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吹田に貨物駅移転で貨物輸送量約1割増加

 3月に鉄道貨物の拠点だった梅田貨物が廃止され、代わりに吹田貨物ターミナルがオープンしました。その大阪地区において、鉄道輸送の貨物量が増えているのです。今年度上期の大阪地区(百済貨物ターミナルなども含みます)の鉄道貨物は大阪着が10.8%、大阪発が7.7%増えています。全国平均が1.7%なので、驚異的な伸びです。

 その原因は、新たにできた吹田貨物ターミナルが新しい設備を導入した貨物駅であること。吹田貨物ターミナルは吹田市と摂津市にまたがる約27ヘクタールの土地(吹田信号場)に、716億円をかけてつくられました。総延長が7.2キロもありますが、従来必要であった貨物の入れ替え作業はここではありません。GPSなども駆使した、新しい貨物駅なのです。

 貨物の入れ替え作業が要らない理由は、吹田貨物ターミナルがE&S(着発線荷役)を取り入れているため。従来の貨物駅では、貨物列車が駅に着くと、電気機関車とコンテナ車を切り離し、ディーゼル機関車がコンテナ車を架線のない引き込み線に移動させてからコンテナの積み下ろしを行っていました。架線にフォークリフトが触れると、感電事故が起こるからです。ところがE&Sを取り入れているところは、架線の高さを5.4メートルと通常より40センチ高くしているので、構内での入れ替え作業なしにそのまま電気機関車に引っ張られた姿のままで、コンテナの積み下ろしができるのです。しかもコンテナにはGPSと無線ICタグがつけられています。貨物駅のどこに必要なコンテナがあるか端末画面で把握することができるのです。これまで梅田貨物では最大4時間かかっていた荷役作業ですが、3時間程度で済むようになりました。JR貨物はこの変化をわかりやすく説明しています。航空機が滑走路上で貨物を積み下ろし、そのまま離陸するようなイメージです。

 この改善には荷主も喜んでいます。3月から東京-大阪間に専用貨物列車「福山レールエクスプレス」を運行している福山通運は、コンテナの荷役が想定の半分程度の30分前後で終わっているとして、専用列車を増やすことを検討しています。長距離ドライバーの確保が難しくなっていることも鉄道の増発を検討する原因です。

 正直言って、梅田貨物は現代の貨物駅としては不適切な立地になってしまったのでしょう。貨物なら、都心ではなく、トラックに積み替えることを考えて、郊外にあったほうがよいのです。そういう意味では、遅くなりましたが、大阪の貨物駅も適切な場所に移ったと考えられます。
(参考:毎日jp(会員登録要) http://mainichi.jp/area/news/20131115ddn008020040000c.html)

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