高速道路、割引制度は2014年度も縮小して継続へ、料金体系簡素化
高速道路の割引財源の中には、税金で賄っているものもあります。しかし、2008年度に3兆円確保したその財源は2013年度で切れてしまいます。2014年度以降も割引を続けたいなら、どこからか財源を探してこないといけません。
そこで国交省は10日の国土幹線道路部会で、2014年度も一部縮小したうえで割引制度を継続する方針を示しました。税金をできるだけ使わず、高速道路会社自らができる範囲に縮小したいようです。割引制度には時間帯や地域によっていろいろありますが、利用量の変化など効果を見極めたうえで継続するものを決めます。
割引制度で見直しの対象になるのは、平日3割引、休日5割引(大都市部は3割引)、深夜割引拡充の3種類。景気対策の一環で2008年に導入し、合計で年間2500億円程度の財源が必要です。しかし、平日の3割引や深夜割引(5割引)は、周辺一般道の渋滞の解消といった効果はあまりなく、休日5割引は地域活性化には一定の効果があったものの、渋滞が頻発しています。ですから2014年度以降は、割引率を小さくしたり時間帯を短縮したりするようです。休日の5割引については対象地域を限定することも考えています。
また、現在の高速道路の料金体系は10種類に分かれています。建設費が巨額になったアクアラインなど海を渡る区間やトンネル部分などは、建設費を回収するために料金が高くなっています。一般的な高速道路は1キロ当たり24.6円ですが、大都市区間は29.52円、関越道の関越トンネル区間などは39.36円、アクアラインは179.28円。一番高い本州四国連絡道路の明石海峡区間は404.35円です。これを「海峡区間」「大都市区間」「普通区間」の3種類に簡素化する方針です。「海峡区間」には本州四国連絡道路(明石海峡区間、明石海峡以外の海峡区間)、アクアライン、伊勢湾岸道路、「大都市区間」には首都圏と関西圏の高速道路、「普通区間」には関門橋、トンネル区間(関越道関越トンネル、阪和道海南-有田間、東海北陸道飛騨トンネル、中央道恵那トンネル)、広島岩国道路、本州四国連絡道路(陸上区間)、その他の高速道路が入ります。具体的な料金水準はこれから決めます。
割引制度を一部とはいえ継続したり、料金体系を簡素化したりするには新たな財源が要ります。海峡部のように特殊な区間は仕方ないとしても、それ以外の区間については、税金で賄うのはある意味不自然な姿です。高速道路会社ができる範囲に割引制度を縮小するのは仕方がないでしょう。ただ、割引制度には地域活性化の視点もあります。そういう地方は、県独自の財源で割引をすればいいのです。しかも、老朽化でもっとお金がかかります。票目当てで割引をしている暇はありません。国交省は道路会社の債務返済時期を延長して財源を生むこととしています。高速道路が無料化されるのは「幻想」だと割り切ればいいのかもしれません。
(追記)
現在、高速道路の割引に年間で国費4000億円、自主財源5000億円程度を投入しています。国費は2013年度で使い切りますが、2014年度以降も新たに国費を投入して数年かけて徐々に縮小させるようです。
(参考:朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/politics/update/0511/TKY201305100853.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC1002H_Q3A510C1EE8000/、東京新聞ホームページ http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013051102000138.html、http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013090401001989.html)
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