんばんは。
* 代表取締役社長に
情報ありがとうございます。
Posted by: たべちゃん | 2013.09.03 09:08 PM