「鉄道は残せ、でも自分で負担したくはない」では話が進まない
4月24日に四日市市議会の総合交通政策調査特別委員会が行われましたが、その中で4月18日の委員会で近鉄側から説明のあった、公有民営方式に対する疑問が相次ぎました。近鉄全体としては儲かっている(2011年度の近鉄の鉄道部門の営業利益は約257億円)ので、その利益を回せばいいのではないかとか、税金を投入してまで内部・八王子線を存続させるべきなのか、という意見です。
さすがに5月2日の委員会で、鉄道の存続を図る方向で近鉄と協議・交渉を行うように求める報告書をつくる方向となり(10日の次回会合で報告書は最終決定されます)、報告書には一部議員から出ていた、廃止を認める意見は削除されました(委員会の記録には残ります)。報告書は、近鉄が唯一の鉄道存続策として主張する公有民営方式への転換を念頭に置いています。四日市市と近鉄の協議については、四日市市の負担をできるだけ小さくするように要請、国の補助メニューを最大限活用することを四日市市に求めています。ほかにも、国に補助制度の拡充を働き掛けたり、三重県に補助金支出や近鉄との交渉参加を要請したりすることも盛り込まれています。ただし、市税の投入額などについては、交渉に影響することから報告書には記載されません。
内部・八王子線がそれなりに利用者はいるものの、赤字経営であることは事実ですから、近鉄が撤退したいという考えを持つことは仕方がありません。いくら幹線で儲かっているからと言って、その金でローカル線を維持しないといけない義務はありません。そのローカル線を維持するには、受益者である地元が負担しないといけないのです。「鉄道は残せ、でも自分で負担したくはない」では話が進まないのです。内部・八王子線の利用者数から考えると、バス転換にするのは望ましい方向ではないです。渋滞などの悪影響が大きいです。そういう意味から考えると、報告書の目指す方向は間違ってはいないでしょう。
(参考:中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20130425/CK2013042502000006.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/mie/news/20130503ddlk24020074000c.html)
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