大阪府都市開発売却、南海の提案は80円値下げだった
少し前の記事で高い提案点を挙げながら、公募に敗れた南海の提案を知りたいと書きましたが、早速その内容が判明しました。
その内容は驚くべきもの。南海は乗継運賃の80円値下げを提案していたのです。仮に泉北高速も南海の一路線ならば難波-和泉中央間が今より60円安い560円になりますが、それに相当する値下げが南海の提案によって実現するのです。通学定期も約25%安くなります。乗継割引の10円拡大にとどまるローンスターと比べるのが失礼になるぐらいのいい提案です。
地元の堺市議会は反発しています。自民、公明、民主系、共産の4会派が売却方針の撤回を決める決議案を4日の本会議に提案する予定です。決議案では、ローンスターの提案が乗継運賃の10円値下げという最低限のもので沿線住民が満足できるものではなく、株式売却の利益の一部も沿線住民に還元されるべきだなどとして、大阪府に選定を白紙に戻すように求めています。それどころか、府知事や大阪市長を出している大阪維新の会も提案には加わらないものの、賛成する方針です。全会一致で可決する見通しです。
松井府知事はこの大阪維新の会の動きに反発していますが、提案の内容を見れば、どちらが優れているかは明白でしょう。南海の提案価格でも大阪府が想定していた売却金額約670億円を大きく上回ります。提案価格としては十分です。大阪府都市開発は大阪府が半分近くの株式を保有する会社とはいえ、泉北高速鉄道は泉北ニュータウン(及びその周辺)に住む沿線住民が毎日運賃を払ってここまで大きくなったのです。それなのに、大阪府都市開発を売却したお金で、泉北沿線とは全く関係のない大阪府北部の事業につぎ込みます。沿線住民に売却益が全く還元されないのです。大阪府都市開発の株式売却は大阪府議会で議論されることになりますが、府議会で過半数を占める大阪維新の会府議団からも異論が出ています。目先の提案価格に目がくらみ、内容を軽視したつけです。堺市はもともと大阪維新の会出身の市長が務めていましたが、今年の市長選で堺市が吸収合併される大阪都構想に反対し、大阪維新の会の出した候補を破りました。その遺恨の反映かもしれませんが、そんな幼稚なことで決めてはいけません。
大阪府議会で提案に反対しローンスターへの売却を白紙に戻すか、ローンスターが80円値下げという優れた提案を追加で行うか、あるいはローンスターが辞退するかが望ましいでしょう。
(追記)
大阪維新の会は、堺市議会を退席し、大阪府都市開発売却計画の白紙撤回を求める決議は出席した議員の全員の賛成で可決されました。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131128/waf13112823370041-n1.htm、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/CMTW1311302800001.html、http://www.asahi.com/articles/CMTW1312042800001.html、http://www.asahi.com/articles/OSK201312040128.html)
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