大船渡線、陸前高田-細浦間を内陸に移設か?&岩泉線の廃止を地元に伝達
今はBRTにて運行中の大船渡線気仙沼-盛間ですが、鉄道で復旧させる話はあります。というより、鉄道で復旧させるのが最終目標なのです。
4日に一関市で、大船渡線の復旧について国と岩手県、宮城県、沿線自治体、JR東日本などが協議する「復興調整会議」の第5回会合が行われました。その中でJR東日本は、陸前高田-細浦間を内陸に移設する2つの案を示しました。今後、震災前とほぼ同じルートで復旧する案を含めて検討することとなります。
先ほども述べたとおり、移設ルートは2つあります。脇ノ沢駅西側から脇ノ沢、小友両駅を含めて数百メートルから1キロほど内陸側に移設して細浦駅南側で現行ルートに合流するAルートと、Aルートの途中で現行ルートの小友駅に合流する(移設するのは脇ノ沢駅のみ)Bルートです。脇ノ沢-細浦間は8.8キロありますが、移設により7~8キロに短縮されるようです。新ルートにすれば、駅や線路のかさ上げは必要なく、津波を避けて走ることができます。また、脇ノ沢駅付近は高台移転を行うため、現行の駅付近には人は住みません。人のいないところに駅があるというミスマッチを解消することができます。これとは別に、陸前高田駅付近も移設され、駅も内陸側に移転します。
ただ、依然としてJR東日本からは鉄路復旧の明言はなく、現行ルート及び移設ルートの費用や復旧期間の提示はありませんでした。早期の鉄路復旧を求める地元からは批判的な声が強いです。とは言っても、JR東日本としては危険性の高いところを走らせるわけにはいきません。上場会社なので赤字確実の路線に莫大な投資をするわけにもいきません。国などの支援がないと復旧はできません。陸前高田市サイドは移設案は現実的ではないと批判していますが、(JR東日本が運営するという)気仙沼線の現状からすれば、一番現実的なのはBRTの充実を図ることです。30分から1時間おきにBRTが来るというのは、鉄道時代にはできなかった話です。
話は変わりますが、JR東日本は5日、土砂崩れによる脱線事故により2010年から運休が続いている岩泉線について、鉄道を廃止してバスによる代替輸送を行う方針を、県や沿線自治体に正式に伝えました(廃止の方針は以前から決まっていましたが)。安全を確保するのに約130億円という巨額の費用がかかるということと運休前から乗客数が極めて少なかったのがその理由です。線路跡などは宮古市と岩泉町に無償譲渡します。
このJR東日本の方針に対して地元は反発していますが、現状を冷静に分析すると、鉄道の廃止しか結論は出ないでしょう。廃線跡を活用して、道路の改良を図ったほうがよほど有用です。
(追記)
岩泉線に並行する道路でネックになっているのは、宮古市と岩泉町の境にある国道340号の押角峠。峠の前後5キロは道幅が狭く、急カーブ、急勾配の連続で、特に冬場の通行が困難なため、住民は改良を強く望んでいます。そこでJR東日本は、岩手県が押角峠の改良を行う場合、(具体的な方法には触れませんでしたが)何らかの協力をすることを岩手県などに伝えています。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20130904-OYT8T01374.htm、岩手日報ホームページ http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20130905_3、東京新聞ホームページ http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013090501001575.html、河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/news/2013/09/20130910t33014.htm)
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