南三陸の現状を見る(2)
仙台駅前のホテルを出て、仙台6:23発の石巻行き直通快速に乗ることにする。発車5分前にホームに着いたが、まだ列車はホームに入っていない。それどころか、発車時刻を過ぎても列車は来ない。どうやら東北線で人身事故があったようで、列車が運休している。松島付近の連絡線の様子も見たかったが、運転再開がいつになるかわからないので(そのあとしばらくして運転を再開したようである)、急いで仙石線ホームに行く。仙台6:32発の快速高城町行きに間に合った。余談だが、仙台で石巻行きの直通快速を待っている人は驚くほど少なかった。時間帯から考えると、石巻には県庁などの出張所があり、そこへの通勤需要がありそうだが(いずれ転勤になることを考えると、引っ越しはできるだけ避けたい)。事前に東北線の運転見合せのことを知っていたかもしれないが。
昨日と同じように松島海岸で乗り換え。駅前から出る代行バスに乗る。今日は2台で走る。直通快速から代わったかもしれないが、通勤のサラリーマンも多い。途中から石巻に通う通勤通学客も乗ってくる。補助席もほとんど埋まった。バスは野蒜あたりまで順調に走っていたが、朝の通勤ラッシュだろうか、ノロノロ運転となる。定刻より4分ほど遅れて、バスは矢本駅に着いた。何とか間に合った。矢本からはディーゼルカー。キハ110系の4両編成である。通学の高校生が多い。彼らは友達の分だろうか、ボックスシートを占領していて、空席が多いのに座りづらい。途中からも高校生などがどんどん乗ってくる。陸前山下では逆に高校があるからだろうか、降りる客がいた。
石巻で石巻線に乗り換え。乗り換え時間がないのでせかされる。駅員が「今日は定時に出る」とアナウンスしていたので、仙石線の遅れはよくあることなのだろうか? 代行バスの遅れを引きずっているのだろうか? 石巻8:10発の浦宿行きはキハ48の4両編成。後ろの「石巻線マンガッタンライナー」車両にする。石ノ森章太郎の漫画のキャラクターが描かれている。通学の高校生が乗っていたが、渡波で降りる。男子ばかりだったので、水産高校だろうか? 列車は海岸のすぐそばを走る。それなのに列車が走っているということは、津波の被害が小さかったということか? 列車は女川のひとつ手前の浦宿でおしまい。女川へは代行バスが走っている。列車には高校生もいたが、彼らは歩いていく。こちらは女の子もいるが、明らかに男子が多い。代行バスは駅から道路を渡った向かいに停まっているが、乗ったのは2人だけ。こちらはJRバス東北が担当している。
代行バスは走り出した。最初は震災前と変わらないような光景だが、女川に近づくと光景は一変する。大震災から2年半経たにもかかわらず、横倒しになった建物がある。海が見えないにもかかわらず、更地になっているところもある(更地になっているところは三陸のあちこちで見られた)。山にへばりついたような家を除けば、みな津波に流されたのだ。改めて津波の威力を思い知らされる。女川のバス停は山の上の総合運動公園。役場などの機能もこちらに移っている。しかし、店舗はこちらにはなく、次の浦宿行きの代行バスが出るまでの50分ほどをポールだけのバス停で待つことになる。ダンプカーなどの工事用車両だけが忙しく走り回る。
再び代行バスに乗り、浦宿10:04発の小牛田行きに乗る。乗客は少ないが、その乗客は石巻で入れ替わる。石巻がこのあたりでは大きい町である証だろう。石巻からの客も決して多くはないが、スーツ姿のサラリーマンも見かける。仙台なら高速バスのほうが明らかに便利だが、石巻線にもそれなりのビジネス需要があるのだろうか? 前谷地で気仙沼線に乗り換え。キハ110が1両で来た。(続く)
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