南三陸の現状を見る(5)
都賀から千葉までは快速でひと駅。千葉からは209系の普通に乗る。もともと209系は京浜東北線で使われた車両、10年しか持たないと言われ、当時よく売れていた使い捨てカメラから「走ルンです」とも言われたが、一部とはいえ、残っていたのだ。改造を受けたばかりなので、まだまだ使われる。大都会の京浜東北線とは違い、房総半島の先でも使われるので、一部にボックスシートが設けられ、トイレもついている。
小湊鐵道は五井から出ている。JRからつながっている跨線橋で、弁当を売っている。近くの店がつくった弁当。実は千葉で駅弁を買ったが、晩までは持つようなので、夕食用に回し、新たに弁当を買う。いかの姿煮の弁当だ。このまま小湊鐵道といすみ鉄道を乗り通す予定なので、「房総横断乗車券」を買う。1600円で五井から大原まで行くことができ、引き返さない限り、何度でも途中下車ができる。ホームにはすでに13:41発の上総中野行きが停まっている。2両編成の後ろの車両に乗り、先ほど買った弁当を食べる。ロングシートだが、千葉から乗ってきた内房線のボックスシートよりも食べやすい雰囲気だ。
小湊鐵道のディーゼルカーは五井を発車した。JRから離れて、田園地帯の中を走る。車掌が乗っていて、切符を持っていない人に切符を売っている。小湊鐵道の自動券売機は食券販売機みたいなもので、切符も食券みたいな薄っぺらいもの。しかし、車内補充券は車掌がパンチで穴を開ける、貴重なもの。思わず記念用に、短い区間の子供用切符を買い求めた。
車内が暑くなってきた。小湊鐵道の車両は冷房がついているはずだが、後ろの車両のはどうやら調子が悪いようだ(前の車両はちゃんと冷房が効いている)。窓を開けることにした。涼しい風が入ってきた。昔懐かしい車両に車掌、窓からの涼しい風、ローカル線らしい光景だ。わざとらしくなく、好感が持てる。
列車は山のほうに入っていった。五井を出た時点ではそれなりの乗客がいたが、上総牛久を過ぎ、かなり減っている。里見に着いた。駅員が運転士からタブレットを受け取り、駅に戻って電話をかける。五井行きの列車がやってきた。駅員はタブレットを受け渡しする。その駅員は走って上総中野行きの列車に新たなタブレットを渡す。かつてはどこでも見られたこの光景、今となっては貴重だ。しかも、里見の交換は今年の春に復活したもの。タブレットの交換もそのときに復活したのだ。
終点の上総中野で、いすみ鉄道と接続。JR西日本から購入した、キハ28とキハ52の2両編成が停まっている。前のキハ28が一部指定席(ボックスシート部分)、キハ52が自由席だ。一部指定席のキハ28も大多喜までは指定券なしで乗車できるが(指定券を持っている人が来れば譲らないといけない)、最初から自由席のキハ52に座る。キハ52は大糸線で使われていたときの雰囲気を強く残し、整理券発行機があり、優先席の柄もJR西日本のものだ。ボックスシートを確保できた。余談だが、キハ28のボックスシートにはテーブルが置かれている。車内でイタリア料理を出すイベントに備えて、あらかじめテーブルをセッティングしているらしい。
上総中野を出発した。国鉄時代のチャイムが流れ、車内アナウンスが行われる。そういえば車内のポスターも国鉄時代のものだ。早速改札が行われた。急行券(この列車、大多喜から急行列車、「急行4号」となる)を持っていないので、車掌から買い求める。こちらの車内補充券も車掌がパンチを入れるタイプだ。小湊鐵道しか使えない切符なのに間違えて乗ってきた客、途中から急行になることを知らない客が多く、車掌がひとりひとりに説明するため、時間がかかる。
大多喜から急行に変わり、乗ってきた客はいるものの、降りるほうが多く、かなり空く。引き続きボックスシートをひとりで占領できる。先ほども述べたようにこの列車、急行なので、通過駅がある。ポイントのない棒線駅でも減速する。中にはいったん停まってから発車する駅もある。安全対策か、それともいすみ鉄道が通過列車の運転を想定していなかったのか? 確かにいすみ鉄道の急行は観光列車であって、スピードを求める列車ではない。
急行は国吉に10分停車する。交換待ちを行うが、売店が整備されていて、買い物ができる。列車を降りて(ただこの列車、ドアが壊れているようで、2両で4か所あるドアのうち、真ん中の2つしか利用できない)ここで買ったのが瓶に入ったジュース。ジュースはペットボトルや缶に入っているものだが、かつては瓶に入っていた。観光用に高い値段で売られていると思ったが(それでも買っただろう)、120円という普通の値段で売られていた。国吉には少し前まで久留里線を走っていたキハ30も停まっている。いつかはこれも復活させるのだろうか? 発車してから瓶入りのジュースを飲む。ボックスシートの窓側には小さなテーブルがあり、その下に栓抜きがある。そこで瓶を引っかけて栓を抜くのだ。かつては日常の光景だったが、今となっては貴重な体験だ。
その後、終点の大原からは外房線の「わかしお22号」、東京からは「ひかり525号」で名古屋に戻りました。
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