弘南鉄道大鰐線、2016年度末に廃止か?
弘南鉄道の株主総会が27日に行われました。そのあいさつの中で、船越社長が重大発言を行いました。大鰐線(中央弘前-大鰐間、13.9キロ)を2016年度末で廃止することを検討しているのです。もっとも、廃止の話は株主総会の議案にはなく、取締役会で決定したわけではありません。あくまでも社長の個人的な見解止まりです。しかし、後でも述べるように収支の改善は難しいとみられています。
大鰐線の廃止を検討する理由は、大鰐線の赤字が経営を圧迫しているため。大鰐線はもともと弘前電気鉄道という別の私鉄が経営していましたが、1970年10月に経営権を譲り受け、運行を始めています。乗客数は1974年度が389.8万人と最も多かったのですが、2012年度は57.6万人まで減少していました。ピーク時に比べると15%ほどにまで減少しています。約1050万円の赤字です。もうひとつの路線、弘南線(2012年度の利用者数は約134.9万人、前年度比0.1%増)は約240万円の黒字ですが、これも将来的には悪くなる見込みです。2016年度には売店売り上げを含む鉄道事業の営業損益が赤字に転じるとみられています。大鰐線は経営を引き継いだ当初から赤字体質(値上げをした年ぐらいしか黒字にならない?)で、これが会社全体の経営に悪影響を及ぼしているようです。大鰐線の累積赤字も約2.3億円まで膨らんでおり、2013~2016年度の4年間でさらに1億円が増えると見込まれています。
早速地元市町(弘前市、大鰐町)は廃止の話に反発していますが、それで根本的な原因が解決されるわけではありません。存続するなら、さらなる支援策が求められます。
(追記)
船越社長の話によれば、自治体の公的支援による運行継続には否定的ですが、上下分離方式による存続は考えているようです。土地や施設を自治体に無償譲渡し、自治体から業務を受託して運行を継続するなどの方法も検討しているようです。今後の予定としては、弘南鉄道が沿線の5市町村に説明し、住民の意見も聴取したうえで、大鰐線廃止の方針を8月の取締役会で議決します。2017年3月末の廃止時期については流動的なようです。
(参考:河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/news/2013/06/20130629t23009.htm、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20130628-OYT8T01604.htm、北海道新聞ホームページ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/aomori/476276.html、毎日jp http://mainichi.jp/area/aomori/news/20130629ddlk02020017000c.html、タビリスホームページ http://tabiris.com/archives/owani/)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 12年後のJR発足50周年をどう迎えるか?(2)(2025.05.25)
「北海道・東北私鉄」カテゴリの記事
- 2025年度は「箱館ハイカラ號」の定期運行を行わず(2025.04.27)
- 札幌市営地下鉄南北線さっぽろの新ホームは2028年度中に(2025.04.27)
- 山形鉄道、次世代信号システムを導入(2025.03.17)
- 函館線を貨物専用にしても要員が約200人必要(2025.02.19)
- 富谷市にロープウェー(2024.12.30)
Comments