河村名古屋市長、旧型客車取得を断念
河村名古屋市長は、将来のSLの定期運行に向けて、JR東海が保有していた解体寸前の旧型車両4両(1941年製1両と1954年製3両)を譲り受けたいという意向をJR東海に伝えていましたが、9月9日に断念したことを明らかにしました。
古い客車を再び復帰させるのは簡単なことではありません。まず、古い車両なので、アスベストが使われています。譲渡を受けるためにはアスベストを除去してもらわないといけません。労働安全衛生法に違反するのです。しかも、アスベストを除去する義務があるのはJR東海です。もちろん、JR東海はそこまでして名古屋市に旧型客車を譲る気はありません。そこで貸与のかたちにすることによって、その問題をクリアしようと考えていました。
また、アスベストを除去したとしても、大幅に修繕しなければ、鉄道事業法に定められた現在の基準に合わなくなります。引退後は雨ざらしの状態で、適切なメンテナンスがなされていません。1両修繕するのに1億円、運搬するのに1000万円かかると言われています。そのため、JR東海は、9月4日に名古屋市に対して旧型車両を譲渡せずに解体することを伝えていました。
河村市長は未だにあおなみ線でSLを走らせる構想を持っています。2月の実験走行は好評で、大都市名古屋を走る路線でSLが走るのは意外性があって面白いかもしれないですが、あおなみ線の処方箋として適切なものかと言えばそうではありません。地方の鉄道のように、変わった列車がないと見向きもされないところとは違うのです。都市の鉄道としての利便性を高めるのが先決です。どうしてもSLが見たければ2月のときのようにJR西日本からSLを借りるほうが賢明です。
(参考:「鉄道ファン」2013年8月号 交友社、中日新聞9月10日朝刊)
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