大阪市、なにわ筋線の建設検討を正式表明
一時期、肝心の橋下大阪市長が国政に強い関心があったためか、動きが止まっていたように見えたなにわ筋線ですが、久しぶりに動きがありました。6日の年頭記者会見で、大阪府と近く正式に検討を始めることを表明したのです。行政的な手続きに入ることになるのです。
なにわ筋線は、新大阪からうめきたエリアの北梅田(仮称)を通り、なにわ筋の地下を通って途中で二股に分かれ、JR難波駅と南海難波駅の両方に達する路線です。なにわ筋線が開通すれば北梅田から関空まで30分台で結ぶことができるとされていますが、国交省によれば、最短46分(南海経由のときは最短47分)で結ぶと見込んでいます。今の「はるか」よりも遅い数字です。ちなみに、現在は大阪-関西空港間に68分かかるとされていますが、これは阪和線内もこまめに停まる「関空快速」の数字なので、これと比較して20分も短縮するというのは不適当な数字でしょう。スピードアップという点ではなにわ筋線は意味のない計画ですが、現状は(東海道線の貨物線が地下化されても)単線区間がある大阪環状線経由なので、柔軟性がありません。なにわ筋線だとその制約がなくなります。
なにわ筋線の建設費は1800~3200億円と試算されています。建設がなされるのならば、大阪市も巨額の負担をしなければなりませんが、検討を始めることになったのは、新大阪と放出とを結ぶJRおおさか東線北部区間(大阪市も建設費を一部負担します)が2018年度に開業するめどがったからです。2019年度以降、なにわ筋線建設のために支出することが可能となったのです。また、市営地下鉄の民営化により、株式を売却して財源を確保することもするようです。関空へのアクセス向上のため、うめきたと難波との間に中之島などいくつかの中間駅を設けるようです。
それでは、実際になにわ筋線を運営すると想定されるJR西日本と南海はどうでしょうか? 両者ともなにわ筋線を、関空アクセスを向上させることのできる有意義な路線とみています。しかし、ネックは費用。国交省は都市鉄道等利便増進法の活用を検討しています。これが適用された場合、鉄道事業者は1/3の資金負担を求められます。この負担額によっては、鉄道事業者の対応が変わることもあるようです。
(追記)
なにわ筋線の開業により、御堂筋線のラッシュ時の混雑率が約17%緩和されると想定されているようです。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64947050X00C14A1LDA000/、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/ASG1645Z6G16PTIL00V.html、大阪日日新聞ホームページ http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/140107/20140107018.html、マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2014/01/08/354/、「鉄道ジャーナル」2019年11月号 鉄道ジャーナル社)
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