リニア中央新幹線、国費投入しても大阪までの全線開業は名古屋より4~5年遅れ
JR東海の山田社長は、4日の記者会見で、名古屋-新大阪間の開業時期について、たとえ国費の投入があっても、品川-名古屋間の開業から4~5年は遅れる見込みであることを明らかにしました。関西経済界を中心に大阪までの全線一括開業を求める声が強いのですが(名古屋でいったん区切るのはあまりにも不自然でしょう)、それにくぎを刺すかたちとなります。
なぜ同時開業が難しいのでしょうか? その理由は、これまで品川-名古屋間だけを先に開業するということで先に進んでいて、いろいろな手続きも名古屋以西に比べて先行しています。今さら同時にすることが難しいのです。また、地盤が軟弱な大阪平野では工事に時間がかかることも理由に挙げています。
しかし、名古屋暫定開業の段階では、いずれ大掛かりな施設が不要となる名古屋での乗り換え設備が要ります。たった4~5年のために不便で、大掛かりな乗り換え施設をつくるぐらいなら、中途半端に名古屋暫定開業の段階をつくらないほうがいいでしょう。
ところで、JR東海はリニア建設に伴う税負担を軽減しようと、不動産取得税と登録免許税を非課税にすることを求めています(5日の自民党税制調査会小委員会で非課税とする方針を確認しました)。整備新幹線の建設においては非課税になっていますので、それと同じことを求めています。品川-名古屋間で不動産取得税等が非課税となった場合、その減収額は184億円となります。
しかし整備新幹線は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構などがつくり、建設費は貸付料のかたちでJRから回収します。JR東海がつくるリニアとは違うのです。整備新幹線は非課税になって税収が減りますが、その分国の出す建設費も減ります。リニアの場合はJR東海の利益になるので、似て非なるものです。
国がJR東海に対して財政支援するのなら、単に金持ちのJR東海の懐を潤すだけではなく、国民にとって利便性の高いものにするために出さないといけません。つまり、中途半端な名古屋暫定開業を回避するための、国費投入です。
(追記)
2014年度税制改正案において、JR東海がリニア建設のため取得する土地の不動産取得税と登録免許税を免除する優遇措置が決まりました。
(参考:朝日新聞12月3日朝刊 中部14版、朝日新聞12月5日朝刊 中部14版、朝日新聞12月13日朝刊 中部14版、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/131206/ymn13120617240002-n1.htm)
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