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阪和線鳳、東貝塚、熊取の3駅に折り返し設備追加

 たった2本の線路で特急から普通までたくさんの列車をさばく阪和線。平日には1日500本以上の列車が走り、平均で10万人以上の利用がある主要路線です。その阪和線にはすでに運行管理システムが導入されていますが、老朽化しているため、今回更新します。それに合わせて、「安全考動計画2017」で掲げた輸送障害半減などの目標に向けて、その他の施策も行います。

 まず、新しい運行管理システムについて説明します。そもそも運行管理システムは、列車の進路を自動制御するとともに、臨時列車などのダイヤをコンピュータ上で管理する機能や、ダイヤに合わせて自動的に客を案内する機能を持ち合わせています。新しいシステムのポイントは4つあります。(1)操作性と応答性が向上し、特にダイヤが乱れたときにダイヤの回復を早期化できること (2)この新しい運行管理システムは指令員訓練装置にもなっていて、シミュレーションを行うことで指令員の異常時対応能力を向上させることができること (3)駅の発車標や自動放送を充実させ、案内レベルを向上させることができること。発車標は現在、阪和線の16駅に設置していますが、残る19駅にも設置し、阪和線全駅で遅れ時分が表示できるようにします。駅によっては発車標で案内できる列車の数が少ないので、それをより多く案内できるものにします。駅係員も列車遅れ時分を案内できるように、運行情報を確認できる機器を配備します (4)保守作業を行う際の手続きをシステム化し、保安度を向上させることができること 以上の4つです。9月28日に使用開始予定です。

 阪和線の改良点は新しい運行管理システムの導入だけではありません。東岸和田駅の高架化(2016年度供用開始予定)を進めるとともに、折り返し設備の新設・拡充と踏切長時間鳴動対策を行います。まず、JR京都線、JR神戸線で行われた折り返し設備の拡充・新設については、鳳駅、東貝塚駅、熊取駅で行います。例えば鳳駅には、和歌山方面への折り返し設備はありませんが、2番線と3番線で折り返しができるようにします。現在、天王寺方面へ折り返しできるのは3番線だけですが、1番線、2番線でもできるようにします。3駅での折り返し設備が完成すれば、鳳-熊取間で輸送障害が発生した場合でも、鳳から天王寺方面には1時間に8本、熊取から和歌山方面には1時間に4本の運転が可能となります。東貝塚の位置づけは良くわからないですが、隣の東岸和田が高架化で折り返すことができないので選ばれたのでしょうか? 折り返し設備の拡充・新設は、熊取駅が10月、東貝塚駅が11月、鳳駅が12月に使用開始予定です。踏切長時間鳴動対策とは、輸送障害のときに使うものです。現在、列車が鳴動開始点に来れば、踏切は降下します。輸送障害が起きても例外はなく、列車が停まっている間、ずっと踏切は下がったままです。そこで、指令所から信号の現示を制御できるように改修します。輸送障害で列車が停まっているときは、信号を赤にすることにより、踏切が上昇し、道路の通行が可能となります。高架化が行われる東岸和田駅付近の4つの踏切を除いて、天王寺-日根野間のすべての踏切で改修します。2014年4月以降順次実施予定です。

 話は変わりますが、以前に紹介した昇降式ホーム柵についても、合わせて書きます。2012年11月にJR西日本から発表があり、その後も技術開発を進めてきましたが、様々な機能の評価や実用性の検証を行うため、桜島駅で試行運用を開始することにしました。桜島駅の1番線において11月中旬から設置工事を行い、12月上旬から試行運用する予定です。この試行により、安全面、機能面での検証を深めて実用化につなげたいとしています。

(追記1)
 桜島駅に設置される昇降式ホーム柵は、ステンレス製のロープ5本が50~120センチの高さに水平に伸びたものです。電車が到着するとロープは高さ約2メートルに上がります。下がり始めたロープの下を無理にくぐろうとすれば、警告のアナウンスとともにロープの動きは止まります。

 JR西日本は、2017年度中の実用化を目指しています。

(追記2)
 11月14日に設置された桜島駅のホーム柵は、12月5日から2014年3月末まで稼働します。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2013/09/page_4431.html、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/OSK201310240048.html、桜島駅の掲示)

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Tracked on 2013.09.15 10:11 AM

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